脈をみる
脈拍が一気に上がる チャリで急坂の登りを懐かしむ 森林公園の裏道はすでに雪で閉ざされた 来春まで鍛えた脚力は一気に衰える また一からやり直し仕切り直しだ 果たして気力は復活するか 穏やかに打つ脈拍にいまは安息にいる 人脈は一気に廃れていった 現役をいつ退場したのか曖昧だった 確かなことは人脈も世代交代を迎えていた 過去に執着するほどの実績もない 仕事に関わる人と情報は不要となった 世間の欠かすことの出来ない付き合いが熟す 狭い世間で手一杯でいいと安住している 水脈は一気に汚れてゆく 地下に潜った水はいつか汚染されていく 人的な要因で経済というモンスターが暴れる 抑制できずに金儲けにうつつを抜かす 政治も企業もいかに騙すかというせめぎ合いを続ける 言葉も汚れて不信という文字が意味を失う 知らず知らずに扇動されて人も判断不能となる 金脈だけがいまも健在だ どれだけ稼いでも強慾は充たされない 金に取り憑かれた者たちのマネーゲームに終わりはない 命の時間を切り売りする貧困層は食い物にされる 金脈を離さず取り入る政治家たちが口を閉じる 死の商人たちは政治を動かし戦場を広げる 歪んだ魂を救えぬ宗教が堕落してゆく 文脈の怪しい言葉を書きつける 理解されようとされまいといまを表す 書く事への意欲がなし崩しにされる 焦点ボケした文章は意味すら失っていく 書くという行為が何を意味したのか 自戒と沈黙が言葉を遠ざけようとする 乱れる文脈に猥雑な時代を映す 〔 2025 年 12 月 14 日書き下ろし。脈のない相手に構うことはないか〕