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昔の人はね

80 年も過ぎればもう昔 昔の人はねって 口に出す昔の人っていつの人   太平洋戦争のあまたの犠牲も懺悔も 戦争を知らない世代で無に帰される 原爆投下すらいまも米国は正義と語る イスラエルのガザへの無差別攻撃は ホロコーストの大量虐殺を無にする 三代目には歴史の痕跡に過ぎないと おごるナチスと同じ轍を踏む   昔の人はね 惨たらしい過去を忘れられない 身を粉にして平和を築いた いまの人はね 享受する世界をエンジョイする はかない望みはそもそも抱かぬ   昔の人はね いまのもんはと叱れない 長生きした分世話になる いまの人はね 昔のことなどどうでもいい 無関心と無頓着で生き延びる   昔の人はね 授けられた教えは時によみがえる 禁じられた教えは時に身を救う いまの人はね 古い教えなんか聴く耳持たぬ 価値観違うと教えに逆らう   我は戦争を知らずに昔の人になる 伝えるべき人知らずして朽ち果てるのか   〔 2024 年 5 月 19 日書き下ろし。昔の人の範疇は、祖父母までか。次世代は歴史を学ばず、社会力を奪われていく〕

人間の評価

人間を評価する そもそもどんなものさしで評価するのか   人間が評価する 果たして何をどう評価するのか   人間を評価する そもそも評価しうる人なのか   人間が評価する 果たして信頼できる人なのか   人間を評価する そもそも評価とは何なのか   人間が評価する 果たして受け入れられるのか   人間を評価する そもそも評価は何のためにあるのか   人間が評価する 果たして偏った見方は除かれるのか   人間を評価する そもそも己の都合で見分ける   人間が評価する 果たして相手の都合が優先されるか   〔 2024 年 5 月 18 日書き下ろし。自分が相手にあしらわれることも多々ありか〕

借り物

限りある存在 宇宙からのギフト 借り物のいのちを纏う   奇跡である存在 宇宙の一刻 悠悠たる時に瞬く   意思ある存在 宇宙の気まぐれ 驚怖ゆえに神にすがる   感情ある存在 宇宙の無意識 畏怖する宿命にもだえる   欲望に満ちた存在 宇宙の意図 創造への情動を導く   理知なる存在 宇宙の無作為 進化から破滅を予言する   借り物の存在 宇宙の一命 世に果たして何を返すのか   〔 2024 年 5 月 15 日書き下ろし。生命も人生も世の中も宇宙からの借り物。いつかは返さねばならない。その返し方が問われる〕

怨嗟の念

恨みを胸に深く沈める 嘆きを堪え唇を噛む 裁きを求め一念す   罪なき罰に憤る 自由を強奪される 存在すら否定される 社会からも見棄てられる   見下した蔑視の嘲笑 拒絶する差別の暴言 認めない傲慢な悪意   貧困をいたぶる富裕感 無学をもてあそぶ優越感 弱者をいじめる高揚感 病者を遠ざける排他感   選ばれし者の権利を主張する 認められし者の特権を享受する 期待されし者の能力を評価する 世は支配者と隷属者に二分される   怨嗟の念は受け継がれていく 怨嗟の涙は枯れることはない 怨嗟の根は腐ることはない 怨嗟を晴らす日は果たして来るのか   〔 2024 年 5 月 15 日書き下ろし。怨嗟の声が聞こえる。罪なき人への卑劣な言動が閉塞する社会に巣くう〕  

初孫を祝う

やわらかき姿は まばゆいばかりに輝き 紅に染まりし唇は 乳を求めて愛らしい   両手を握り離さぬものは 自由と愛を希する種 薫育を学びし親に包まれる 野の花のたくましき種に似る   溌剌と大地を駈けよ 真心いっぱいに愛されよ 単音の愛を集めて奏でよ 翔翔にして健やかなれ 大らかに心遊ばそう   岩をも砕く潮の如く 宇宙に芽生えし新たな命に 有情のおもいを注ぎ続けたい ただひたすらに無事を祈る   〔 2024 年 5 月 15 日書き下ろし。昨日知人に孫が生まれた。祝詩を贈る〕

教師に足りないのは

足らぬ足らぬで不満が絶えぬ 超過勤務も手当なし   足らぬ足らぬと人材不足 やらぬ先から手を余す   足らぬ足らぬで時間がない 本業できず雑務に追われる   足らぬ足らぬと言い訳できる 子どもに塾学を押しつける   足らぬ足らぬで超多忙 手抜きのスキルを磨くだけ   足らぬ足らぬと声上げる 貧しい指導力は棚上げす   足らぬ足らぬはプロ意識 教育理念は特になし   足らぬ足らぬを自覚する 子らと向き合う大事な時間   足らぬ足らぬはまだ足らぬ 欲は深く信頼は浅く   足らぬ足らぬを己に問う 謙虚さが共育者への確かな道となる   〔 2024 年 5 月 14 日書き下ろし。厳しい現場で汗を流し続けてきた厚き先輩のおもいは、きっと意識されることはない。だた足らぬ共育力は実践から生まれていく〕  

他組織と事を為す

事を為す 他の組織と動く 企画が固まる 事務局は体制を組む   具体策を提案する 合意形成を図る 各担当を割り振る 事務局は統括する   日程を精査し詰める 担当で準備を進める 進捗を確認する 事務局は指示系統を確立にする   意見と称した横やりには毅然とする 権限があるかのような言動は戒める 不快な発言や意欲を削ぐ空気を排する 事務局は他組織との協議の是非を判断する   異なるおもいと利が重なる 舵取りは難しい 共感を生むことすら叶わない 事務局は割り切って目的達成に臨む   事前には様々な問題が生じる 進捗状況の確認と奨励が必要となる 新たな提案にも迅速に対応せねばならない 事務局の調整能力が発揮される終盤となる   事を為す日 一任して運営するしかない 綻びは臨機応変に対応する 事務局は後始末まで緊張は解けない 〔 2024 年 5 月 14 日書き下ろし。 25 年前 2500 人が集った全国ボランティア研究集会北海道大会の事務局長だった当時の大会運営をふと想い出した〕