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縮充のまちづくり

地域が縮んでいく 人口が減り活気が縮む 街中の店は縮む 学校も少子化で縮む 空き家が増えつながりが縮む 仕事が減り職場が縮む 人の往来が縮んでゆく 閑散 (さんかん) とした風景は侘 (わび) しさを醸 (かも) す   文化活動も停滞し縮む スポーツ活動も制限され縮む 医療機関も赤字を累積し縮む 公共交通機関も廃止ないし間引きで縮む 福祉サービスは限定され縮んだままだ 長寿社会は置き去りにされ縮こまっていく 行政は財政縮減 (ざいせいしゅくげん) でさらに縮んでいくしかない 生活の基盤がじっくりと縮む その先を想像する気力も縮む一方だ 閉塞感 (へいそくかん) の漂うマチの風景が日常と化す   その潮流 (ちょうりゅう) に逆らうことを諦めるのか 縮小する社会の到来は拒めない 予想を遙 (はる) かに超えたスピードに戸惑う 行政は結果を必然だと受け入れる ただ構想したビジョンはたやすく裏切られた 再構築出来ぬまま目の前の対応に追われる 財源がないことを愚痴り従来の施策を繰り返す 事業の削減や縮小に躍起 (やっき) になり不満を集める 吏員 (りいん) の意識も意欲も縮むばかりだ いままでの公共サービスは手に入らない 行政を叩いても無理だと諦める 暮らしの不安は募るばかりだ マイナス思考がさらなる不作為につながる そこに“心の縮み”が感染する無自覚な症状が生まれた   前向きな「縮充 (しゅくじゅう) のまちづくり」を始めるしかない 何もないと思っていたマチに暮らす 何もかも不満を募らせたマチで暮らす 何か特別なこともないただのマチで暮らす 心の縮みと渇 (かわ)き から逃れる術 (すべ) をまず探そう 縮むマチを受容しつつ「ある」もので充足する まずは自分の言葉で対話することから始めよう   暮らしに見つけたここに住む理由から考える 住み続けることの理由を探してみる 仕方なくここに暮らすにもわけがある 暮らしやすさをクローズアップしてみよう 一人のおもいが二人におもいにつながるかもしれない 二人のおもいをみんなにつなげて見てみようか そこにマチで暮らす理由が見つかるだろう そのおもいを言葉にしてしっかりと育てよう ここで暮らす人にしか見つけられない地域資源だ それが「マチの宝」になって心と暮らしを充たしていく   「...

中庸とは

考えが中正って何だろう 右左どちらにも与しないって もしかして日和っているだけのこと   行為が中立って何だろう 左右どちらにも偏らないって もしかして決められないだけのこと   判断が中正って何だろう 善悪すらも区別できないって もしかして後ろめたいだけのこと   立場が中立って何だろう 言い分を尊重できないって もしかしてうまく操ってるだけのこと   対立を中和するって何だろう 違いを鮮明にするだけって もしかしてただ煽っているだけのこと   関係を仲介するって何だろう 利害を調整できないって もしかして互いに強慾だけのこと   中庸は言葉だけのことか 中正であることで思考に深みを与える 中立であることで行動に規制を求める 中和することで対立を緩和する 仲介は折り合う接点を見出す   果たして中庸であることの価値はあるのか 中庸であることで世の中をどう生きるのか 解を見つけることが出来ぬ時代だ   〔 2025 年 11 月 10 日書き下ろし。現代社会で中庸の意味することは何か〕   ※中庸(ちゅうよう) 考え方・行動などが一つの立場に偏らず中正であること。過不足がなく,極端に走らないこと。また,そのさま。古来,洋の東西を問わず,重要な人間の徳目の一とされた。中道。

ろくでなさを生きる

いつまでも親のすねをかじっているやつ のうのうと楽して生きようとするやつ 出来もしないで文句ばかり垂れてるやつ ろくなもんじゃない   講釈ばかりでさっぱり動かぬやつ 人の苦労を知ることもなく嘲笑うやつ 人の手柄を横取りして粋がるやつ ろくなもんじゃない   陰口叩いて人を蔑むやつ 人の迷惑顧みず偉ぶっているやつ 人にたかることしかできぬやつ ろくなもんじゃない   金儲けのことしかあざといやつ 人をいたぶりいい気になるやつ 意地クソ悪くて人相が悪いやつ ろくなもんじゃない   匿名で人を蔑む低俗なやつ 裏切りは当たり前の不遜なやつ 知的な雰囲気など微塵もないやつ ろくなもんじゃない   どこでも叩けば埃のでるやつ いつでも人をおちょくり喜ぶやつ 人の風上にも置けぬやつ ろくなもんじゃない   人を人とも思わぬ不逞なやつ 挙げ句の果てにしぶとく生きるやつ 人を騙して旨い汁を吸うやつ ろくなもんじゃない   捻(ねじ)れた思い上がり 歪んだ思い込み 偏った思い入れ ろくなもんじゃないと烙印を押される   言葉に尽きぬ行状 言葉を汚す悪意 言葉が無駄になる悪行 ろくなもんじゃないと諦めるしかない   ろくなもんじゃないと冷笑されようと ろくでもないと諫められようと ろくでなしと爪弾きにされようと 天邪鬼な性根に遊ばれなから苛立つ   心の片隅で一片の良心が押し黙る ろくでなさを知りながら在るしかない   〔 2025 年 11 月 11 日書き下ろし。それでもなおろくでなさを生きるしかない〕  

校長室の風景「助けて!」再掲

昼休みの清掃時間  静寂な校長室に 突然起こった悲痛な叫び声 「こっちょ 助けて!」   三年生の男の子は 1階の会議室を友だちと掃除していた 会議用の長机が 窓際にいくつも積まれていた なにかのはずみで その机が 倒れた子どもの頭の上に かぶさったという 机の角か脚の部分がぶつかり 下の長机と板挟みになってしまった 当たり所が悪く 出血した 周りの友だちも 本人もビックリした 血が顔に流れてきたから 余計にあせった   廊下に飛び出して 真っ直ぐ走って 左のドアが保健室 怪我をしたら保健の先生 当たり前に指導されていること でも 子どもは右にまわって 校長室のドアを 泣き叫びながら開けた 「こっちょ 助けて!」 見ると 額の上と頭の後ろが出血していた   養護教員に すぐ応急手当を指示し  教頭に 救急車を手配するよう連絡 脳外科に搬送を依頼した 母親に連絡し 担任の車で病院まで同行させる 子どもは 傷口を縫う代わりにテープで塞がれ 脳にも異常はなかった 子どもが戻って 大事に至らなかったことを確認して 安堵した   どうして校長室に飛び込んできたのかを 聞いた 「こっちょのこと 一番先に思いついたから」 「こっちょは すぐに助けてくれると思ったから」   校長室は いつも子どもで あふれていた 子どもが 危機的な事態に遭遇したときに  とっさの判断で 校長室に向かったという事実に 彼らとの 日常的なふれあいの結果として  この事態を 収拾できたことが 幸いだった それ以上に あの切迫した子どもの叫び声が いまも鮮烈に心に残る 「こっちょ 助けて!   悩んでいる子が 心の叫び声を 素直に声に出すには その声を受けとめ 真剣に聴くことしかない それが いま子どもたちが求めている 人間教師である 校長も 人間教師への道程を歩む 一人の教師にすぎない 校長室は その共育の場であることに 心したい    ( 2019 年 10 月 2 日書き下し。 2006 年のことである。校長室に飛び込んできた子の思いは、校長との信頼関係に他ならない...

省察する

省察すべきことばかりなり あまた失敗はあるべき結果か 齢を重ねた分は相応なり   省察なしに語るに落ちるなり あまた知の欠落はあるべき結果か 学ばぬ無知は相当なり   省察の機会なくば傲慢なり あまた批判もあるべき結果か 見え透いた利己は醜悪なり   省察すら浮かばぬは無恥なり あまた恥を恥とも思わぬ結果か 不遜な言動は醜行なり   省察に耐えぬは強慾なり あまた情すら棄てた結果か 正当化する弁理は詭弁なり   省察を深刻ならぬは楽観か あまた苦渋を味わった結果か 責めを負う人生は苦行なり   省察を繰り返すは自問か あまた過去の行状が蘇る結果か 罪深き後悔はいまを照らすなり   省察を適度にするは救済か あまた良き道標を示す結果か 人との交わりに己を生かすなり   ※省察:自らかえりみて考えること。 ※弁理:物事を判断し処理すること。   〔 2025 年 11 月 9 日書き下ろし。省察を繰り返していまがある〕

詩のかくれんぼ

かくれんぼ 見つからないよう 姿を隠す 声を潜める 息を止める 通り過ぎてゆく過去   かくれんぼ そろそろ見つかろう 体を動かす 音をたてる 息を勢いよく吐く だあれもいない忘却   かくれんぼ 遊びから見放された 体が重い 声に応えてくれない 吐く息が早くなる 見つからない真意   かくれんぼ 期待は萎みかけている 体が窮屈だ 声に張りがない 息が上がってくる 見つけてもらいたい本意   かくれんぼ やめなきゃいけない 体が動くうちに 声が涸れぬうちに 息が続くうちに 詩に姿を表そう 〔 2025 年 11 月 8 日書き下ろし。仕事中に言葉が邪魔をする。かくれんぼしているうちに忘れ去られる存在の軽さか〕

なぜ憎むのか

無垢の幼子に憎しみはない 無償の愛の中で慈しまれる 畏れと不安から護られる   なぜ憎しみは生まれるのか 独り占めの欲の発芽か 満たされない欲の変異か   なぜ憎まなければならぬのか 関心が削がれたことへの反発か 誤解をされたことへの抗いか   なぜ憎しみの感情は強くなるのか 裏切られた信頼の喪失度か 共感できぬ言動の反映度か   なぜ憎しみは続くのか 赦すことの出来ぬ恥辱か 忘れぬことが出来ぬ屈辱か   なぜ憎しみをもたらすのか 貶める品格の下劣さか エゴイストの強欲さか   なぜ憎しみは悪意となるのか 寛容の心との葛藤か 尊厳の心との乖離か   なぜ憎まなければならないのか 心の傷の深さを舐めるのか 相手への反骨心を高ぶらせるのか   なぜ憎しみを生きるのか 浅ましさを克服できない卑屈さと向き合おう 相手と同じレベルになる恥辱を自覚しよう 憎しみは優しさの深さを教えてくれるだろう   〔 2025 年 11 月 8 日書き下ろし。憎しみの感情に振り回される人間の弱さか〕