縁は記憶
人の縁は良くも悪くも記憶である
記憶に強く残れば残るほどに縁が深い
記憶に残らなければ縁はない
動かされた心の鮮やかな形跡を残す
忘却は縁の選別を無意識にする作用か
忘却は無縁を自動的に削除する機能か
良き縁は保存期間を継続する
想い出しては確認して納得する
良き人生の節々の出会いに感謝する
苦しき人生の時折に回復力を授ける
熱き人生に導く恋心を注ぐ
喜ばしき人生に自信と誇りを与える
悪しき縁は棄てがたき因縁を生む
想い出しては悔悟し雪辱を期す
悪しき人生にならぬよう警戒する
苦渋の人生に決別する契機にする
裏切られた人生に人間観察力を学ぶ
回復の人生は忘れ得ぬ屈辱をバネする
人の縁は記憶である
縁は共感し続けて慈愛を育み耕す
縁は互いに必要な存在として明かす
縁は紡ぎ続けて仕合わせな人生を彩る
記憶がまだらになれば縁が薄らぐ
記憶を失えば縁は切れる
最期に残った記憶が良き縁でありたい
〔2025年8月26日書き下ろし。縁は記憶であるがゆえに、残すことと棄てることの狭間は何だろうか〕