なぜ引き受けたのか
なぜ引き受けたのか
心ない人がいないこともない
疎(うと)んじられ苛(さいな)まれる
理由(わけ)さえ分からず自責の念にかられる
なぜ引き受けたのか
たじろぎながら立ち止まり考える
やる気も失せて辞めるタイミングを探る
やらねばならぬ理由が薄らいでゆく
でもなぜ引き受けたのか
少しでも何かのお役に立てばとそれだけだった
世間のしがらみからは逃れられないと腹をくくった
もう少し我慢しようと言い聞かせた
引き受け手がいない
後継者が育たない
短期間で辞める
綺麗事では済まされない厳しい現実
そこでしばらく立ち止まった
なぜ歩き始めたのか
葛藤しつつ心動かされる人がいた
薄っぺらな同情では立ち行かない
ここで生きたいという意欲を汲み取った
福祉の崇高な理念をひけらかすことではない
法や制度や福祉サービスでの救済だけではない
ここで果てるまでという思いを受け止めた
才知なきゆえに悩み深くとも動くしかない
ここにわたしが生きる存在理由がある
経験乏しきゆえに憂(うれ)い深くとも動くしかない
ここにわたしの求める生きがいがある
あなたが少し気にかかってきて辞められなくなった
世間と自らに抗(あらが)いながらいまも続ける
あなたに少し手を貸したときの笑顔がたまらなかった
世間と自らにあるべき姿を問いかけなから続ける
あなたが少しでも仕合わせになってほしいと願った
世間と自らに言い聞かせながら民生委員を続けたい
[2023年11月14日書き直し。21年3月24日初出の詩編を推敲した]