空っぽな箱

空っぽな箱だった

そこには苦痛だけがあった

そこには涙だけが残された

空っぽになったのは心だった

 

空っぽな箱だった

そこに学ぶべきものはなかった

そこに学ぶべき人もいなかった

空っぽになったのは頭だった

 

空っぽの箱だった

そこは学校という名の窮屈な箱だった

 

空っぽな箱だった

そこに求めるものはなかった

そこに求めることもなかった

空っぽにされたのは好奇心だった

 

空っぽな箱だった

そこになぜ行かねばならぬのか抗った

そこになぜ居場所がないのか納得した

空っぽにさせたのは違和感だった

 

空っぽの箱だった

そこは教育という名ばかりの高尚な箱だった

 

空っぽな箱だった

そこにとどまることはなかった

そこから離れることが救いとなった

空っぽの心が少しずつ癒やされてゆく

 

空っぽな箱だった

そこに執着することはなかった

そこから学んだものは葛藤だった

空っぽの頭が少しずつ希望で満たされてゆく

 

空っぽの箱だった

そこは試練という名の不要な箱だった

 

空っぽな箱に気づいた人がいた

そこでなにをすべきかを思案した

そこに人としてのあり方を問うた

空っぽやみは己の不作為だった

 

※「空っぽやみ」とは北海道の地方弁で「融通の利かないこと。気の利かないこと」

 

2025828日書き下ろし。2学期が始まった。登校拒否をする子が葛藤する〕


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