廣瀬爽彩さんといじめ認定

明日が来ることはなかった

十三歳の少女はひとり悩み続けた

広い世界にたったひとりぼっちだった

悲しみの涙は涸れることなく凍り付いた

厳冬の公園で私という存在を自ら消した

 

生きたかった

そのサインを平然と周りの大人は無視した

自分がなぜこんな目に会うのかわからなかった

悪童たちは平然といじめ抜いた

目を付けられて言いなりにされ怖くて逃げ出せなかった

教師は悪ふざけが過ぎたと軽くいなした

死んでもなお心ない言葉にさいなまれる母がいた

人の不幸を弄(もてあそ)ぶ者たちには法の裁きが待っていた

 

ひとりで闘う母にいじめではないと学校は相手にしなかった

労をいとわず認定までこぎつけた母の一途さに比べて

責任を回避した市教委や学校の姿は惨めなものとなった

その一念が通じた「いじめ認定」だった

 

学校の教師たちと市教委はどうケジメるのか

散々否定してきたことにどうケリをつけるのか

おかしたことの代償をどう払うのか

マニュアル通りの善後策で矛先を収めるつもりなのか

 

裁判に持ち込むことも可能となった

隠蔽されかけた自死に教育者こそ向き合わねばならない

事実を真摯に受け止め再出発の機を逃がしてはならない

無駄死に思えた爽彩さんの生きたいというおもいを受け止めたい

明らかにすることだけが爽彩さんの死を悼むことになる

そこからしか始まりはない

 

教師が目の前の子らをあたたかく受け止める限り

子らの安全と安心は守られてゆく

風化させてはならない学校と教師の責務を問うために

毎年爽彩さんの自死を目の前の子らと考えよう


教師と子らの信頼をどう築くのか

それが学校という教育の場ではないのか

そこに子どもの成長をともに喜び合う共育がある

 

改めて廣瀬爽彩さんのご冥福を祈りたい

遅々として進まなかった事件の真相解明を求めたい

 

2022329日。道新記事「旭川市の廣瀬爽彩さんが凍死した問題で、市教委の第三者委員会が27日、いじめを認定したが詳細を明らかにせず、報道機関向けに300字足らずの発表をするだけだった。…第三者委の辻本純成委員長は集まった取材陣に「(遺族側から)『いつまでに調査の最終報告をするのか』としつこく言われて悩んでいる」とだけ述べ、足早にその場を去った」という。「しつこく」という言葉は批判か? 母のおもいといかに乖離してきたのかを如実に示す〕

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