ブルーベリーの受難
嵐が去った朝
窓から庭を見た
3日前に植えたゴーヤーが気にかかった
遠目からは異変はなかった
安堵した
視線を左に移した
なんということだろうか
ブルーベリーを支えていたポールが倒れていた
一番太い幹がぶっ飛んでいた
初めて大枚をはたいて買った記念樹だった
思い入れも強かった
去年雪囲いを手抜きした報いか多くの幹と枝が折れた
接ぎ木で育てられた木はその部分から折れていた
3月ビニールテープで補強して無事を祈った
折れた枝も同様の処置をして倒れぬようポールで支えた
春の陽ざしを浴びて芽吹き花を咲かせていった
ただ数本の枝は再生することはなかった
昨日は強風と集中豪雨の荒れた一日だった
まさかが起こっていた
急ぎ庭に降りた
花は散り枝は半分しか残っていなかった
再度同じ補強を試みた
結果は予断を許さない
再生を祈るだけだ
父が育てたシャクナゲも冬の大雪でずいぶん傷つけられた
友人から譲ってもらった紫陽花も枝を見事に半分折られた
生き残った者たちの再生の出鼻を見事に挫いて嵐は去った
小さな庭の受難と再生の物語は尽きることなく続いてゆく
〔2022年5月28日書き下ろし。無性に悔しかった。小さな庭さえ守ることもできぬ無力さか〕