老いさらぼふ
目は霞み文字は靄(もや)がかかりぼやける
音は弱く響き言葉は虚空に舞う
頭は冴えず思考は濁りあやふやとなる
老いさらぼふ
こころ枯れることなく感じたい
こころ涸れることなく潤いたい
こころ嗄れることなく滑(なめ)りたい
老いさらぼふ
怒り生ずること多々あり
涙すること時々あり
悔しきことよくあり
臆すること少なからずあり
老いさらぼふ
ぬくもること少なし
悦ばしきこと稀なり
和むこと廃れし
老いさらぼふ
忍ぶることしかできず
偲ぶることしか許されず
優しきことには裏心あり
老いさらぼふ
いのちの灯すでに短し
こころときめくことなし
からだ萎えて動けず
老いさらぼふ
声にもできぬ胸の内
希みあるならば何おもう
こころ静かにして消えたい
〔2022年4月24日書き下ろし。在宅ケアに疲れし当事者とその家族の葛藤。心の負いが老いを進める〕