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4月, 2022の投稿を表示しています

困っている子どもたち

子どもにどんな悪さをしてきましたか ひとつの弁解が次から次へと不正を生む ひとつの虚言が次から次へと腐敗を広げる ひとつの不実が次から次へと不信を育てる   子どもはつまらない大人を拒みます 子どものくせにの一言で 生まれた疑義は丸め込まれる 吐かれる言葉は心に響かない 威圧的な態度は従順を求めるだけ   子どもは大人に憧れません ローモデルとは言い難いエゴイストの大人たち ローモデルにはなれない醜い大人たち ローモデルを穢(けが)す口先だけの大人たち   子どもには耐えられないのです なぜ勉強するのですか いい学校ってどんなところですか どんな人間になれというのですか   子どもは大人に困っているのです 信用ならない大人についていけないのです 嘘つきの大人に身を任せられないのです 心ない大人に心を許せないのです   子どもにはわからないのです 友だちがしていることも 自分がしようとしていることも 困った大人のしていることも これからどうなるのかも   ただわかったこと こんな大人になりたくない   〔 2022 年 4 月 30 日書き下ろし。子どもの日を前に思った子どもの困ったこと〕

ふたりの記念日

祝いの日 多感な青春の奇跡の出会いに 感謝 気高く優しさに満ちた同行に 感謝 身を尽くすふたりの人生の創造に 感謝 〔 2022 年 4 月 29 日書き下ろし。波瀾万丈の人生を共に歩いた伴侶との大事な記念日〕

薄めてはいけない

薄まっていくこと 子ども時代の淡い想い出 薄まっていかないこと 人から受けた温情 薄まっていってほしいこと 辛い出来事   薄まっていくしかないこと 無意識な忘却 薄めたいと願うこと 数々の失敗 薄めざるを得ないこと 人生の汚点   薄めてはいけないこと 世の中への関心と人情 薄めては困ること 憤りとコミュニケーション 薄めてはならぬこと 敗戦の歴史と戦争の残虐性 薄められないこと 日本国憲法の平和への希求   〔 2022 年 4 月 28 日書き下ろし。年相応にもの忘れ多くなる。それでもなお薄らいでいくおもいの中で最後まで残したい平和への希求〕

知床の観光船事故の真相究明

23 日オホーツク管内斜里町の知床半島沖 観光船「 KAZU Ⅰ(カズワン)」( 19 トン)が遭難した 乗客乗員 26 人のうち 11 人が死亡 15 人が行方不明となった 犠牲となった方々の御霊に心より哀悼の意を表します   27 日運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長は事故後初めて記者会見した 「このたびは当社のクルーズの中で大変な事故を起こしてしまい、亡くなられた方々に大変申し訳ない」と冒頭土下座し謝罪した   テレビで記者会見を視聴した 人災の観点で追求しよう意図するマスコミの質問に嫌気がさす 天候不順が予想される中就航した結果の重大事故だった 出航の判断をしたのは自分であり責任がある答えほかあるまい   会社と船を結ぶ無線のアンテナの破損は致命的だった 事故から記者会見までの時間 誰かとシナリオを書いた準備の後が伺える 被害者遺族の怒りは想像を絶するだけに 世間を納得させるにはほど遠い経過説明に終始した   「事故当日の朝、豊田徳幸船長との打ち合わせで、船長から午後から天候が荒れる可能性があるがクルーズの出港は可能との報告があり、この時点で海が荒れるようで引き返すとの条件付き運航とすることを打ち合わせ、当日の出港を決定したと明らかにした。遭難事故が起きた 23 日に同業者に出港をやめるよう促されていたにもかかわらず、船を出した自身の判断については、自身でその時点の風や波の状況を確認し通常通り問題ないと判断したと述べた。最終的には船長判断とも述べたが、今となっては判断は間違っていた」(桂田精一社長の答弁~ HBC ニュースから)   安全の軽視と馴れ合いのド素人の運航管理 国土通産省は会社の安全管理規則の遵守から調べている 海を相手の観光船経営のあり方そのものが問われる 地元からは強引な出航を批判する声は大きい 問題は陸の事故なら確かな物的証拠がある 船は修理され整備されたというが海に沈んだのでは手の施しようがない 原因を究明するには想像力では証拠にならない 沈没の原因究明の難しさをひしひしと感じた 状況をどれだけすりあわせても真相は闇の中 一番の当事者は行方不明のままだ ふてぶてしいのは事故を知っても北見での私用を優先した 乗客家族への連絡や海上保安庁などの事情聴取に対応したのは 3 時間後だった 遺族や被...

狂った羅針盤

真実を語れ 真実のみを語れ 全き真実を語れ ~クラウゼヴィッツ『戦争論』から   智慧なき者たちはいのちを軽視して勃興する 正義なき者たちは真実を偽り君臨する 仁愛なき者たちは野獣の如き残忍さを誇示する 怯懦(きょうだ)する者たちは厳罰をもって統治する 殺戮を強いる者たちは不条理な戦いを正当化する 寛容なき者たちは徹底的に人間性を否定する   不実をもった統治者たちで世界は恥辱にまみれる 歪んだ価値観の 専制者たちで世界は席巻される 私欲を満たす独裁者たちで世界は侵略される   真実を知ることを拒絶された世界 未来を示せず絶望ともつれ合う 真実を探ることを放棄する世界 未来を託す子らが恐怖に怯える 真実を語ることを弾圧する世界 未来を描くことは断じて許されない   狂った羅針盤を見つめる子ら そこに見えるのは指導者の狂気の針 狂気とはわからぬ国民洗脳の針 洗脳とは悟られぬ国家統制の針 統制とは恐怖で統治する国家の指針   批判的精神を涵養せしめよ そのおもいを決して枯らしてはならない そのこころを正しく導かなければならない そのたいどを堅持しなければ光明は見出せぬ   羅針盤が正しき道を示すには 真実を対話で明らかにせよ 真実に決して目を背けてはならぬ 真実を見極める叡智を傾けよ そして真実の前で罪過を償わなければならぬ   〔 2022 年 4 月 26 日書き下ろし。真実を見極める力がいま求められる。戦争犯罪は人殺しでしかない〕

節くれ立った手

シゲ叔母の手は節くれ立っていた 連れ合いを留萌沖で亡くした 旧ソ連が引き揚げ船を卑劣も攻撃し沈没させた 敗戦で樺太から生き延びようと逃げてきた船にだ 旧ロシアの卑怯な攻撃で運命は一転した 3人の幼子を抱えたシゲ叔母は女手一つで子を育てた 手の職のない叔母はニコヨンで肉体労働を強いられた   第二次大戦から繰り返される民族の侵略と略奪の血は騒ぐ ウクライナの虐殺の悲劇はロシア人の血の粛清なのだ プーチンはその血統を正しく継ぐ虐げられたロシア人である 歪んだ歴史観を自己正当化するに長けたロシア人である   劣等感だけが生きるモチベーションのロシアのリーダー テレビでプロパガンダするロシアの反民主主義者 無知なる大衆を手玉に取るロシアの独裁者 舐められている国民が盲従するロシアのシンボル 恐怖と圧政で牛耳じり私腹を肥やすロシアの大富豪   覚醒しない者たちは疑うことなく戦いを支持する 覚醒できぬ者たちは密告で同族を殺す 覚醒した者たちはバレぬよう口を堅く閉ざす ※ニコヨンとは、 1949 年 6 月東京都の失業対策事業として職業安定所が支払う日雇い労働者への定額日給を 240 円と定めた。この日当から日雇い労働者のことを ニコヨンと呼んだ 。 〔 2022 年 4 月 25 日書き下ろし。ロシア人は歴史に学ぶことはない。内地人は樺太からの引き上げの悲劇には知らんぷりする。これは敗戦後のソ連の不可侵条約を一方的に破棄した後の北海道占領を意図した卑劣で執拗な攻撃だった〕  

老いさらぼふ

目は霞み文字は靄(もや)がかかりぼやける 音は弱く響き言葉は虚空に舞う 頭は冴えず思考は濁りあやふやとなる   老いさらぼふ こころ枯れることなく感じたい こころ涸れることなく潤いたい こころ嗄れることなく滑(なめ)りたい   老いさらぼふ 怒り生ずること多々あり 涙すること時々あり 悔しきことよくあり 臆すること少なからずあり   老いさらぼふ ぬくもること少なし 悦ばしきこと稀なり 和むこと廃れし   老いさらぼふ 忍ぶることしかできず 偲ぶることしか許されず 優しきことには裏心あり   老いさらぼふ いのちの灯すでに短し こころときめくことなし からだ萎えて動けず   老いさらぼふ 声にもできぬ胸の内 希みあるならば何おもう こころ静かにして消えたい 〔 2022 年 4 月 24 日書き下ろし。在宅ケアに疲れし当事者とその家族の葛藤。心の負いが老いを進める〕  

幸せづくりのパートナー

2月末ロシアが突如ウクライナに侵攻した 独立国家を暴力で蹂躙しようと暴挙に出た ウクライナの無垢なる命が危険に晒された 亡骸を抱く母の慟哭は世界中を震撼させた 戦火で母を失った6歳の少女はひとり脱水死した 悲報が流れるたびに戦争を知る者たちはきつく手を握る   日々民生委員児童委員は学び続けた 戦争体験をした先輩たちの背中を見て学んだ 身を粉にして動く先輩たちの真意を見て打たれた 心から平和を願う先輩たちの行動を見て真似た   日々民生委員児童委員は暮らしを彩る 幸せや苦労を分かち合う普段の暮らしを創りたい 支え合い助け合うことを当たり前にする暮らしを創りたい お互い様のつながりで平穏無事な暮らしを創りたい   日々民生委員児童委員は努力する 切ない暮らしに涙することに寄り添い心を配った 少しでも暮らしが楽になることに心を砕いた 厳しい暮らしでも笑顔を見せることに心を開いた   日々民生委員児童委員は福祉の人になる 福祉を担う一人として為さねばならぬことを知った 幸せな社会をつくる一人として為すべきことを知った 幸せづくりのパートナーとして生きることを決めた   〔道民児連情報誌「アンテナ」№ 214 (令和 3 年 3 号)に掲載された詩である。昨日手にした〕