描けぬビジョン
ロシアのウクライナ侵攻が潮目だった
世界の牽制バランスが一挙に崩壊してゆく
加害者が被害者然として正義を振りかざす
許容する勢力が戦争を長引かせてゆく
戦地は遠くにありて凱旋の日を待つ
加害者は平穏無事な日常を演出する
岸田政権の支持率は低迷を続けた
それでもなお過去の積み残した国策を猪突に進めた
ロシアの戦時下に危機意識を煽り防衛予算を膨張させた
北朝鮮からのミサイルも効果的に利用した
中国の習近平総書記の台湾への野望も日米を結託させる
時運に恵まれたのは強運だったからか
外交は功を求めて外遊を重ねる
日韓もシャトル外交に動き始める
ドイツへも飛んでいった
どんなに動き回っても払拭できない縛り
アメリカの支配下にある日本を知らしめる
未来を描けぬいま火中の栗を拾う愚を冒す者はいない
遠巻きにしてタイミングを伺う肝の小さき者たち
地方選を前にしたいつものバラマキで票を買い出す者たち
その場限りの処方箋しか出せずに空論を吐く
政策立案の根拠も裏付け予算も示さぬ
威勢がいいだけの虚しい言葉が消えてゆく
さもしさだけが残る現政権への不信は深まる
未来に描く日本のビジョンはなにもない
[2023年3月19日書き下ろし。描くビジョンに何の希望を見いだせるのか]