きみは事実を知らない
何のためにきみたちは戦うのか
その疑問は戦場から生まれた
演習が戦場になった
遠方からミサイルで都市を破壊する
瓦礫を踏む戦車の後ろに隠れて進軍する
臆病者たちが群れ怯えながら街に入る
歓迎されぬ者たちは砲弾や銃を市民に向けてぶっ放す
瓦礫の中に積まれる屍に吐き気を覚えながらも慣れていく
誰のために戦っているのか
目の前にいる市民を殺すしかなかった
殺されるかも知れない恐怖心が引き金を引かせる
憎悪の眼が脳裏に焼き付いていく
戦うモチベーションなどあるはずはない
戦場に駆り出されて否応なく殺すしか生きる道はない
凍傷飢餓が襲う戦場から自傷して逃げ出すしか術はない
目論見と外れた戦闘は誰も勝利しない
ロシア兵の敗北感と絶望感が戦場に充満していく
ウクライナ兵の士気は高く維持され持久戦を持ち堪える
戦闘意識の差がさらにロシア兵の戦意を喪失させていく
情報戦は激化し真実は歪められ判断不能に陥る
指導者の暗殺プランもSASに阻まれ地団駄を踏む
クレムリンの指導者はプーチンに愛想を尽かし国を出る
進攻は阻まれ武器は奪われ反撃を喰らう
兵士は何のために戦うのか
その目的も信念もなく消耗される徴兵された兵士たち
上官は戦争に突入した真実を知らない
上官もまた命令一下動く軍人に過ぎなかった
上官が最前線に立たなければ士気は高まらぬ
上官も兵士もなぜ死ぬのかわからないまま無言の帰途につく
きみたちは何のために戦うのか
きみの亡骸を抱きながら
母は身もだえして悲歎の声をあげる
きみたちは何のために戦うのか
死を賭けて守らねばならぬ戦いだったのか
母は無意味な死を受け入れられなかった
きみたちは何のために戦うのか
母は無駄死である事実を知った
騙された母は反戦の声をあげる
真実を知ることなくきみは逝った
侵略者という汚名を着せられて黒歴史に刻まれた
母は名誉回復のために立ち上がるしかなかった
※イギリス特殊部隊「SAS」は、すでに十数回の大統領暗殺を阻止しているという。
〔2022年3月24日書き下ろし。ウクライナはロシア軍の攻撃による子どもの死傷者が288人にのぼると発表した。ロシア軍の死者は1万から1万2千人だという〕