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ネットが繋がらない

仕事しようと出向いた ネットの通信環境が不具合を起こしていた ネットに上げたデータが取れなくなった 繋がればと一途の思いは裏切られた 一日中ここでは通信が不安定だった 繋がる機種もあったが持ち込んだ PC は無力だった   ネット社会の落とし穴にはまった いつでもどこでもは神話に過ぎない 原因もよく分からず回復を待つしかない 一時的にサーバーに負荷をかけることはある 日常業務で使っている現場では想定済みだ プリントアウトも無線 LAN で繋がっている 今日の仕事は諦めた   繋がらない以上出直してくるしかなかった 通信環境の保守はネットの信頼に関わる ネットを切断しても対処できる仕事のつくり方が肝心か それくらいでドタバタせず日々の仕事をこなす ネット社会のリスクを知った上で運用する それがいまどきの仕事処世術と知った   自宅に戻り取り残した仕事の段取りを始める 今度はネットに頼らず事前に必要資料を持参する これが確実な方法と学んだ 約束の日まで数日間猶予があったのは幸いだった ネット社会への依存症を認めつつ対処法を身につけねばならぬ 昭和の時代のこんなもんだが蘇った   〔 2024 年 6 月 17 日書き下ろし。ネットに保存したデータを使おうという目論見は頓挫した。プリントアウトした資料を持ってコピーするのが早いか〕  

任期切れより…

長いトンネルだった 低迷する支持率から抜け出せない どんなパフォーマンスも通用しない どんな政策も効果は見えない やる事なす事裏目に出て万事休す   すでに賞味期限は切れていた 偽りのシール貼りに明け暮れた いまはレームダックと揶揄される 退陣の現実味を帯びながら G7 で晩餐を愉しむ ままならぬ国政に一時の安らぎを求めて外遊する   いつまで外交かぶれをアピールするのか 信頼できない代表に G6 は疑心暗鬼で応対する 不甲斐ないと知ってか知らずか笑顔が憎い 仏マクロン大統領もレームダックで解散総選挙を打つ 帰国後得意の手のひら返しの解散選挙もないことはない   地方から国会議員から岸田降ろしの風が吹き始めた 次の総裁選挙は立つに立てない情けない不信感 腹をくくって破れかぶれの総選挙に打って出る 負けて元々敗れても離反されるよりもいいだろう   国民の審判はヤジロベエの如し 野党のだらしなさでどっちに転ぶかわからない 都知事選を待つよりも解散宣言で一気に政局とする 若い者たちも棄権などしてはおられない   任期切れまで何をしでかすか分からない 余計な事を閣議決定されてはたまらない 時事通信の世論調査は内閣も自民党も支持率 16.4 %と低迷する 次がいないのではなくさせない体たらくな自民党の内部抗争 若手も黙っていないで表に出て気概を示せ 老々支配を変革する立ち上がる狼煙を是非みたい  〔 2024 年 6 月 16 日書き下ろし。国会の会期末、政局は生まれるか。注視したい〕  

曖昧な境目

白黒をはっきりつけたい 善か悪か区別がつけばいい 果たしてそうか   行為の目的が問われる この人には善を施しても この人には悪になるかも知れない 事にはいつも裏表がある 曖昧な境目でつい戸惑う   判断不能なときもある どっちをとってもいいことはない どちらか少しましな方を選ぶしかない 曖昧な境目でつまらぬ悩みとなる   人柄を見分ける 長所が欠点を補い足りるのか 丸ごと受け入れるしかない 曖昧な境目は残して人間味を出す   批判する 事の成り行きを見て口を出す 事の顛末を知って叱責する 曖昧な境目は成否の価値で決まる   割り切ってはならない 人との関わりはグレーゾーンを知る 白か黒かの対立は避けるしかない 曖昧な境目こそ曖昧にする   区別しきれない 徒労に帰してふぬけになる 果たして人を見る目はあるのか 曖昧な境目は己の人間力を問う   〔 2024 年 6 月 16 日書き下ろし。曖昧なままで関係を続ける。世の習いか〕  

始まりの記憶

今日は父の日だった   小学校入学の日 学校の玄関前にオンコの大樹が居座っていた 常緑針葉樹で秋には甘い赤い実をつける木だ   長男の入学式に父は出た まだ 28 歳の若さだった 息子は目を盗んで木に登った 太い枝に太ももが挟まり抜けなかった 泣きながら声を上げて父を呼んだ 父は笑いながら抱き上げてくれた 大勢の前で父に助けを求めた 恥ずかしさを知った始まりだった   近所に年上で悪ガキがいた 弟が意地悪をされた 兄は猛然と抗議した なんと強い兄なのかと弟は思っただろう 窓から外をうかがう父の姿があった ここで逃げたら父に叱られる 必死のおもいで挑んだ 強い者も達者な口にはかなわず退散した 腕力だけではないと知った始まりになった   小学 5 年の時虫歯を抜く 母は父を監視につけた 診察に いちいち質問しては治療を拒んだ 手に負えないと母は判断した その日突然の宣告で覚悟を決めて抜かれた それ以来歯の治療は一人で行けるようになった 黙って 男の威厳を 示した予科練帰りだった   子どもの頃の事件は父子の心を育てていた 子の後ろ姿を見ていた父の視線をふと感じた   〔 2024 年 6 月 16 日書き下ろし。 6 月の第三週の日曜日、父の日に上の娘は日本酒を、下の娘はアップルペンを贈ってくれる。ペンは先にお上がりでもらった iPad 用だ。お絵かきできるというので、ネットで中古を買ってもらった。来週届けるという。ありがたいことだ。彼女らに父とのどんな始まりがあったのだろうか?〕

無明の闇

無明世界にある者よ 煩悩の深き海に溺れているのか 昏迷の暗き森に彷徨(さまよ)うのか   無明の眠りにある者よ 欲望と執着に囚われるのか 恥辱と悪行に塗れるのか   無明の酒に酔う者よ 本心を誤魔化し逃げるのか 真理を遠ざけ無知を曝すのか   無明の闇の明けぬ者よ 真理は闇に隠され知るよしもない 煩悩は闇に隠れて己を支配する   〔 2024 年 6 月 16 日書き下ろし。欲望と執着心にさいなまれる人間の業は、なんともし難い無明の闇に生きる〕

一字の誤字

一字を間違った 「わたし」が「わたい」になっていた ぬくもりを感じたのは錯覚だった ほんとは「あたい」だろうと笑った   一字だけでも雰囲気が変わる 言葉っていまさらながら面白い 何かの弾みで「わたい」にもなりそうだ なぜか「あたい」と見間違う   一字の誤字で時間を費やす 何度見直しても間違えはある 発見したときの不快感を拒めない 仕事を終えた開放感が一気に縮む   一字で評価が下がる 正確に記さなければならない テストでは必然かと思う 反面あら探しのようにも感じる   一字のこだわりも生まれる 誤字なら直さなければ落ち着かぬ 公になる文書ならなおさらだ 神経質のようだが仕方がない   一字で迷うこともある 助詞ひとつでしばし考える 表す意味がずいぶん違ってくる 詩文が違う方向に引っ張られる   一字の誤字に気づくのもいい 注視力が試される 漢字の誤字は語意を取り違える やってはいけないと肝に銘じる   〔 2024 年 6 月 15 日書き下ろし。今日仕事のレジュメを書いて mail に添付した。しばらくたってから誤字に偶然気づいた。訂正版を送った。何かしら気恥ずかしかった〕

畏怖する者たち

あまりのことに怖じ気づく 何もできず立ち尽くす 何も発せず黙り込む   変わり身の早さにおののく 豹変する態度に言葉を失う 極端な考えに威圧される   裏表のある人間を畏怖する 裏切られることを覚悟する 反発できぬことに苦悶する   正義を振りかざす人間を畏怖する 反論できぬことが口惜しい 共感できぬことで難を逃れる   権威をかざす人間を畏怖する 無知であるがゆえに専制される 非力であるがゆえに強奪される   強欲に満たされぬ人間を畏怖する 貪欲に獲物を狙う目が狂気を生む 屍すら容赦ない非情さが凶器を生む   金力を誇示する人間を畏怖する ひとつかみの者たちが世界を席巻する 君臨する者たちで世界経済が激動する   宗教にのめり込む人間を畏怖する 狂信的なドグマが心を支配する 偏狭的な信者は武器を手にする   世界を終わりに導く者を畏怖する 狂喜した者たちが共に敵愾心を煽る 狂乱した者たちが共に敵対心をむき出す   こき下ろしたい者たちを畏怖する 悪徳に非力さをさらけ出す 反抗はできぬが関心だけは奪えまい   〔 2024 年 6 月 14 日書き下ろし。こき下ろしたい者たちがなんと多いことか。悪行ばかりの世情に非力さを感じながら、それでも関心だけは奪えないと高をくくる〕