赤いテキストの編集作業
12月民生委員の改選が行われる
新たに委嘱される委員には厳しい三年間となるやも知れない
なり手不足の問題は定員割れをさら広がる
人材不足の余波が地域の福祉を後退させうる
担当範囲と対象の増加は現実味を増していく
三年は団塊の世代が踏み止まった地域も少なくない
三年後の改選期に彼らがリタイヤする時に深刻な事態となる
定員数の削減ではすまされない厳しい現実に向き合う
いままでのようなボランタリーな活動に寄りかかるのは限界だ
公の制度として機能させるには処遇の改善を含め活動の精選も必須だろう
むろん自治体の福祉行政の根本的な考え方や進め方も問われる
さらに市町村の民児協組織の運営の改革も求められていくだろう
民生委員制度の始まりから110年になろうとするいま
制度そのものの改革が喫緊の課題として示されている
新任の民生委員・児童委員を対象とした法定研修の講師を務める
道民児連から依頼されて7年目になる
1月末から2ヶ月間全道14管内で開催される
冬期間の移動は悪天候と交通機関の運行が悩みの種だ
改選後の1年目は2000人前後と参加者が一番多い
2年目3年目は初年度に受講できなかったり途中で委嘱された委員を対象とする
法制研修だけに人数の如何を問わず毎年開催する
稚内や網走までは自宅から9時間超をバス→地下鉄→乗車待機→バスと移動する
根室は釧路からレンタカーでの移動となる
吹雪をついた移動も何度か経験したが老体には限界を感じている
この時期研修用のテキストを編集するのが恒例となった
研修スタイルはいまでは認知されてきたが「詩集」を介したワークショップだ
改選の度に詩集を編んできた
3度の詩集をいま手がけている最中だ
前の改選から三年間で書いた詩篇の1300本余の中から選ぶ
道民児連の機関誌「アンテナ」に寄稿した詩篇は特別編で組む
限られた頁数に60編ほどの詩篇を新たに編集する作業だ
大まかなストーリーをつくり大きなテーマごとに候補を選ぶ
それが第一段階だが油断すると数が膨れ上がる
基準や判断も甘くなり焦点ボケも覚悟する
優柔不断があえてこの段階では容認する
問題は新任に何を考えてもらうのかを明らかにすることだ
6年も同じ研修をしてきて不思議なのは確信が持てないことだ
研修で使用する詩篇は20編以下だ
テキストの残りの詩篇はお土産になるだけの詩集なのだ
読むかどうかは自由だがそこに静かに詩と向き合う人がいる
研修の余韻以上に詩との会話でおもいを確かめる時間となる
心に語りかけ心を動かす詩篇とは何かと手探りしてきた
確信はないからこそ想像しつつ悩みながら決めていく
そこに新任の民生委員へのメッセージ力が試されていく
様々な個々の事情で引き受けた民生委員に戸惑っている
社会的責務の重さも感じながら不安を抱えている
果たして全うできるのかという畏れも感じている
何かひとつでも解消できるヒントを探しに研修に来た
その心内に問いかけていまの心境を裸にする
そこで本心と向き合いつつ必要な人間としての覚醒を果たす
そんなストーリーは夢物語でもあるが書き続けるしかない
反撥と葛藤そして妥協から人は自分の生き方と向き合う
詩はその言葉を通して静かに心に沁みてゆく
詩を媒介にした自己対話は自己承認へと傾斜していく
出会った詩に己を映しながらたじろぎながら前を向く
いままでの人生でそんな機会は皆無だったであろう
だからこそ詩を通した研修は新鮮な体験となり意欲を喚起する
どんな詩と出会わせるのか
研修を担う者の鋭意と誠意でしかない
赤い表紙の「赤いテキスト」は道内の五千人超の民生委員がすでに持つ
〔2025年11月24日書き下ろし。今日から選詩の第二段階に入る〕