投稿

15歳×5

15 歳の感覚を5回も繰り返す 15 歳を駈ける感覚を 5 回も味わう 75 歳は青春の真っ只中   進学の悩みは生きる悩みに変わった 恋の悩みは人間愛に変化する 75 歳はいまも多感なお年頃   政治への関心はヘルメットを筆に置き替えた 社会への興味はピンボケから鮮明さを増した 75 歳はいまだ好奇心旺盛   教育は子どもから大人へとシフトした 教えられ学ぶことの奥深さに頭を垂れる 75 歳はいつも研ぎ澄ますワンダーセンス   福祉は我がことへと身に迫る 医療は妥協と納得で身をいたぶる 75 歳はこれからダメージに耐える本番   生きることが驚怖だ 生き続けることが驚異だ 75 歳はいつまでも心残りを絶やさず   15 歳は挫折と懐疑の日々だった 15 歳× 2 は疾病と教育理念との闘いだった 15 歳× 3 は実践の承認と評価で躍動した 15 愛× 4 は自遊人として再出発する 15 歳× 5 は克己を心に秘め生き抜く   [2024 年 4 月 9 日書き下ろし。いまも命を今生にいただいたことに、驚怖と驚異が支配する。 15 歳の少年の心残りをいまも忘れぬ ]

赤子のようなニッポン

何もできず傍観するだけ 何も逆らえず従うだけ ひたすら恭順する   秘密裏の情報はリークされる 慎重に準備された企ても暴かれる   何も言えず卑屈に笑うだけ 何も反せず黙認を続けるだけ ひたすら服従する   琉球国は還らず犠牲になる 米軍基地は米国だと放置される   何も言ってはならない 何も変えてはならない ひたすら追認する   米国の思惑が日本を混乱させる 安全保障を盾に防衛費の増額を求める   何も見てはならない 何も聞いてはならない ひたすら尊重する   戦後の日米防衛システムは強靭だ 米国の支配は既成事実でしかない   何が出来るのか 何をすべきなのか ひたすら独立を思惟する   形骸化する民主主義へのささやかな抗弁 米国へ追従する国家権力への微力な批判 [2024 年 4 月 8 日書き下ろし。岸田首相が訪米し日米首脳会談に臨む。米議会での演説が晴れ舞台であり、心躍らせているだろう。余計なお土産を持ち帰る。そして退陣の花道を飾る ]

入学する

ピッカピッカの一年生 ランドセルに背負われて入学する 周りは入学ハッピーを喜ぶ   笑顔満タンで憧れの学校に通う 上級生は親切心を発揮する お世話焼きをエンジョイする   優しい子になってほしい 賢い子になってほしい 丈夫な子になってほしい 親の願いは尽きることない   運動の好きな子も嫌いな子も お勉強も好きな子も苦手な子も みんな一緒くたになって元気に遊ぼう   先生はきっと笑顔でいてくれる 先生は困ったときに助けてくれる 先生はお勉強を易しく教えてくれる 先生は給食を残しても叱らない 先生は一人ひとりを粗末には決してしない   だから安心して学校に行ってらっしゃい ひとつだけお願い 明るく元気なあいさつだけは忘れないでね   新聞に記載された一枚の写真 パレスチナ自治区ガザ 一人の幼い少女が不安そうな表情で水を飲む 食べ物を探して絶望の瓦礫の街を歩く 多くの死骸と破壊を見てきた目は生気を失う 果たしてこの少女は生き抜くことができるのか 直視できぬ少女の姿に出口なき戦争の罪過に憤る [2024 年 4 月 7 日書き下ろし。甥っ子の長女が入学する。その一方でガザの少女が受けた悲劇に強き憤りを感じていた。一枚の写真の強いメッセージ力に打ちのめされる ]

非は認めず

簡単に非は認めない 表現の仕方の違いと突っぱねる 相手が納得するかはどうでもいい ようはうまく丸め込めるかどうかだ   安易に非を認めてはならない 信用が落ちてなめられる 相手が誰でも強気を貫く ようはうまく絡み取れるかどうかだ   熱意があるから強く求めてしまう 不適切な言動とは思わない ただ表現方法に無自覚だった ようは目立たぬよう懐柔できるかどうかだ   非常識では決してない 知性が邪魔して高飛車に出た いや感情を抑制できずに声高になった ようは真意を正しく理解できるかどうかだ   叱責や指導には感謝する 横柄で傲慢に偉ぶったわけじゃない 仕事に地元愛を燃やせと言いたい ようは熱心な余りの勇み足かどうかだ   気遣い無用 対等に仕事をするだけのこと 時代に合わないやり方を強いてしまった ようはパワハラではないと断言しよう   威圧的な表現を無自覚でしたという 何という立場の勘違いか 何という知性の劣化か 何というお粗末な顛末か 自認すべき自省の言葉が抜け落ちる 表現方法の間違えがここに表れる 本末転倒の現状認識にも自覚がない されど詭弁を弄して品格を失う   [2024 年 4 月 6 日書き下ろし。某参議院議員のパワハラ疑惑報道が続く。現状認識が欠落し正当化に走る惨めな姿をさらす。表現方法の間違えはいまの状況だ ]

祝辞

先輩議員は祝福した 厳しい選挙を乗り越え、当選されおめでとうございます 自民党のパーティーは資金の湧き出る泉です 大いに楽しんでいただけるでしょう OB の皆さんや官僚の皆さんが温かく迎えてくれます 権力を笠にした前途洋々の特権階級への門出を祝す   政権与党の多数を誇り慇懃無礼な生き方を示範する 派閥で立身出世へのきっかけをつかむ 変化の激しい政界で立ち位置をしっかり把握する 面従腹背の精神を涵養し弱みを決して見せない 下の者には徹底的に主従関係をたたき込む 恫喝懐柔の技を巧妙に駆使する   同意と異論は半々と覚えよ 支持率は世間の気まぐれに過ぎない いちいち反応せず毅然と構える マスコミはオフレコで飼っておく 己が常にセンターにいると精進する 政敵は罵倒するだけの詭弁を弄する 息抜きは銀座でたっぷり他人の金で遊ぶ 特権は有効に生かし勢力を強化し保持する   悪事は共犯を心がけと外に漏らさず バレたときには男の美学を演じよ 追放? 新しき出発と我を祝福せよ 選挙? 始末の付け方を間違えるな 信念? 立派な政界人として復帰する   立派には決してなれない未熟な政界人   [2024 年 4 月 6 日書き下ろし。叩かれても凹まない。恥をかいても卑屈にならず前を向く。この鈍感力と詭弁力がものいうのが政治の世界。某大学での入学式の祝辞にその正体を知る ]

不公平

同じことをしても評価が違う この差は何だろう 不信がわく   不公平は世の常 人のつながりが優先される 媚びへつらうしかない   同じ失敗をしても処遇が違う この差は何だろう 不満が溜まる   不公平は序の口 改める気運は起こらない 敵愾心は消すしかない   偏った見方は序列となる この差は何だろう 憤りが募る   不公平を黙認 批判すれば立場が危うい 軋轢を避けるしかない   訴えても愚問となる この義憤は何か 良心がうずく   不公平を打破 識見を高め信頼を得る 試練に立ち向かう克己心しかない   [2024 年 4 月 6 日書き下ろし。世の中に不公平感が渦巻く。才覚があっても妥当な評価がなされずくすぶる。無能な者が威圧的に振る舞い、役所では媚びる者たちが右往左往する ]

体裁処分

大半は痛くもかゆくもない 問題の本質の目くらまし   処分に憤るのは数人だけ 政敵を追放する内輪のもめ事   政争で高笑いするのは誰だ 政争で生き恥をさらすのは誰だ   処分という体裁にこだわる 処分という名目に騙される   1 年もすれば元の鞘に戻る 1 年もすれば体制は変わる   問題解明など二の次の隠蔽操作 問題放置のパフォーマンス そもそもの問題は党の体質そのもの   抜本的な改革は建前だけのざる法づくり 政治は金と権力を見せつけて幕引き図る 火の粉を被らぬよう陰鬱な空気が淀む   体裁処分は世論が見抜く 体裁処分に世論は鉄鎚を下す 体裁処分はさらなる不信を重ねる   [2024 年 4 月 4 日書き下ろし。本気度の欠片もない裏金問題の自民党の処分。政治資金の規正を強めても抜本的な政治と金の問題を詰め切れない。改革に名を借りた形骸化が始まる一歩となる ]   ※ 知らぬ存ぜぬの果ての離党勧告 裏金処分、明暗分かれた「 5 人衆」 「私自身が一番重い処分を誠実に受け止めることによって、政治責任を果たしたい。私の思いはそれだけだ」。離党勧告を受け、自民党を離党した世耕弘成前参院幹事長は 4 日、国会内で記者団に述べた。自身の潔白を改めて主張した上で、「幹部が政治的責任を取らない限り、国民の皆様や党内の納得が得られず、事態が収拾できないという大変深刻な状況となっている」とも語り、悔しさをにじませた。一方、 2022 年 8 月に還流継続について、世耕氏や塩谷立元文部科学相と協議した下村博文元文科相と西村康稔前経済産業相は「党員資格停止 1 年」にとどまり、世耕氏らと差が付けられた。また、世耕、西村氏とともに安倍派の実力者「 5 人衆」と呼ばれた高木毅前国対委員長は「党員資格停止 6 カ月」に。松野博一前官房長官と萩生田光一前政調会長はさらに軽い「党の役職停止」にとどまるなど、「 5 人衆」の中でも明暗が分かれた。 ( 毎日新聞 2024/04/04)