飢えの行き着く先

飢える

灼熱の陽が天地を焼く

水は涸れ砂漠のような不毛地帯が広がる

戦火は街を焼く

瓦礫の中水と食べ物をあてもなく探し求める

子らは抵抗力もなく病に冒される

痩せ衰えていく子を抱きつつ

行き着く先を静かに覚る

 

飢える

平和を享受する

金を積めば食糧は手に入る

飽食の胃袋は美食を求める

食べ残しは無造作に捨てられる

飢餓に苦しむ痛みはわからない

想像力を喪失した贅沢は許された

行き着く先は不安なく楽観する

 

飢える

心が満たされない

世の中の歯車に動かされている

何を求めるのかさえわからない

何を得られるのかもわからない

生きることへの虚しさが心を満たす

生きる目的も曖昧となり彷徨する

行き着く先に喜びの欠片すらない

 

飢える

嫉妬と羨望の虜になる

誹謗と排除に心を砕く

欺瞞と偽善が支配する

人としての倫理を問われる

過信と慢心に牛耳られる

社会的な認知すら危うい

行き着く先に生まれてきた喜びはない

 

2024818日書き下ろし。飢える時代を迎える。いかに生きるのか〕

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