青春の入口でのつまずき
あいつをいたぶるのは爽快だ あいつの泣き顔は滑稽だ あいつは誰にも告れない こいつらはかまってもらいたい こいつらは命じればなんでもやる こいつらとつるめば何でもやれる いじめのアンケートなんかくそ食らえ だれも本音を書くはずない 臆病者は見て知らんふりするしかない アンケートはなかったことにする 先公も知っていながらなにもせぬ 面倒くさくて相手にしない 増える負担は意にあらず 先公にも見捨てられた惨めなあいつ 級友にもシカトされた哀れなあいつ 学校にも居られなくなった残念なあいつ おぞましい顔でニヤリとするきみ 次のターゲットを探す不遜なきみ 無関心を装う者たちの心につけいるきみ きみはあたたかい愛情に飢えていた きみは本心を隠したばかりにしみったれた きみは嫉妬深く皮肉れた物言いで強がった 中学という思春期に歪んだ成長をした 中学という自我の目覚めの機会を逸した 中学という貴重な時間をひたすら浪費した いじめといううす汚れた想い出しか残せなかった 青春の入口は人を傷つける快感しかないきみだった いさめられることもなく嫉妬と謀略が支配した 青春の入口から恥を知らず惨めになっていくきみだった みんな離れていってひとりぼっちを否が応でも味わう 青春の入口でつまずいた報いを痛いほど思い知るきみだった [ 2023 年 1 月 20 日書き下ろし。いじめてきた中学時代、この子は青春を自ら汚していく]