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雪遊び中止

あしたね こうえんでゆきあそびするんだ だからね たくさんゆきがふるといいな だれもまださわってないふかふかのゆきにね おかおをつけておめんにするんだ おいかけっこしておもいっきりころぶんだ ゆきがっせんもしたいな おおきなゆきだるまもつくりたいな   こんやはこんなにふぶいてるね あしたはやむといいね だからはやくおやすみ   すごい すごい たくさんつもった ままはやくいこうよ   さむくないようにきてこうね ゆきがしみてこないようにきてこうね ながぐつもぬげないようにはくんだよ   きょうのゆきあそびはできません ゆきがふりすぎてあるきにくくなったの だからほーるであそびます   えっえええええっ! ゆきあそびってゆきがたくさんつもったからするんでしょ こんなにつもっていたらなんでもできるよ どんなことをしたいかたくさんかんがえてきたよ あったかくしてちゃんとあるいてけるよ どうしてこうえんにいけないの どれだけのゆきならあそべるの おしえて 保育園の保育士は答えられない 最高の遊びのロケーションすら煩わしいだけだ そこまで思いっ切り遊ばせられない 雪まみれになった後始末に終われる 手間がかかることはしたくない だたそれだけの理由で中止になる   保育の中味が簡素化されていく 保育は効率と負担の軽減が優先する 保育の方針や目標は形骸化し忘れ去られる 保育は子どもが阻害されてゆく ご都合主義の保育士たちが幅を利かせる   つまんない そういったらいやなかおをされたよ ままはしかたないねって いまからあきらめることをしつけられる   ままは黙ったまま不信感を強くする だってお外遊びを大いにさせますって噓! 北国の幼子の集団遊びはこうして消えてゆく   〔 2025 年 12 月 12 日書き下ろし。こんな風景があったとか〕

運転を回避

朝から積もりそうな雪だった 妻の通院にあっしー君を担った 帰路前方も霞んで吹雪いてきた 車の前方のセンサーに雪がかぶり機能停止を知らせる 感度のいいのは結構だがこの程度では支障を来す   自宅の駐車場から電話した 若年性認知症の研修をキャンセルした 知人に吹雪き模様を伝え運転の不安を伝えた 隣町だがいつも荒れる地域だ 黄昏時のグレーな色合いが雪にまみれる   車の運転に臆病になるのは滅多にない 白内障で視力が落ちたときは慎重になった 檜山管内江差町からの帰路夕闇は中山峠を包んだ 往復 450 ㎞ 10 時間のドライブだった 翌日右目の白内障を手術した   明日も一日中雪模様の天気だ 送迎の車を出すには難しいかも知れない 師に出勤の判断を明朝することをメールした まだ既読にはなっていない 週一の出勤だが運転手が不安ではまずい   積もりそうな雪がしんしんと降り続く さっき帰りがけにした雪寄せはもうチャラになる 締め切りを抱えた原稿は昨夜脱稿した 気分は帰って雪見で落ち着く 北の街はこうして静かに年の瀬に向かう   〔 2025 年 12 月 11 日書き下ろし。ママさんダンプをもって車の周りの除雪に行く姿が窓越しに見えた〕

息苦しさ

突然息苦しくなる 慌てて息を吸い込む 呼吸機能の低下なのか 時々起こる生きることへの抗いか   いまも息苦しさを覚える 職員室の異様な空気に息が詰まる 来客は空気を察して入るのを躊躇する 空気の中に生息するのは学校という澱か   いまだ生きづらさに息を吐く まだ始まったばかりだというのに 学校という名の矯正施設に息が詰まる 勉強が苦手だとレッテルを貼るシステムか   いまも生きにくさに息を凝らす 存在を消すことで護るしかない 級友という名のいじめ装置が稼働する 見て見ぬする嘲りに目線を下げるだけか   いまさら馴染まぬことに息がはずむ 無関心だった存在に注目される いじめアンケートは功を奏した 対応の是非は当事者抜きの形式か   いまも苛まれる苦しさに息が切れる トラウマだと知っても息は抜けない なぜという疑問は慰めにもならない 過去との決着は赦しにしかないのか   〔 2025 年 12 月 10 日書き下ろし。いじめにあい、過去を払拭できずに苦しむ子らがいる〕  

折り合う

意見が分かれて折り合いを付ける 対等な関係なら問題なしか 不等な関係ならどうだろう 絵面ではさも歩み寄ったふうに見える ここに力の関係が働くのは自明の理だ 世の中煮え湯を飲まされる人多し   やっとの暮らしに折り合いを付ける 喰っていけるなら問題なしか カツカツならどうだろう 成長など望めぬ時代に幻想を抱かせる ここに貧富の格差が広がるのは自明の理だ 世の中冷や飯を喰わされる人多し   理不尽な処遇に折り合いを付ける 文句を言っても聞いてはもらえぬ 立ち回りの上手いものにはかなわない ここで我慢するしかないのは自明の理だ 世の中不満を呑み込み人多し   恨みつらみに折り合いを付ける 悔しさをいつまでも抱え込めない 相手は平然としてこちらを見ている ここで何をしても虚しいだけだ 世の中運が向かぬと肩を落とす人多し   不徳に見ぬふりで折り合いを付ける 不純に染まる己が悲しい 善悪を曖昧にする己が傷ましい ここで暴いても己にかえる 世の中狡賢くしなければ落ちこぼれる人多し   妥協という折り合いを付けられる 異論は価値観の相違と括られる 異見は見解の相違と棄てられる ここに居られるだけで良しとする 世の中体勢になびくだけの人多し   自問してよりよい折り合いを付ける こうすることが真意なのか こうしなければ堕落なのか ここが自身を生かす岐路と知る 世の中たった一人でも歩き出す人…少なし   〔 2025 年 12 月 9 日書き下ろし。一人からしか始まりはない〕

知とは何か

知識を蓄える いらない いらない いまなら AI が代わってくれる どう質問するか それをどう理解するか それだけのこと だから知識偏重時代は終焉する   知恵を授ける いらない いらない いまなら AI が答えてくれる 状況を正しく伝えればいい その判断が出来るかどうか それだけのこと だから経験値は役に立たなくなる   知性を高める いらない いらない いまなら AI が担ってくれる もっともらしい言葉を教えてくれる その場に応じた対応が出来るかどうか それだけのこと だから振る舞いだけを身につける   知力を育てる いらない いらない いまなら AI に力を付けさせる いろんな場面の対応を学ばせる 相手もまた同様な類いとなる それだけのこと だからもう比べられることはない   人間の知の活用が試される いらない いらない AI のデータベースは半端ない 情報収集・分析・解明は科学だ 凡人に最強の知的能力を授けてくれる それだけのこと だから行動力しか残っていない   人間の知はいかほどか いらない いらない 同じように考え動く だって相手も同じアプリを使ってる それだけのこと だからもう人間性は感情に宿る   いやいや感情もないでしょ いらない いらない 恋愛は互いを尊重し合う AI の優しく思いやり深い言葉に恋します それだけのこと だからもう生身の恋は仮想世界で叶います   〔 2025 年 12 月 9 日書き下ろし。世界で生成 AI を巡る論議が高まる。人間を辞める日は来るのか〕

共に在り共に織る

どれだけの人に出会ったでしょう 記憶に残る人は限られていく 印象に残る人はさらに絞られる そこにあなたがいた   出会いはいつでも衝撃を織るしかない インスピレーションが発する あなたがわたしであり続ける力となる わたしがあなたであり通す力となる 共に在ることを感受した   あなたとの人生を織る旅に出よう 語り尽くした物語にさよならする あなたと共に在ることを知らしめる 語り尽くせない物語が幕を開ける あなたと綴る人生を謳歌したい 語り尽くしてはいけない物語を描く   あなたとの喜怒哀楽を織り上げる 喜びも哀しみも分かち合う共存 感動も失敗も認め合う共感 苦悩も反感も受けとめる寛容   あなたと歩む時間を豊かに織る 希望や挫折もタペストリーに織り込まれる 愛も仕合わせも細かい模様に縦横に織られる 二人の紡ぎ出される物語は存在を問う わたしでよかったのですか あまたは問い返す わたしでよかったのですか 畏敬と感謝が確かな模様として浮き上がった   〔 2025 年 12 月 2 日書き下ろし。新たな「ひと物語」を書きたい〕

気負わずに淡々と

気負わずに成せるは難し 事への熱情が揺れる 始末への集中は時に途切れる 期待と威圧をあびてたじろぐ ひたすら信じるところを注力する 平常心は慰めにもならない   気負わずに為せるは難し 汗かかずして事は動かない 知恵を絞らずして事は進まない 思惑通りにいかぬ事を覚悟する 瞬時に決断を求められる 平常心はクールダウンを促す   気負わずして淡々と事を成す 経験値が解決の策を見出す 先見知が予測を鮮明にする 指導力が結束を強める 責任を重圧にせず分かち合う 平常心は焦燥と反作用する   冷静沈着な仕事への丁寧なアプローチ 意思統一する仲間の熱きチームワーク 目的を押し進める個々のチームプレー 個の能力で醸成される予想以上のチームパワー 成果を共有するチームビルディング   気負わずして淡々は理想のスタイルか 醒めぬ情熱を冷まし達成感へ誘う自己評価 次へのステップアップを準備する自己覚醒 チームメンバーを誇示する他者承認   〔 2025 年 12 月 1 日書き下ろし。仕事への熱きおもいが共有されたとき人は予想以上の力を発揮する〕