寛容と共生
恵まれていれば多少のことに目をつぶる
面倒に巻き込まれたくはない
余計な干渉はされたくはない
誰が何をしようが関わらない
これを寛容という名で包み込む
誰からも批判はされない
それどころか評価されて苦笑いする
恵まれていれば暮らし向きは心配ない
他人に関わることも最小限にしておく
誰かとつるんで何かする気などさらさらない
多少の施しは体裁を繕うだけのことだ
これを自律という名で包み込む
誰からも羨ましがられる
それどころか憧れられて照れ笑いする
恵まれなければ暮らし向きに事欠く
一人では不安がつきまとう
誰かの助けがなければ難しい
だから共生という名で包み込む
誰もが助け合いと支え合いを求め合う
それどころか共助を強要されて難渋する
恵まれなければ暮らし向きは傾く
働けども恩恵薄い
みんなが不満を口にして苦労する
だから共存という名で包み込む
誰もが生きやすい社会は形骸化していく
それどころか搾取をされて泣き寝入りする
誰が寛容になり得るのか
恵まれない境遇を嘆くことを忘れたか
同じような境遇にいることへの慰めか
はたまた寛容という言葉で不平を黙らせるのか
誰が共生を唱えるのか
恵まれない境遇を共に嘆き合うのか
同じような環境にいる者への幻想か
はたまた孤立を拒む言葉として騙すのか
寛容な社会とは忿怒への抑制か
懐疑しよう
共生社会とは貧困者への対策か
解明しよう
寛容も共生も富める者たちの支配か
警戒しよう
〔2025年11月28日書き下ろし。耳ざわりのいい言葉の裏を考えよう〕