国民性は変わらぬ
敗戦後米兵たちが占領地で優越感に浸った
支配された子らはものもらいに走った
ジープの上からガムを撒いた
争うように拾う子らを面白がって嘲笑した
白人という人種は有色人種に侮蔑を与えてきた
飢えていた子らに慈悲ではなく餌をくれてやった
支配者の横暴はいまも沖縄で続けられている
治外法権という劣等国が甘受する法が生きる
日本の独立自尊の確立はいまだ果たせずにいる
対米従属の歴史は大統領の交代でさらに強化される
いつものように米兵の乗ったジープに手を振った
ハローハローと覚え立ての英語を叫んだ
米兵は寄って来た子どもらにガムをばら撒いた
競うように拾う子らの姿を見て和服の女性が近づいてきた
英語で何か言った
友だちの母親だった
米兵は真剣な表情になった
ジープの去った後なんと言ったのかを尋ねた
「あなたの国では子どもにお菓子をやるときに投げるのですか。
この国では必ず手渡しします」
怒らずに反省の色を示した進駐軍の一人であったことが幸いだった
毅然とした女性の態度に圧倒されたのだろうか
侮蔑されている民族にも人として譲れない矜持がある
キリスト教を信仰するのは懺悔で罪を許されるからか
道徳性すら希薄な国民性は次期大統領トランプの言動に凝縮される
そんな男に一国を委ねた自らの判断の過ちを悔いる日はそう遠くはない
暴力と制圧と脅しがまかり通った進駐軍の悪しき歴史
制空権を我が物顔に支配する日本はいまだ米国の属国でしかない
投げられる餌に媚を売ることに慣れて堂々と意見できぬ指導者が続く
トランプの威光になびく政治家たちが志もなく信義を汚す
〔2024年11月10日書き下ろし。女性の逸話は文藝春秋8月号藤原正彦氏の「投げられたガム」から引用する。マナーをわきまえない横柄な外国人たちは、道内の観光地でも顰蹙を買う〕