カンゴールのハンチング

カンガルーマークのKANGOL

神戸以来10数年ぶりにマークを見つけた

 

20代の頃神田の古本屋を歩いていた

ふと立ち寄った帽子屋で初めてハンチングを買った

日本製のベレー帽タイプのハンチングだった

いまも現役で二つ手元にある

 

父はハットだった

父は粋にかぶって外に出かけた

棺にもハットを入れてあげた

 

ハットは似合わぬと知らされた

ハンチングは手放せなくなった

30代後半でKANGOLに出会った

 

50代後半三宮阪急駅そばの帽子屋で見つけた

なぜか嬉しかった

暑い関西でも帽子はかぶる

風通しのいい素材を選んだ

 

シーズンごとに店を訪れた

気に入った帽子を手に入れた 

あるとき面白い素材に触れた

KANGOLでは出会ったことがなかった

高かったがたまらなく欲しくなった

 

かぶる機会はなかった

箱に入ったまま手元にある

いつか棺に入れてもらうハンチングとなる

 

年季が入っても型崩れしないKANGOL

KANGOLのハンチングを買おうと内心決めた

2年間コロナウイルスで研修が潰された

来春の研修事業への意気込みを示そう

KANGOLのマークのカンガルーは前にしか進めない

 

20221031日書き下ろし。英国製のKANGOLのハンチングをかぶって、35年も経つ。ものへの愛着とは面白い感情だとつくづく思う]

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