投稿

一坪半農民は健在です

ゴーヤーの苗を買った すでに蔓も伸びていて ポットから取り出すと根の張りもいい感じだった 連作になったがずぼらして去年のネットをそのまま使った 例年二本だったが去年は一本枯らした 原因不明だからなるようにしかならないと腹をくくる 今年はさらに白いゴーヤーの苗に挑戦する ついでにキュウリの苗が目についた 夏には葉っぱだけが生い茂る緑の壁が出来上がる 実は秋口に数本取れれば御の字か   トマトはミニと中玉各一本 まず失敗することはない 今年は連作を避けて別の場所にした というより採取しやすい場所にした   枝豆はおがりは小さかったが実はなった 今年は早く実のなる種にした 面倒くさいから一袋余さず蒔いた 主たる場所以外のとこからも芽が出てくるだろう   たいして収穫は期待できない 実がなればもっけの幸い儲けもの いつもプロの凄さに圧倒されて尊敬の念を強く抱く それを確かめるだけの一坪半ののら仕事 大地の恵みを与えてくれる農家の方々への感謝の時が始まった   〔 2022 年 5 月 25 日書き下ろし。 10 月末までおがってくる野菜に感謝する時間ともなる〕

現場は嘘をつかない

身体を張った現場に立つ誇り 身につけたスキルを遺憾なく発揮する 向き合う仕事とひとは正直に応える 嘘をつけば狡(こす)い奴だとはじかれる   気持ちが高ぶった現場に立つ緊張 未熟者であることをガツンと叩かれる 向き合う仕事もひとも容赦ない 嘘をつけば二度と相手にはされない   求めた現場に立つ魅力 したたかに貪欲に集中する 向き合う仕事とひとは受け入れる 嘘がつけない真剣勝負こそ現場だ   厳しい現場に立つ覚悟 力量の限界を試される 向き合う仕事とひとは拒めない 嘘など寄せ付けぬ空気こそ現場だ   いつも味わう現場に立つ試練 失敗しても挫(くじ)けてはならぬ 向き合う仕事とひとに導かれて強くなる 嘘をつけば努力はお釈迦になる   現場を荒らすのはひねくれた者 現場を軽視するのは無知なる者 現場を無視するのは無恥なる者 現場で戯言を吐くのは不要なる者 ひとを育てる現場は誠実さに尽きる   現場に立ち仕事にひたすら励む ともに苦労した先にある共感と達成感 一人前と認められた喜びと感動 しっかりと身につく仕事力と人間性 ひとを育てる現場は決して嘘はつかない   〔 2022 年 5 月 24 日書き下ろし。現場で嘘をつけば身に及ぶ。身に付くものはなにもない〕

虚妄の世界を生きる

事実は果たして真実なのか 事実は隠蔽され真実は虚妄の世界に閉じ込められる 事実は歪められ真実は虚妄の世界を彷徨(さまよ)う 事実は嘘で貶(おとし)められ真実は虚妄の世界で廃(すた)れる   真実は虚妄の世界に誘(いざな)われる 事実は不都合な者たちの手で葬られる 事実は嘘をまとい真実と巧妙に偽る 事実は真逆にすり替えられ真実となる   正義は不正義に翻弄される 不正は正されることなく許される 誠実は傲慢さに見下される 道理は不条理に流される 不信がはびこる悪夢の世界となる   虚妄の世界に住みし者たちは 生きるに望む薄く 生かす道を求めず 生かされる喜びを知らず ひとり孤独に死を待つ 魂は虚空にすでに消えた   〔 2022 年 5 月 23 日書き下ろし。事実が隠蔽され虚妄が真実と化す情報社会に生きることの危うさを情報戦争に集約されている。戦地だけではないことを強烈に知らされる〕

心配される

外から戻りスマホを見た 着信とショートメールが入っていた   以前投稿していた Blog を久しぶりに見たという 連載していた詩の投稿を唐突にやめたのを知った 連載 1000 回を前にしてどうしたのか 何かあったのではと心配された 友人から連絡されてドキドキしながら電話したという   さっそく無事を知らせた 気分一新してこの Blog を始めたことを知らせた 気ままにいまも書き続けていることを伝えた   夕方一本の電話が来た 何かあったのかとストレートだった 詩作の連続は止まったが書かずにはいられず 書きたいというおもいで心置きなくいまも書き続けている 安堵した様子をスマホ越しに聞きながら 少々長電話になったが嬉しかった   いまだ気にかけてくださる友がいることが有難い 詩を書き続けているのも気遣ってくれる方々のお陰か いつ何時どうしてるかという電話がかかってきてもおかしくない 生きているのかと安否確認される歳となったことに気づかされる   偶然にも 3 人の方から同じタイミングで心配された まずは元気の証しに書き続けていこう 一人ではないことに気づかされた佳き一日となった   〔 2022 年 5 月 22 日書き下ろし。 5 月 20 日のことだった。この Blog はまだまだ知名度はない。私の日記帳であると同時に親しい人へのメッセージボードでもある〕

マリオポリの任務完了

 打ち上げ花火のしだれ柳のように焼夷弾が炸裂していく アゾフスターリ製鉄所は最後の砦だった 責めあげぐロシアの制圧を首の皮一枚で戦い続けた   マリウポリの市街地が激しく侵略された 包囲された製鉄所を要塞にして二ヶ月半戦い続けた ロシアの兵糧攻めにも耐え多くの市民と踏みとどまった   生後間もない乳飲み子も暗い地下壕にいた 4 月下旬国連や赤十字国際委員会の関与によって 一部市民の退避が実現するがロシアは時に約束を反故する 5 月 7 日ようやく市民の救出が完了したと報告された それでも 1000 人の兵士と 500 人の負傷兵が残された   アゾフ連隊のプロコペンコ指揮官は 16 日 SNS で降伏を告げた 「多くの困難があったがマリウポリの部隊は任務を完了した」 重傷者 53 人を含む 264 人が退避し東部の親ロシア系支配地域に移動した 捕虜となり戦犯としてロシアの厳しい尋問を受けるだろう   83 日間はウクライナには重要な時間稼ぎとなった 侵攻され劣勢に回ったウクライナ軍の再編成 海外からの武器の供与と兵器の操作技術の習得 志願兵の訓練や軍事物資の補填そして兵站ルートの確保   アゾフ連隊の戦闘士気の高さと勇敢さ 苛酷な状況にある地下壕の市民の胆力 凄惨な情報は逐一世界を巡り支援と共感の輪を広げていった その間世界はロシアの残忍性を目の当たりにしてきたのだ   彼らが武器を置いた時から新しい展開が始まる 長期戦を覚悟した祖国防衛の戦いの本当の始まりとなる 領土奪回の熾烈な戦いは予断を許さぬ ハルキウからのロシア軍の後退は反転攻勢の兆しとなる 焦土と化した街に戻った市民の憤怒はロシアへの脅威となる   〔 2022 年 5 月 18 日書き下ろし。米大統領バイデンも韓国と日本を訪問する。お土産ばかりになろそうだが、北朝鮮の挑発も注視したい。この戦争は中国も北朝鮮も釘付けとなる。このままロシアが勝利することは日本の脅威ともなる。ロシア国防省は、ウクライナ東部で激しい攻防を続けてきた要衝マリウポリについて20日、ウクライナ側の部隊の司令官を含む2439人が拠点としてきた製鉄所から投降したとし、マリウポリ全域を掌握したと発表した〕

89歳の誕生日に思う

寡婦になって 50 年近くになる 二人の子を残して夫が旅立った 順風満帆の暮らしが暗転した   一念発起して商売を始めた 軽トラックを買い農家を回った 行商の儲けよりも人儲けが一番だった 暮らしはカツカツでも信用を売った   世話好きで人情味が深かった 恩には誠意で返した 店を構えると足繁く通って来る人がいた 手作りの総菜は評判もよかった 憂さ晴らしや愚痴をこぼしに来る人もいた 世間話に花を咲かせてお茶する寄り合い場にもなった   5 月は山菜のシーズンだった 夜も明けぬ早朝浜益やら富良野やらの山奥に分け入った かますの袋にいくつもタケノコやら蕗を取った 自衛隊払い下げのジープが林道を走った 店に帰ると茶飲み友だちの手を借りて手早く処理した 鮮度のいい売り物になった   仕事でつながった人たちはいまも慕ってくれた お陰様でいままで商売を続けられた いまでは息子夫婦が店を切り盛りしている コロナで市内の飲食店もすっかり冷え込んだ 世知がない時代でも暮らしていけるだけありがたい   商いは飽きないともいわれるがよく続けられた 景気に左右される小さな商売でも地道に続けられた これもお客さんからの信用があっての商いだった 二人の子を育て上げたことも幸いだった   86 の時に運転免許を流した 働きずくめの身体が悲鳴をあげた 89 にもなれば痛いところも曲がらぬところも満載だ 薬の効能も医者より詳しい 動かねば衰えるだけといまも菊作りに精を出す   店番がいまは大事なお勤めとなった ご近所さんも親しい人たちもみんな高齢者になった 立ち寄って来る人も少なくなったのが寂しい 何か作っても張り合いがなくなったのがいっとう寂しい 鬼籍に入って三途の河原で待つ人も増えてきた   病気とは仲良くしたくはないがだましだましきた 89 歳の誕生日 負けず嫌いと人情だけは衰えを知らぬようだ 89 歳の誕生日 おしゃべりの時間はいまは貴重だ大事にしよう 89 歳の誕生日 よく生きたことを感謝する日  ...