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わたしは正しい

何を持って正しいとするのか 相手のミスで責められるのは筋違いだ 間違えることはないと確信している 反省すべきなにものもない 決して咎められることはない わたしは真っ当だ   何を持って違うと言うのか 相手の考え方を良しとするのは偏っている 正しい考えにそった行いと確信している 批判されるべきなにものもない 決して意を覆すことはない わたしは正しい   何を持って不遜というのか 相手の態度を無視できなかっただけだ 相手の身になった指導と確信している 非難されるべきなにものもない 決して中傷されることはない わたしは信じる   何を持って倫理というのか 幼子への敬意を払わなかっただけだ ルールを身につけねばと確信している 否定されるべきなにものもない わたしは正しい   何を持って怠惰というのか 幼児は好き勝手に行動しているだけだ 自由保育の方法だと確信している 裁量されるべきなにものでもない わたしは引き下がらない   何を持って保育というのか 幼子への慈愛は邪魔になるだけだ 叱って泣かせてもいいと確信している 追及されるべきなにものもない わたしは正しい   何を持って共育というのか 慕っているのか疑ってるだけだ 無視や威嚇もないと確信している 反目されるべきなにものもない わたしはめげない   何を持って仕事というのか 労働に見合った処遇を受けるだけだ 苦情がなければ適当にと確信している 配慮されるべきなにものでもない わたしは正しく保育士だ   〔 2025 年 11 月 26 日書き下ろし。保育士の様々な言動幼児の不安を見る〕

どう勝つのか

勝つとは何か 競い合うことの DNA 学力主義という知育偏重の盲従 学歴主義という教育偏重の妄信 資本主義という利潤偏重の歪曲 宗教主義という原理偏重の曲解 覇権主義という侵略偏重の妄想 平和主義という理念偏重の幻想 この闘いからいかに勝つのか 何のために勝つのかを問わずして ただ勝つ手立てを熟考し動くのみ 負けることは決して許されぬ熾烈な世界だ   勝つとは何か 手段を選ばず屈服させる 成果を比べ有利性を誇る 社会的地位や財力を得る 支配と蔑視を許される 正義は勝者の権利となる ただ努力が常に報われる保障はない 卑劣な手段もまた勝つために不可欠なのだ 情愛を断ち冷酷にならねば勝利は遠のく どう勝つのかだけが問われる 何のために勝つのかは邪念をもたらす ただ勝つという栄華を求めて動くのみ 負けることは存在価値を喪失する世界だ   勝つとは何か 徹底的に勝ちに拘ることが唯一だ 事を成し遂げるまで諦めない意思が試される 状況に応じた柔軟な思慮と的確な判断が求められる 常に己との葛藤の中で克つという精神を鍛える どう勝つのかだけを問う 何のために勝つのかは後付けで構わない ただ勝つという容易ならぬ難関に挑むのみ 負けるという文字はすでに消去された世界だ   勝つとは何か 負けるという選択肢はあり得ない もしもという想定もしてはならない 勝つことだけを意識する過酷な闘いだ 薄っぺらな共感性を棄て弱さを自覚する どう勝つのかだけを問う 何のために勝つのかは不問とする ただ勝つという栄誉を求め続ける 克服するのは負けを認めぬ意思の世界だ   〔 2025 年 11 月 24 日書き下ろし。勝つとは何かを問う〕  

赤いテキストの編集作業

12 月民生委員の改選が行われる 新たに委嘱される委員には厳しい三年間となるやも知れない なり手不足の問題は定員割れをさら広がる 人材不足の余波が地域の福祉を後退させうる 担当範囲と対象の増加は現実味を増していく 三年は団塊の世代が踏み止まった地域も少なくない 三年後の改選期に彼らがリタイヤする時に深刻な事態となる 定員数の削減ではすまされない厳しい現実に向き合う いままでのようなボランタリーな活動に寄りかかるのは限界だ 公の制度として機能させるには処遇の改善を含め活動の精選も必須だろう むろん自治体の福祉行政の根本的な考え方や進め方も問われる さらに市町村の民児協組織の運営の改革も求められていくだろう 民生委員制度の始まりから 110 年になろうとするいま 制度そのものの改革が喫緊の課題として示されている   新任の民生委員・児童委員を対象とした法定研修の講師を務める 道民児連から依頼されて 7 年目になる 1 月末から 2 ヶ月間全道 14 管内で開催される 冬期間の移動は悪天候と交通機関の運行が悩みの種だ 改選後の 1 年目は 2000 人前後と参加者が一番多い 2年目3年目は初年度に受講できなかったり途中で委嘱された委員を対象とする 法制研修だけに人数の如何を問わず毎年開催する 稚内や網走までは自宅から9時間超をバス→地下鉄→乗車待機→バスと移動する 根室は釧路からレンタカーでの移動となる 吹雪をついた移動も何度か経験したが老体には限界を感じている   この時期研修用のテキストを編集するのが恒例となった 研修スタイルはいまでは認知されてきたが「詩集」を介したワークショップだ 改選の度に詩集を編んできた 3度の詩集をいま手がけている最中だ 前の改選から三年間で書いた詩篇の 1300 本余の中から選ぶ 道民児連の機関誌「アンテナ」に寄稿した詩篇は特別編で組む 限られた頁数に 60 編ほどの詩篇を新たに編集する作業だ 大まかなストーリーをつくり大きなテーマごとに候補を選ぶ それが第一段階だが油断すると数が膨れ上がる 基準や判断も甘くなり焦点ボケも覚悟する 優柔不断があえてこの段階では容認する 問題は新...

つなぎ直し

暮らしが難儀になってきた 光熱費も食費も上がるばかりだ 医療費も高くなり風邪など引いてはいられん 使わない介護保険料は強制的に徴収される いまさら節約節制してもおぼつかない 富む者との格差が際立つ   子育て世代は保育や教育費に追いまくられる 働き方改革なんぞ体のいい言葉の綾でしかない 中小企業は賃金を上げるのに死活問題になった 先の見えない世界の経済の動向も株価だけが上がる 日米の安保で防衛費はさらに上がりいらぬ武器まで買わされる 死の商人は世界を闊歩し高笑いを繰り返す 集団的自衛権を巡る中国との確執は外交努力を重ねるしかない 30 %の国民が戦争を容認するという馬鹿げた世論が出てきた 富む者はこれに乗じて儲け若者は銃を持つ事態を想像する   未来を語るに何を持って語りうるのか 暮らしでの住民同士のささやかなつながり 地域での縮充のまちづくりへの発想の転換 仕事の収益の公平な社会的な分配 安心と安全を保障する矜持ある国政のあり方 他国との対立を緩和する文化と人のつながり 「つなぎ直し」という言葉がキーワードか   つなぎ直しは何をどうするのか 事態を見極めその問題の本質に迫らねばならない 具体的な目的と手法を持たねばならない 誰がどう動くのかも先を見すえた創造力と想像力が試される そう考えると簡単な取り組みではないと尻込みする ただの民草が出来ることではどうにもならない   諦めず顔を上げて聞いてほしい ただひとつだけやれることがある 周りの人とのつなぎ直しを意識することだ つなぎ直しする価値を見出すことだ そこからしか民草の暮らしは変えられない 出来ることはひとつだけ 言葉のつなぎ直しから始めたい   〔 2025 年 11 月 23 日書き下ろし。つなぎ直しは喫緊の社会課題か〕  

わたしっていったい

わたしっていったいどこからきたの 存在そのものが宇宙の神秘なんだよ   わたしっていまどこに立っているの 宇宙の奇跡の一点だと言っておこうね   わたしはいったいこれからどこに向かうの 宇宙の時空間を駈けて明日への旅を続けるのさ   〔 2025 年 11 月 26 日書き下ろし。わたしという存在を子どもに問われた〕

時を失う

世に余されて在る 世に告げる言葉なし 時を失いし男は沈黙する   世に仕打ちされて在る 世に弁解の言葉なし 時を失いし男は消沈する   世に抗えず在る 世に訴える言葉なし 時を失いし男は沈思する     世に躓(つまづ)いて在る 世に評される言葉なし 時を失いし男は後悔する   世に無視されて在る 世に支援する言葉なし 時を失いし男は孤立する   世に見放されて在る 世に求める言葉なし 時を失いし男は忍従する   世に流されて在る 世に刃向かう言葉なし 時を失いし男は服従する   世にもまれて在る 世に一石を投じる言葉あり 時を失いし男は準備する   世に生まれて在る 世に問う言葉あり 時を失いし男は時を待つ   〔 2025 年 11 月 22 日書き下ろし。時を失うことに不安を感じた過去を思い起こす〕

とけない

とけないとけない何とけない クロスワードの言葉が出ない たったひとつに四苦八苦 これがゲームの醍醐味か   とけないとけない何とけない 人のおもいは判断つかない 出会いの印象は悪くない 真意を読み切れぬ葛藤か   とけないとけない何とけない 思い込みから逃れられない 誤解や偏見にすら気づかない 不利益こうむってわかる悔いか   とけないとけない何とけない 抱えた問題解決できない 高をくくって舐めてしまった 手腕が試される瀬戸際か   とけないとけない何とけない 絡んだ人間関係ほどけない 修復図るが無視された 利権が絡めば残るは疑義か   とけないとけない何とけない メディアの意図がつかめない つまらぬ低俗番組垂れ流す 知性の劣化を計るプロパガンダか   とけないとけない何とけない 世間のしがらみがうっとうしい 何かあら探しをされてる気分だ 付き合いは溶け込む手加減次第か   とけないとけない何とけない 不当に自由を拘束された 解放されると甘く見た 対立する異論を排除する横暴か   とけないとけない何とけない 交わした約束破られそう 信じていたのにほつれていく 解(と)けてはいけないつながりか   とけないとけない何とけない オレっていったいなにもんだ 度胸も器量もたいしてありません 折り合い付けつつどこに向かって生きるのか   〔 2025 年 11 月 22 日書き下ろし。今朝降った雪が融けないだろうか。発想は単純〕