イデオロギーの是非

果たしてイデオロギーはあらねばならぬのか

高尚な思想を理解することすらおぼつかない

揺るぎない信条など持ち合わせてはいない

行動を律する規範を課するには甘すぎる

深く思索する観念すら求めるに足らぬ

凡人はその是非を判断する外に置かれる

それでもなお坦々と暮らす

 

そもそもイデオロギーを持たねばならぬのか

理解不能な理念を生き方にはできない

一徹通した信条が正しいのかわからない

己を律する厳しさなどそもそもない

思索するだけの知見は疑わしい

凡人はその是非すら問うことはない

それでも何事もなく暮らす

 

たとえイデオロギーがあったとしよう

取るに足らない思想もそれなりにしなかい

揺らぎを止めぬ信条は不安でしかない

迷う行動も倫理観すら惚けてゆく

思索は迷走し定まることはない

凡人にはそのレベルの能力でしかない

それでも人並みに暮らす

 

もしイデオロギーを失えばどうなるのか

思想は理念も理想も追求しない

信条は脆く折れ心の芯を削ぐ

行動を律しなければ欲望に走る

思索は劣化して自堕落を映す

凡人でも失えば希望を放棄する

それゆえに足らぬ己と知りつつ生き抜く

 

※イデオロギー (ドイツ) Ideologie ①社会集団や社会的立場(国家・階級・党派・性別など)において思想・行動や生活の仕方を根底的に制約している観念・信条の体系。歴史的・社会的立場を反映した思想・意識の体系。観念形態。②特定の政治的立場に基づく考え。

 

2025916日書き下ろし。イデオロギーを問われる機会はない。果たして己はどう生きてきたのだろうかを問う〕

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