夏の別れ
帰省の短い避暑は終わる
札幌はお盆の間温度差が10度もあった
猛暑の中夜の涼しさで救われた
孫を連れての里帰りを終えた取材風景
千歳空港でお決まりの涙の別れを映し出す
抱きしめた孫の涙にやるせなさを感じる
このときほど切なさは胸いっぱいに広がる
高齢の老夫婦はいつまた会えるのか不安を抱える
お互いの身体をいたわりながらその日を待つ
孫たちがいなくなった家に戻るしかない
緊張は一気にほぐれ力が抜けて疲労感を増す
夜の華やいだ夕餉の賑わいはいまはない
数日の滞在は祭りのような高揚感に満たされた
孫の成長が空気を変化させていることに気づいた
変化のない日常とは全く違う異質な世界だった
テレビ電話で顔を見て話すことは出来た
メールのやり取りで近況を知ることも出来た
でも直接肌で感じて会話するのは嬉しい
老夫婦の生き様をその目に焼き付けたい
人の生き死にを想像する力こそ優しさを培う
人間としての情感を豊かにしてほしいと願うばかりだ
離ればなれに暮らす家族が年に一度の再会を終えた
孫たちも夏休みのラストスパートに入るだろう
互いの無事を願いながら明日からまた平穏な日常に戻る
暑い夏の風物詩に刻んだ想い出を大切にしながら暮らす
老体の回復には秋風の吹く季節まで待つしかない
〔2025年8月17日書き下ろし。孫との別れを惜しみつつ、高齢夫婦は日常に戻ってゆく〕