詩劇「私はわたしを生きる」2
[導きの声]
風がまた吹いた
さっと顔をよぎった
【身構える】
私は風のつぶやきを聞いた
この世界は何も知らなかった
すぐには理解できなかった
私は動けなかった
何を求められているのか
何をすべきなのか
ただ立ちすくむだけだった
私は身構えた
風のせいでここにいることを
風のせいでこれから為すことを
私は戻りたかった
平凡な日々の時の流れに
平穏な日々の暮らしの中に
私は風のおもいを感じた
未知なる世界に心動いた
私の中のわたしに誘(いざな)われた
私は風に身を任せた
風は私になった
私はわたしが在るを見つけねばならない
私はわたしを生きるを知らねばならない
私はわたしが生かされるを学ばねばならない
私はわたしを見つけたいと風を身にまとった
[2022年11月30日書き下ろし。詩劇の2編目。私がわたしを生きるための模索が始まる]