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恩恵に群がる者たち

言わずと知れた方々 力がないだけたかり上手 理念を捨ててもまとわりつく   言わぬが花の方々 露骨に見せる損得勘定 信念なく数を頼るしかない   言っても無駄な方々 悪戯なことならすぐに証拠隠蔽 誠意を脱いで口八丁で世を渡る   言われても仕方ない方々 次の算段始める用意周到 開き直りと媚びる力が試される   言わぬと勘違いする方々 バッジを付けたら特権階級 仕事は老害ボスの指示を待つだけ   言われても懲りない方々 大義なき恭順こそが生命線 海千山千のしたたかな根性で生き抜く   〔 2022 年 4 月 23 日書き下ろし。朝日の今朝の見出し「増える派閥所属、恩恵に期待? ポスト得るチャンス/自民議員、8割まで上昇」。派閥の論理が国の行く末を左右する。理念なきたかり根性だけが鍛えられる〕

できなくてもいい

  急かされる やらなきゃいけないことへの焦り やれたことがやれないことへの悔しさ やらされることへの苛立ち   試される できることをさせられる怒り できなくなったことの憤り できなくてもいいという諦め   責められる できないと知った辱(はずかし)め できなくなったと知った苦しみ できないからなんだという開き直り   なぜ歳をとっただけで 急かされたり 試されたり 責められたり こんな侮辱を受けなければならんのか 少し物忘れが多くなっただけなのに   〔 2022 年 4 月 22 日書き下ろし。家族の思い込みが認知症という衣を着せて追いつめ不安にさせる〕

影遊び

  春の陽はまだ高い 陽を背に長い影が伸びる 半袖の少年は映る影を操る 両足を広げたと思ったら片足を上げる カンフーのように自在とはならぬが 手足を動かし変化をひとり楽しむ   春の陽が少年を包み込む 影はもう一人の自分を主張する 長く伸びて大きくなった自分 格好良く見えた一瞬少年は笑った   〔 2022 年 4 月 21 日書き下ろし。 10 歳の少年が駐車場のアスファルトに影を映す。なにかほのぼのとして少年時代をふと想起した〕

破産する

昨春家の前の農地が買われた そこにサービス付き高齢者住宅を建設する 秋から工事が始まった 道道に沿った土地を出入り口にする それには 5m ほど土を掘り下げる 土が崩れぬよう左右を鉄柱で固め整備する そこを地下駐車場にするという その上に 3 階建て構造物を建設する 工事の車は家の前を毎日行き来し土を搬出する 工事用大型重機も往来する 12 月は雪が少なく工事は順調だった   1 月中旬から札幌もドカドカ雪が降り出した 工事現場の除雪と排雪はバカにはならなかった 頻繁に除排雪しても切りがないほど雪は降った そんな中で地下駐車場の整地の工事は続いた 母屋を建てるために重機で長い杭が打たれた 自宅マンションには振動が伝わり住民には不安が生まれた   4 月プレハブの仮設事務所が撤去された まだ工事中なのにおかしいと感じた 畑には工事で出た黄色の廃材袋が山となって積まれた 工事車両は家の前を一切行き来しなくなった   20 日マンションの掲示板に工事中断の通知があった 施工請負会社が倒産したという 発注者はいま数社からプロポーザルしているとのこと 決まり次第再開されるだろう   倒産の原因は何か知る由もない そもそも見積の予算に合わぬ工事費になったのか それとも運転操業をしていた会社なのか これからは建築資材も海外物は円安でぼったくられるだろう 原油の高止まりも様々なところにしわ寄せが出てくる ロシアとウクライナの戦争の経済的な影響も侮れない   それにも増して少なからず工事を受注した下請けはしんどい いつも我慢を強いられ痛い目にあうのは下請け業者だ 日銭を稼ぐ人たちは経済が低迷する世間で辛抱強く生きる 大手の業者は倒産する確率は低い 札幌市長は五輪で威勢のいい儲け話に花を咲かせる IOC のぼったくりバッハは上前をはねる算段をすでに始めた 大手の業者は 乗り気で政治家の後押しをすでに始める 5 年 10 年先の経済の動向を分析しながら儲けの実現に動く   さてさて家の前のサ高住 投資に見合う益金をどれだけ生むのだろうか 老人福祉...

求ム兵士、経験不問

シベリアのノボシビルスクの地下鉄の車内広告 張り出された「短期契約志願兵募集」のステッカー   ロシアでは春と秋定期的に徴兵する 今春 18 歳から 27 歳までの男子 13 万 4500 人をゲットした 前線に送り込み予想以上の死傷者を出す 兵員の補充はロシア存亡の死活問題 だからリクルートするしかないのか 戦死者の弔い料は階級や埋葬地によって異なる 七万五千円~九万円が Up されていまは八万五千円から十一万円 17 %の Up は戦争によりインフレ率に見合った額となる ただし葬儀費は棺桶と供花以外かからず増額は戦死者の増加への対応か   ロシア国内では兵士が兵役拒否や除隊の申し入れ さらには捕縛されれば厳罰が課せられる脱走もいのちあればのことか 海外に派遣している兵士の移動や予備役への呼びかけそしてリクルート活動 見栄も外聞もなく応募者は 2 ~ 3 週間で戦闘地に送られる消耗品の類いか 委細面談の特別な軍務のリクルート 「軍務内容:砲兵部隊地形測量士。砲兵大隊員として戦闘課題に取り組む。砲撃用に電子計算機を使用した素早い作業による正確なデータの作成能力と高い責任感が求められる。 10 人以内の集団で行動。勤務はつねに新たな、非常時的課題の解決を伴う。勤務時間の大部分は地形測量機のある移動式空間( 3 立方メートル)に座して行う。空間内は照明、温度、湿度、気圧が不安定。基礎プログラミングと機器の取り扱いを熟知のこと。 空挺部隊勤務の場合、パラシュート構造にも精通すること。数学の技能を備え、視覚情報、聴覚情報を即座に認識し、素早く計算できる能力を持つこと。軍務に耐えうること。中等一般教育および初等又は中等専門教育を修了した者。身体健常なる者。住宅、医療保険、食糧、年金、国家生命保険、新規勤務地移動手当( 7 万 5000 円)、退役補助金、交通機関無料通行証等々保証」 〔 2022 年 4 月 19 日書き下ろし。安い賃金で命を賭ける。国防意識よりもいま食べていくことの困難さからの応募理由か。救われぬ国と国民である〕

43年前のロシア兵士たちへ

兵は拙速を聞くも未だ巧みの久しさをみざるなり(孫子) (戦争においては例え戦果が不十分な勝利であっても、速やかに終結に導くことによって戦争目的を達成したとは聞くが、これに反して完全勝利を求めて戦争を長期化させ結果が良かった例はいまだかって見たことはない)   1979 年 12 月ソ連はアフガン侵攻した 軍事介入は西側陣営から強い非難を浴びた 西側から経済制裁を受けモスクワ五輪もボイコットされた 東西デタント(緊張緩和)は頓挫し冷戦が再燃した 81 年米レーガン政権は軍備を強化する一方ソ連は立ち後れる アフガン侵攻を甘く見て限定的な短期決戦という思惑を見事に外す アフガンの山岳的な地勢の有利性は兵站のルートを攻撃し続けた 長期化し泥沼化した 10 年に及ぶ戦争はソ連の国家体制を蝕んだ 1989 年 2 月アフガンから撤退を余儀なくされた  その 2 年後ソ連は崩壊する   アフガン侵攻による戦死者は 15000 人 負傷者 5 万人 病気を罹患した者 42 万人 心的外傷後ストレス障害( PTSD ) を負い社会復帰できない者もいた 戦ったのはロシア共和国(いまのロシア連邦)だけではない ロシア 50.1 % ウクライナ 17.3 % ウズブク 7.8 % ベラルーシ 5.3 % タタール 3.2 % カザフ 2.6 % トルクメン タジク アゼリ モルドバなど ソ連邦崩壊後独立する多くの国々からも徴集され無益な戦争に駆り出された 「アフガンにおける戦争は犯罪的な冒険主義だった」(人権活動家サハロフ博士) 「侵攻の決定は道徳的・政治的非難に値する」( 1989 年 12 月ソ連人民代議員大会の決議)   2014 年プーチンは速攻でウクライナのクリミヤ半島を併合 東部を親ロシア派が占拠し今年 2 月には 2 つの州を独立国家と承認する ウクライナの NATO 加盟を阻止する先制攻撃をおっぱじめた 特別軍事作戦とは名ばかり宣戦布告でウクライナ全土の占領を企む   アフガンの悪夢を知る 43 年前の兵士たちは高齢者となる アフガンと同じ間違えを侵すプーチンに従順な態度をいまも示すのか 我が息子を独裁者のエゴ...