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怒りのアクセル

怒りのアクセル踏み込めば 正義を翳(かざ)す人となる 怒りのブレーキ踏み込めば ただの好好爺の人となる   怒りを感じず生きるには 達観できぬ未熟者 怒りを抑えて生きるには 見ぬふりできぬ直情者 怒りを溜めずに生きるには 堪えられぬ短気者   怒りのアクセル踏むしかない 抑制利かぬ感情暴走 怒りのアクセル踏むしかない 小心者の自己満足 怒りのアクセル踏むしかない 気取ったフリした世情批判   怒りのブレーキ踏み込めば 未練たらしく後に引く 怒りのブレーキ踏み込めば 冷や水浴びて恥を知る 怒りのブレーキ踏めずにいれば 言葉が生まれて書くしかない   〔 2022 年 3 月 27 日書き下ろし。横着者にも怒りをエネルギーに書かされるいまがある〕

きみは事実を知らない

  何のためにきみたちは戦うのか その疑問は戦場から生まれた   演習が戦場になった 遠方からミサイルで都市を破壊する 瓦礫を踏む戦車の後ろに隠れて進軍する 臆病者たちが群れ怯えながら街に入る 歓迎されぬ者たちは砲弾や銃を市民に向けてぶっ放す 瓦礫の中に積まれる屍に吐き気を覚えながらも慣れていく   誰のために戦っているのか 目の前にいる市民を殺すしかなかった 殺されるかも知れない恐怖心が引き金を引かせる 憎悪の眼が脳裏に焼き付いていく 戦うモチベーションなどあるはずはない 戦場に駆り出されて否応なく殺すしか生きる道はない 凍傷飢餓が襲う戦場から自傷して逃げ出すしか術はない   目論見と外れた戦闘は誰も勝利しない ロシア兵の敗北感と絶望感が戦場に充満していく ウクライナ兵の士気は高く維持され持久戦を持ち堪える 戦闘意識の差がさらにロシア兵の戦意を喪失させていく 情報戦は激化し真実は歪められ判断不能に陥る 指導者の暗殺プランも SAS に阻まれ地団駄を踏む クレムリンの指導者はプーチンに愛想を尽かし国を出る 進攻は阻まれ武器は奪われ反撃を喰らう   兵士は何のために戦うのか その目的も信念もなく消耗される徴兵された兵士たち 上官は戦争に突入した真実を知らない 上官もまた命令一下動く軍人に過ぎなかった 上官が最前線に立たなければ士気は高まらぬ 上官も兵士もなぜ死ぬのかわからないまま無言の帰途につく   きみたちは何のために戦うのか きみの亡骸を抱きながら 母は身もだえして悲歎の声をあげる きみたちは何のために戦うのか 死を賭けて守らねばならぬ戦いだったのか 母は無意味な死を受け入れられなかった きみたちは何のために戦うのか 母は無駄死である事実を知った 騙された母は反戦の声をあげる   真実を知ることなくきみは逝った 侵略者という汚名を着せられて黒歴史に刻まれた 母は名誉回復のために立ち上がるしかなかった   ※イギリス特殊部隊「 SAS 」は、すでに十数回の大統領暗殺を阻止しているという。 ...

他人事でしかない

指導といえば許される 指導にすれば隠される 指導に見せれば逃れられる   子どもが憎たらしい 子どもをかもにする 子どもに鬱憤を晴らす   やってることに罪悪感など感じない やればやるほど優越感すら感じてくる やらなきゃ空虚感すら妙に感じる   懲戒免職になるとは思ってもいなかった 指導と称してもっと過激なやつもいる 無視や蔑視や雑言 で痛めつけるやつもいる 校則を盾に脅しをかけて黙らすやつもいる 登校させまいと裏で邪魔するやつもいる しまいには自死に追いやるやつもいる   対岸の火事と思わず自戒せよ たかがこんなことで退職金がパーになる プリントはちゃんと配れよ 給食はてんこ盛りすれよ バレないようにやらんと同じ憂き目に会う   他人事でしかないなら 同じ過ちをおかすだろう 退職金が惜しければ自重しよう 他人事にはできないとするなら 少しは教員らしくしておこう いつまで持つかは本人次第だ 他人事ではないとするなら 言い訳を用意して事に当たろう 管理職は弁明を怠ることなかれ   〔 2022 年 3 月 26 日書き下ろし。 20 年コロナ禍で、担任していた児童 4 人にプリントを配布せず、給食を少量しか盛り付けないなど差別的な行為をしたとして、横浜市教育委員会は 25 日、市立小学校の男性教諭( 46 )を懲戒免職にした。校長( 58 )も減給 10 分の 1 ( 3 カ月)の懲戒処分された〕

ウクライナの国威

敵は我々の命を滅ぼすだけではなく 信条や自由を侵害しているのだ 国を冒涜する許し難き侵略なのだ   悪意に満ちた侵攻は   必ず失敗するだろう ただ一つだけ贈り物をしてくれた   再生への希望だ 市街地をたとえ破壊し尽くされても 多くの都市は屈することなく再建に立ち上がる   戦い続ける覚悟は   より強い団結を生んだ 戦い抜く決心は   服従より自由を強く求めた 戦い勝つ未来は   国民の高潔さと国の名誉を取り戻す道となる   〔 2022 年 3 月 25 日書き下ろし。映画「 End of WHITE HOUSE 」のラストシーンの台詞に刺激された〕

糠に釘の北朝鮮

北のミサイルの高度も技術もお金も高くなる 北のミサイルが北海道沖合に落下した 下手すれば道内直撃が避けられない危険な賭に出た   抗議しても金正恩には糠に釘 屁の突っ張りにもならないポーズの抗議 まともに受けとるはずはない 抗議するだけで何の打つ 手もなく放置してきた 外交ルートも閉ざされて米国頼みの体たらく   ミサイルが発射されるたびに遺憾が繰り返される 遺憾だけでは何の成果もない無用な抗議こそ遺憾 弾道弾追撃ミサイルシステムも脆弱なニッポンの防衛力   J アラート(全国瞬時警報システム)も作動せず 追撃のしようもない無力な防衛体制論 避難のしようもない無為な自衛体制論 米軍の核戦闘力をバックにした国防依存論   ロシアがチョロチョロ海峡巡り 金正恩はドカンと打ち上げミサイル遊び 日本は断固非難をあきずに連呼する   ロシアはいずれウクライナ侵攻で国威喪失 金正恩はいずれ貧困と金欠で国力喪失 日本は無作為すぎて国勢喪失   〔 2022 年 3 月 24 日書き下ろし。北朝鮮は 24 日午後 2 時 33 分ごろ、新型の大陸間弾道ミサイル ( ICBM ) を発射した。同 3 時 44 分ごろ、北海道・渡島半島の西約 150 キロの日本海にある排他的経済水域 ( EEZ ) 内に落下した。一歩間違えば…想像しなければならない事態だ〕

四人の早産児

ウクライナ南東部マリウポロ 産院がロシアに砲撃された 泣き叫ぶ妊婦 負傷した人を抱え逃げ惑う人たち ニュースは衝撃的な状況を世界に発信した   新聞に掲載された一枚の写真に釘付けになった 院内に取り残された四人の早産児 だれもいなくなった冷え切った暗い病室 泣く子に与える母乳もミルクもない   この子らは ただ死ぬことだけで 生まれてきたのか ただ殺されることだけで 生まれてきたのか   〔 2022 年 3 月 24 日書き下ろし。 22 日付毎日新聞「 重なる子どもの遺体 絶望に沈むマリウポリ  AP 通信ルポ・前編」に掲載された写真から〕

ボクはここにいるよ

  ママ! ボクはここにいるよ ママ! ボクをひとりぼっちにしないで   誰かに手を引かれて暗いところにいた ボクは泣きながらママを探した 誰かがボクを強く抱きしめた   ママ! ボクはここにいるよ ママ! ボクをひとりぼっちにしないで   爆弾が近くで落ちた ママに抱かれて逃げた また爆弾が落ちた ママはボクに覆いかぶさった   ママ! 声一つ出さなかった ママ! ママ! 動かなかった ママ! ママ! ママ! 泣き叫んだ   誰かがボクを抱いた   ママ! ボクはここにいるよ ママ! ボクをひとりぼっちにしないで   地下室に爆弾が破裂した   〔 2022 年 3 月 24 日書き下ろし。ウクライナで母親や尊い幼子が殺されていく。昨日ウクライナのゼレンスキー大統領による国会リモート演説が行われた。国会議員たちの胸に去来したのは何か。セレモニーに終わらせてはならない覚悟はあるのか〕