投稿

8月, 2025の投稿を表示しています

子どもたちへ残す言葉

子どもたちへ 悲しみの泪を拭う 優しき言葉を残したい 抱きしめるぬくもりを添えて   子どもたちへ 苦しみの切なさを拭う 温かき言葉を残したい 抱きしめる情愛を添えて   子どもたちへ 悩ましき不安を拭う 愉しき言葉を残したい 抱きしめる喜びを添えて   子どもたちへ いじめられた痛みを拭う 大丈夫という言葉を残したい 抱きしめる勇気を添えて   子どもたちへ 恐怖へのおののきを拭う 生きようという言葉を残したい 抱きしめる安心を添えて   子どもたちへ 未来への絶望を拭う 希望の灯火という言葉を残したい 抱きしめる決意を添えて   子どもたちへ 生まれてきたな哀しみを拭う喜びを伝えたい ひとりぼっちにならない詩を残したい 抱きしめて抱きしめて共に生きたいおもいを添えて   〔 2025 年 8 月 31 日書き下ろし。 Blog 投稿 1500 編。子どもへの Message 。いつもここが出発点〕  

廟に眠る

墓誌に 57 歳の娘の名があった それから 1 年半後母は 88 歳で逝った   母は娘より先に死ねないと口にした 娘は障がい者施設で暮らす 母は盲老人ホームで暮らす 離ればなれで長いこと暮らしていた   娘の死を知らされた 母は娘の名を呼ぶだけだった 認知症が進んでいた それでも娘を愛しむ様子があった   身寄りは母しかいない お骨は母の施設で引き取った 母は娘を見送ったことで安らいだのか 静かに息を引き取ったという   行く当てのない遺骨を弔う廟を持つ 45 年前に篤志家の支援を得て建立した 二人の遺骨は 85 人の方と縁を結ぶ 今日しめやかに年に一度の慰霊祭があった   廟の周りに 6 枚の墓誌がある 空白は 2 人分となった どのように増設するか話題になった 法人の職員の手で大切に継承され守られてゆく   墓誌に刻まれた故人の名前を読む 平成の時代に入るとベテランの職員も知るところとなる その人なりとエピソードが話題になる 墓参りに来る家族がいなくても覚えている人がいる   廟の中には 20 余の骨箱が安置されている これらのお骨を土に返す弔いをするのは職員だ 因縁を結んだ人との繋がりを大切にする職員がいる 墓仕舞いして無縁仏が多くなる世相に抗う職員たちかも知れない   老人介護施設に実習に来ている 3 人のアジア人もいた ヒジャブを被るモスリンの若い娘もいた 日本の物故者を弔う儀式に参列していた 異教文化を学ぶ貴重な体験となったであろう   曇天の空の下 85 歳の老僧の読経が渋く流れた 二つの施設をインターネットで結んでいた 新型コロナの置き土産はここでもいかされる 盲老人たちは施設に流れる声を聴き取っていた   南無阿弥陀仏を唱えて合掌する 無縁である人たちの霊と結ばれる日となった   〔 2025 年 8 月 29 日書き下ろし。北海道友愛福祉会は全国でも稀な法人として廟を持つ。 無縁仏にならぬよう、墓誌に名を刻む。そこには人知れず深いドラ...

反動のマグマ燃えよ

なされるがままに従った 抗うことも許されず押し黙った 傲慢な見下した雑言にも耐えた 握り拳を開くと血のにじんだ爪痕が残った   辱めを受けても逆らえなかった 刃向かうことは無謀だった 目立たず寡黙でいることも無理だった 虐げられた心はいつか折れていた   同じ人間じゃないか なぜここまで卑屈になるのか 隷属することに嫌気がさした 反動のマグマに火を付けた   死を選ぶには若すぎた 一矢報わねばやり切れなかった たかがいじめにネガティブになっていた 反動のマグマは内心を貫く   つるんでいる者たちの悪行を暴きたい 強い立場には上手く取り入る狡賢さを暴きたい 嘲笑するふてぶてしい恥知らずを暴きたい 反動のマグマは憤りの火を噴く   屈辱にまみれた夢を取り戻したい 侮蔑にさらされた希望を取り返したい 弱さをさらけて求める自分を見つけたい 反動のマグマはアイデンティティーが炎と化す   窮地を脱するに反動のマグマを燃やせ 危殆(きたい)に瀕すれば反動のマグマは火勢を増す 己を信じて反動のマグマを生のエネルギーに転化せよ 生きたいという思いの強さが反動のマグマの源となる 〔 2025 年 8 月 28 日書き下ろし。いじめられている子への Message 〕

空っぽな箱

空っぽな箱だった そこには苦痛だけがあった そこには涙だけが残された 空っぽになったのは心だった   空っぽな箱だった そこに学ぶべきものはなかった そこに学ぶべき人もいなかった 空っぽになったのは頭だった   空っぽの箱だった そこは学校という名の窮屈な箱だった   空っぽな箱だった そこに求めるものはなかった そこに求めることもなかった 空っぽにされたのは好奇心だった   空っぽな箱だった そこになぜ行かねばならぬのか抗った そこになぜ居場所がないのか納得した 空っぽにさせたのは違和感だった   空っぽの箱だった そこは教育という名ばかりの高尚な箱だった   空っぽな箱だった そこにとどまることはなかった そこから離れることが救いとなった 空っぽの心が少しずつ癒やされてゆく   空っぽな箱だった そこに執着することはなかった そこから学んだものは葛藤だった 空っぽの頭が少しずつ希望で満たされてゆく   空っぽの箱だった そこは試練という名の不要な箱だった   空っぽな箱に気づいた人がいた そこでなにをすべきかを思案した そこに人としてのあり方を問うた 空っぽやみは己の不作為だった   ※「空っぽやみ」とは北海道の地方弁で「融通の利かないこと。気の利かないこと」   〔 2025 年 8 月 28 日書き下ろし。 2 学期が始まった。登校拒否をする子が葛藤する〕

ごちそうさまの約束

食べた後のごあいさつ いのちをいただきました 感謝の言葉 ごちそうさま   きみのからだを丈夫にします きみのこころも元気になります きみのからだもこころも大きく育ちます   ごちそうさまの言葉って もうひとつ大事なことをみつけました   きみのいのちを守ってくれる たくさんの食べ物のいのちに これからもあなたのいのちを大切にします これからも好き嫌いなくおいしく食べます これからも元気で丈夫なからだをつくります これからもありがとうのこころを太くします   きみのこころにいただいたいのちに誓うのです きみを育ててくれるいのちに約束するのです それがごちそうさまのこころです それがいのちをいただいて生きるということです   〔 2025 年 8 月 27 日書き下ろし。発寒にこりんこども園でアンパンマンのお話を通して、まとめで気づかされたごちそうさまの約束だった〕

縁は記憶

人の縁は良くも悪くも記憶である 記憶に強く残れば残るほどに縁が深い 記憶に残らなければ縁はない 動かされた心の鮮やかな形跡を残す 忘却は縁の選別を無意識にする作用か 忘却は無縁を自動的に削除する機能か   良き縁は保存期間を継続する 想い出しては確認して納得する 良き人生の節々の出会いに感謝する 苦しき人生の時折に回復力を授ける 熱き人生に導く恋心を注ぐ 喜ばしき人生に自信と誇りを与える   悪しき縁は棄てがたき因縁を生む 想い出しては悔悟し雪辱を期す 悪しき人生にならぬよう警戒する 苦渋の人生に決別する契機にする 裏切られた人生に人間観察力を学ぶ 回復の人生は忘れ得ぬ屈辱をバネする   人の縁は記憶である 縁は共感し続けて慈愛を育み耕す 縁は互いに必要な存在として明かす 縁は紡ぎ続けて仕合わせな人生を彩る   記憶がまだらになれば縁が薄らぐ 記憶を失えば縁は切れる 最期に残った記憶が良き縁でありたい   〔 2025 年 8 月 26 日書き下ろし。縁は記憶であるがゆえに、残すことと棄てることの狭間は何だろうか〕

おいしく食べよう

なんでもおいしく食べよう お魚さんも お肉さんも 野菜さんも もりもり食べよう きみのいのちを守ってくれるんだ きみのからだを育ててくれるんだ   お魚さんは広い広い海にいました でも網にかかってつかまってしまいました そのいのちはきみが大事にいただくんだよ きみのいのちを守る食べ物としてね だからけっしてそまつにしないでね   ぶたさんも牛さんもにわとりさんも 大きく育ってお肉になりました そのいのちはきみが大事にいただくんだよ きみのからだを大きくする食べ物としてね だからたべのこしたりしないでね   ピーマンさんもトマトさんもほうれん草も 大根さんもお芋さんもトウモロコシも みんなみんなそのいのちをいただくんだよ 野菜がきらいってそっぽをむかないでね きみのからだを元気にする食べ物なんだ だからムシャムシャ食べるときっと喜んでくれるよ   きみが元気に大きく育つための大切な食べ物たち そのいのちを食べるまえに 「いただきます」ってあいさつしてね そのいのちを食べ終わったら 「ごちそうさま」ってあいさつしてね だいじなことはひとつかな 「ありがとう」ってきみのいのちがあることに感謝してね 〔 2025 年 8 月 27 日書き下ろし。今日発寒にこりんこども園でアンパンマンのお話をする。朝、浮かんだ「いただくいのち」への感謝〕

シャボン玉の中の夢

シャボン玉つくろう その中にきみの夢ふくらまそう シャボン玉とばそう 風に吹かれて夢空に舞う 風にこわれて夢空に踊る   シャボン玉つくろう またきみの夢ふくらまそう シャボン玉とばそう 風に吹かれて遠くの空まであがった 風に負けずに遠くの空ではじけた   シャボン玉つくろう またまたきみの夢ふくらまそう シャボン玉とばそう 風に吹かれて夢太陽をあびる  風に揺られて夢陽光にかがやく   シャボン玉つくろう なんどでもきみの夢ふくらまそう シャボン玉とばそう 風でシャボンは消えても夢青空にひろがる 風がどんなに邪魔しても空見上げれば夢がある   〔 2025 年 8 月 26 日書き下ろし。儚い夢もきっと叶う日が来る。そう信じて子らはシャボン玉に夢を膨らます〕

おなかペコペコ

おなかペコペコ 青虫さんも葉っぱの上でお食事中 まあるい穴があきました もうすぐチョウチョになるそうです   おなかペコペコ 小鳥さんも土の上でお食事中 ミミズさんたちが見つかりました もうすぐ北へと初めて飛んでいくそうです   おなかペコペコ 熊さんもドングリ揺すってお食事中 シャケはまだ川をのぼってきません もうすぐ山が赤く染まるのを待つそうです   おなかペコペコ ワンちゃんも猫ちゃんも皿に顔を突っ込んでお食事中 ご主人様の合図をずっと待っていました もうすぐよしよしと撫でてくれるようです   おなかペコペコ まだお母さん帰ってきません お留守番してるとおなかがグーとなりました もうすぐ息を切らしてただいまの声が聞こえそうです   おなかペコペコ 昨日も今日もお食事できません 空には飛行機が爆弾を落としていきます もうすぐ怖いことも辛いこともみんな消えていきそうです 〔 2025 年 8 月 26 日書き下ろし。食べることと生きること。愛と非情。そう感じた〕

期待なし

期待せずして何かをしでかす 意外性を楽しむ どうでもいいかが裏切られる 予想外に驚く 諦めていたら幸運が巡った 強運を抱きしめる   無理だと突き放した 厳しさを凌(しの)いで見返された やれるはずはないと見放した 奮起して力を見せつけた 能力がないと見下した 蔑(さげす)まれて根性が入った   頼りないと相手にされない 強がるよりも楽にいられた 弱虫だとからかわれた 優しさだけが守ってくれた 競争しても負けてばかりだ その分自由に羽ばたいた   注目を浴びることはない さして求めることでもなかった 誰かを牛耳ようとは思わない 言い負かすことでもなかった 優秀だと褒められることもない 妬み皮肉れることでは決してなかった   期待されぬのは気楽である 期待を果たせぬプレッシャーもない 期待を裏切る卑屈さとも無縁だ 期待を一身に浴びる栄光に憧れることもない 己らしくふるまうことには期待しておこうか   〔 2025 年 8 月 24 日書き下ろし。期待を果たせず涙する姿を見るにつけ思うところを記す〕

痕跡

痕跡を消す 悪しきことをないことにする 黙っていれば覚られぬ 良心の呵責すら感じぬ 誰にも屈辱を知られぬ 平静を装うのは慣れている 弁解と反撃は準備済みだ 汚点は抹消するに限る   為したことをないものとする 大して成果のないことに拘泥しない 小さな手柄は譲って株を上げる 欲深だと覚らぬよう振る舞う 誰にも本心を明かしてはならない この程度で満足してはならない 高い評価を望むには物足りない   痕跡を残す 成したことにプライドを持つ 実績は正当に評価を受ける 能力を妥当に評価される 改革の成果を知らしめる 持続されることの意義を示す 先達者のポジジョンを棄てる バトンを渡すタイミングを重視する   痕跡を生かす 前人の意思を継ぐ覚悟を抱く 残された価値を確かめる 不要なものは排除する 何を引き継ぐのか見定める 新しいミッションに意欲を掻き立てる 常に課題を明確にして改革に挑む   〔 2025 年 8 月 24 日書き下ろし。傷痕を残してきたことへの回顧か〕

名声と名誉

名声を得んとしゃかりきになる 欲が長けた分だけ茶番となる 与えるのは為しえた成果と人間性 どちらも譲れぬ評価の物差し ただし瞬時に失うものと心得よ 求めて得るは廃れやすく虚しさがつきまとう 世のうつろいゆえに忘却の河に棄てられる 名声は名誉の裏付けを持って歴史に刻まれる   名誉は人徳の高さへの尊厳を称える 名誉は世の功績への栄誉を称える 名誉は世の救済への尽力を称える 名誉は世直しの一灯への勇気を称える 名誉はその人の業績を称え冠される名称でもある 求めるものではなく授与されて価値を見出す 授けるところの権威が評価され反映されるのである 名誉は社会の承認を得てはじめて正当性を証する   名声も名誉も無縁の者たちは冷ややかに眺める 彼らこそ世の屋台骨を支えて汗かく人たちである 名声も名誉も授けられぬ者たちは黙々と働く 彼らこそ世づくりの最前線で活躍する人たちである 名声や名誉に相応しい人を見極める者たちは評する 彼らこそ世の善悪を肌で感じて暮らす人たちである   〔 2025 年 8 月 24 日書き下ろし。ノーベル平和賞を欲しがる者の滑稽さに低俗さを知る〕

ふたたび問う三つの心

この世に授かりし命を真剣に全うせよ 唯一無二の命ゆえに粗末にしてはならぬ 命を諍い奪うことは決して赦されぬ 命は共存の意思を持って尊重せよ 命に尊卑の差別なく死は公平である 命は心あるゆえに輝き天命を全うする   授かりし三つの心を感性豊かに耕せ ひとつ自然への畏敬の念を敬虔の祈りとせよ 吾もまた自然の一部であり陽と風と水に生かされる心なり ふたつ言葉への威厳の念を信愛の発露とせよ 吾もまた信頼を育み勇気の言葉を紡ぐ心なり みっつ人間への情愛の念を慈愛の実践とせよ 吾もまた共生を求める感謝は寛容の心なり   〔 2025 年 8 月 23 日書き下ろし。なぜか命と三つの心のあり方に心が動いた〕

三の心を授けよ

学力低下が盛んに問題提起されている 必然的な結果に驚きもしない 教師が画面越しに授業する 子どもは画面越しに学習する さもさも進んだ学習スキルと評価した 挙げ句の果てには教科書も電子化した   読書習慣は身につかずネット検索スキルはアップする 終いには親がスマホの管理不能の結果の学力低下と押しつける 教師の授業力の責任も評価も多忙で片付けられる 雑用に追われ教材研究するのもままならぬと研鑽を棚に上げる さらに塾に通えよ豪語して通えぬ子らに蔑みの目線をおくる   学校にも教師にも果たして期待してもムダかも知れない そもそも学力不振だけが問題ではない 2 ~ 3 年で異動する校長では学校経営の改革もままならない 教員なり手不足は待遇改善だけでは質の確保はなかなか至難だ 多くを求めても求めるに値する公教育なのかすら疑わしい 教育専門職といっても一概にみなが秀でているとは限らない 専門性に惑わされずその人を見る目を培うしかない   そこでだ 三つの心を授けられるか問う ひとつ 自然を愛してやまない心 子どもらに自然との語らいに導く人でありたい ふたつ 言葉を慈愛で包み込む心 子どもらに美しい言葉で語らう喜びを授ける人でありたい みっつに 人間を愛おしく抱きしめる心 子どもらと熱きまなざしと感謝を伝え合う人でありたい   教育は人間教育であり 教師は人間教師であらねばならない   〔 2025 年 8 月 23 日書き下ろし。授業力を評価する以前に教師の人間性が問われている〕

なぜ憎しみを抱くのか

人はなぜ憎むのか 裏切られた激高ゆえか 否定された怨恨ゆえか 損壊された激怒ゆえか 小さな信頼の欠片に憎しみは芽生える 消せぬ傷痕ゆえに憎しみを抱く   人はなぜ憎まれるのか 期待が失意に塗り変わるゆえか 失望が批判に刷り替わるゆえか 羨望が嫉妬に変異するゆえか 小さな不信の欠片が憎しみを生む 挽回できぬゆえに憎しみを引き受ける   果たして人を赦せるのか 憎しみから生まれるドロドロした情念 憎くむことの狭間にある壮絶な葛藤 慰めの寛容を羽織ることの自己欺瞞 赦しがたくとも時の流れに委ねる忘却   果たして人に赦しを乞うのか 憎しみの感情を受容するかの判断 憎まれることの整合の妥当性 赦しを求めるに必要性の是非 価値観の違いから生まれた乖離 辱めを甘受した関係修復の必然性   一方的に非を責めるのか 被害を受けたことへの横柄な態度 人格否定も省みない辛辣な暴言 怒りの感情に左右される表情の醜さ 責めることへの傲慢さは謝罪を拒否する   一方的に非を責められるのか 偏った見方を是正できない困惑 誤解を解けない抗弁への強硬な非難 冷静になれない憎悪の感情への対処 素直に受容できない屈辱は謝罪を拒否する   憎悪の感情はスクランブル交差点で昏迷する 理解の融合はスクランブル交差点で消滅する   〔 2025 年 8 月 19 日書き下ろし。なぜ人は憎しみ合うのか。赦しは可能か〕  

筋肉痛

夏草を始末した 養生しているハーブを邪魔した 葉はしっかりと大きく育った ハーブを覆いつくさんかのように育った 猛暑は雑草にはこたえなかった   人間様の意気は上がらず放置した 雨模様の予報を聞いて仕方なく動いた 雑草をゴミに出す日も迫っていた タイミングはいましかないと諦めた   ハーブの周りの雑草は手で引っこ抜く 根っこごと始末しなければまた生える 厄介な作業の手間は省いておきたい 立ったり座ったり草を片付けたり スクワットの運動が 2 時間も続いた   汗だくになった身体に陽光がきつい 積み上がった雑草は一日風に当てた 早々近くの温泉にチャリを漕いだ 久しぶりのモール温泉に湯中りしそうになった   翌日 40 リットルのゴミ袋いっぱいに集めた 庭の分と合わせて二袋ゴミステーションに置く ハーブの花の時期は終わっているが名残の花は咲く 来年の繁殖の風景を描きなから一仕事終えた   両足の太ももはいまも筋肉痛を訴える 今秋は軽く始末をしておこう ただ庭の野菜の始末はまだこれからか やわな身体を労りながら来年の覚悟を強いる   〔 2025 年 8 月 21 日書き下ろし。例年のことだが、息上がる作業に体力を試す〕

掠め取る

掠め取る(かすめとる) 油断ならぬ巧妙な手口で奪い取る 言葉巧みに口車に乗せて盗み取る 法を盾に分け前だと分捕る 抵抗しようが強引に引ったくる 身ぐるみ剥がしてふんだくる あるものすべてをかっさらう 足が付かぬよう横取りする 噓がばれぬようかっぱらう 地位も財産も剥ぎ取る   世の中悪知恵の働く者多かりし 騙されて泣きを見る者多かりし 露見しない限り泣き寝入りを強いられる くれぐれもご用心あそばせ   堂々と領土を略奪する 不正に家屋家財を強奪する 性欲をたぎらせ強姦する 支配欲に駆られ他国に侵犯する 核で脅し正当性を訴える 無抵抗な市民を平気で惨殺する 良心の呵責など棄て人殺しを英雄に仕立てる 破壊と殺戮の戦果を正義と称する 泥棒国家という汚名のもとに虐げられた国民がいる かすめ取られた人権はすでに搾取と隷属に陥る 赤絨毯を歩く者は勝利を確信し世界にアピールする   いまの世は戦争を知らぬ者たちが戦前回帰を訴える 平和ボケした者たちは目先のことに惑わされる 平和を掠め取られることに気づかぬ罪を次代に負う 己のことしか考えられぬ浅はかさが明日に禍根を残す   〔 2025 年 8 月 19 日書き下ろし。世に 掠め取 られる惨劇は終わりがない不幸を知る〕

侮る顔

人を侮(あなど)る顔の醜さよ 己の憎悪を見事に表す 怯むことなくかわす   人を睨みつける顔の醜さよ 己の怒りを抑えきれぬ 臆することなく外す   人を卑下する顔の醜さよ 己の傲慢さを晒す 抗うことなく無視する   人を辱(はずかし)める顔の醜さよ 己のおぞましさを見せる 逆らうことなく離れる   人を威嚇する顔の醜さよ 己の強がりを鼓舞する 笑うことなく去る   人を虐(しいた)げる顔の醜さよ 己の邪悪さを知らしめる 堪えることなく反撃する   人を殺戮する顔の醜さよ 己の倫理を破壊する 赦すことなく糾弾する   人を増長させる顔の醜さよ 己の利権に酔いしれる 支配されることなく立ち上がる   〔 2025 年 8 月 18 日書き下ろし。近隣から世界まで多くの醜い顔に出会う。関係を持たぬことが最大の防御か〕

つまらない人

ツンツンしていて嫌だな まるっきり愛想のないのも感じが悪い 乱暴な言葉遣いも不愉快だ 情けない態度はどうにかしてよ 意地クソ悪いのには近づきたくない 人を小馬鹿にするのは偉そうだ 友だちは選んだ方がいいかもね 我が強いのも考えもんだ   遠慮のないのも困ったもんだ 埒(らち)の明かない話に閉口する 外面ばかり気にするのもどうかと思う 嘘くさい自慢話にもうんざりする 人気取りに走るのもいい加減にしなよ 不満顔で文句垂れるのはしゃくだな 類はとも呼ぶとはよく言ったもんだ 真っ当なことさえ言えず下品が際立つ 胡散臭さを身に纏い貪欲さがきもい   世につまらぬ人の多いこと なぜかふてぶてしく世に憚(はばか)る 世に下劣な人の多いこと なぜか弄(もてあそ)ばれて世に余される 世に身勝手な人の多いこと なぜかちやほやされて世も末か   つまらぬ人間の究極はノーベル平和賞を無心する 世界を牛耳る野望を隠しもせぬ男たちに虫唾が走る   〔 2025 年 8 月 18 日書き下ろし。挨拶も返さない仏頂面もつまんない人の部類か。それ以上に 15 日の米ソの首脳会談につまらぬ男たちが得意げにいた〕

夏の別れ

帰省の短い避暑は終わる 札幌はお盆の間温度差が 10 度もあった 猛暑の中夜の涼しさで救われた 孫を連れての里帰りを終えた取材風景 千歳空港でお決まりの涙の別れを映し出す   抱きしめた孫の涙にやるせなさを感じる このときほど切なさは胸いっぱいに広がる 高齢の老夫婦はいつまた会えるのか不安を抱える お互いの身体をいたわりながらその日を待つ 孫たちがいなくなった家に戻るしかない   緊張は一気にほぐれ力が抜けて疲労感を増す 夜の華やいだ夕餉の賑わいはいまはない 数日の滞在は祭りのような高揚感に満たされた 孫の成長が空気を変化させていることに気づいた 変化のない日常とは全く違う異質な世界だった   テレビ電話で顔を見て話すことは出来た メールのやり取りで近況を知ることも出来た でも直接肌で感じて会話するのは嬉しい 老夫婦の生き様をその目に焼き付けたい 人の生き死にを想像する力こそ優しさを培う 人間としての情感を豊かにしてほしいと願うばかりだ   離ればなれに暮らす家族が年に一度の再会を終えた 孫たちも夏休みのラストスパートに入るだろう 互いの無事を願いながら明日からまた平穏な日常に戻る 暑い夏の風物詩に刻んだ想い出を大切にしながら暮らす 老体の回復には秋風の吹く季節まで待つしかない   〔 2025 年 8 月 17 日書き下ろし。孫との別れを惜しみつつ、高齢夫婦は日常に戻ってゆく〕

慈愛の力は誰に

慈愛の力を誰に授けよう   学校の教師はどうだろう 子ども一人ひとりに注ぐ教育愛の源泉 いいね だけどそんな悠長なことはしてられない 授業力さえまともでないのに無理難題 理想は空論となり可視化される成績アップに四苦八苦 忙殺されて慈愛を乞うのは教師です いらぬお節介はご遠慮いたしましょう   保育園の保育士はどうだろう 幼子一人ひとりに注ぐ慈しみのまなざし いいね だけど名目だけの自己研鑽が幅きかす 現場経験の上書きだけの保育力に四苦八苦 子らへの慈愛どころか楽する我が身が可愛い 給料アップの見返りはご遠慮いたします   役所の行政マンはどうだろう 住民一人ひとりに注ぐ福祉の心 いいね だけど制度と法律が壁になる 窓口で断り入れる対応に四苦八苦 したくてもできないと思うならまだ上等 慈愛など持ち込まれては迷惑至極です   老人施設の介護士はどうだろう 利用者一人ひとりに注ぐケアの心 いいね だけど人手不足でサービスが行き届かない 食事に入浴して排泄に追われて四苦八苦 崇高な慈愛はいつかカタチだけとなる 笑顔すらままならぬ厳しい現場です   医療従事者はどうだろう 患者一人ひとりに注ぐいたわりの心 いいね だけど病院経営もゆるくない ( 厳しい ) ご時世だ 患者から絞れるだけ絞った治療費で四苦八苦 ヒポクラテスの誓いなど覚えてもいません 働き方改革など無縁の世界にお慈悲をください   さてさて民草の吾にはどうだろう 求める人に注ぐボランティアの心 いいな だけど行政のやるべきことをみんな丸投げしてくる 地域でしんどい人をサポートする人も四苦八苦 支え合いだの助け合いだのとかけ声と会議だけで終始する 慈愛も政治と行政に振り回されて意気消沈する民草です   〔 2025 年 8 月 17 日書き下ろし。慈愛の心が廃れてゆくのを傍観する吾がいる〕

民草を愚弄する者へ問う

戦前回帰を企てる者たちよ 君たちは敗戦から何を学んだのか   戦争も知らず天皇崇拝の虚妄に浸る 原爆の惨状も沖縄の悲嘆も平気で踏みにじる 歪んだ歴史観をさも正当と主張する 平和憲法を否定し排外主義を扇動する 核を安価な抑止力と言ってはばからない そこに叡智はあるのか   戦前回帰はアジアへの侵犯と思想統制にある 国家統制を強化し軍政は民草を戦争へと駆り立てた 1 銭 5 厘の赤紙で天皇のために死ねという 若き者たちの犠牲を強いて無辜の命を非情に奪う 命令するものは安全地帯でゲームに溺れる そこに大義はあるのか   現状に不平不満をもつ者たちを熱狂させる 敵愾心を煽り排除する武力を増強する 民主主義を否定し人権を蔑ろにする 権力を私物化し恐怖の支配を誇示する 専制主義の権化たちが闇夜を闊歩する そこに共生共存はあるか   プロパガンダで徹底的に情報統制する 国土防衛を少年期から叩き込み飼い慣らす 教育で皇国思想を啓蒙し異見を閉じ込める 形骸化した象徴を崇めさせ陰謀を巡らす 思想統制は反動分子を制圧し虐殺する そこに真理はあるか   戦前回帰を求める者たちに問う 民草は権力者に隷従する無知なる存在ではない 民草は権力者の無能さを判断するだけの知力を要する 民草は権力者が国のためと言葉に懐疑心を強くする 民草は戦前の父権家族制度を否定し人権侵害には強く抵抗する 世界の平和と繁栄に背く戦争には絶対に反対する それこそが真意だ   〔 2025 年 8 月 16 日書き下ろし。トランプとプーチンの首脳会談が終わった。進展もなくウクライナを置いてきぼりにした商談のつまらぬショーでしかない。終戦の出口すらない〕  

アンパンマンを描く

6 時間かかった こども園の A 先生の指導の下ようやく仕上がった 四畳以上の広さにでかいアンパンマンがいた   8 月の読み聞かせでアンパンマンを取り上げる 幼子たちにも大人気のキャラクター 我が身を食べられる究極の自己犠牲 飢餓で苦しむ戦禍の子らを思う 焦がれる平和と希望の日がきっとくる アンパンマンの笑顔をその子らにも届けたい   一緒に物語をつくろう 聴くのではなく動くを楽しみたい 目も鼻もほっぺも口も食べられたアンパンマン さっそく復活をしなければならない それぞれのパーツを持ってきて顔をつくる 喜んだのもつかの間お腹をすかせた子らが来た 瞬く間に食べられてしまう すぐにまたパーツを持って駆けつけて来る この繰り返しの意味することは何だろう   飛び出す絵本もどきに子らが動く だから大きなアンパンマンがいる 福笑いのビッグバージョンで笑い遊ぶ   構想は出来たが実際作るとなると自信はなかった さすが保育に長けるプロは要望を的確に聞き出す ゆるいアイデアはその瞬間に決定されてゆく 心地よい流れに身を置きながらテキパキと準備される シートになる紙は以前お餅をついたときに使った紙だ 子らが上に乗っても破れる心配はないコーティングされた紙だ アンパンマンの構図で配色には色厚紙を選んでゆく 顔の大きさを決めると早速先生は鼻とほっぺの大きさを決める シートに大きく広がる顔に合う大きさを見定める感覚がすごい 測るものは何も持たずバランス良く配置される その様子を見ながら開いた口を両手をようやく切り抜いた   それぞれのパーツは子らが持ち運べるよう段ボールに貼り付ける 木工用ボンドを水でゆるめて塗っていった 作業が終了して乾いたところでくり抜き作業となった ハサミでは無理なのでカッターを使う しかしカッター板がない 先生はすぐに段ボールを敷いてと助言する 床を傷つけないように配慮するしかない 切り抜き作業を終えた 下敷きにした段ボールには切り抜かれた板ボールの破片が詰まっていた 先生は胴体の製作作業に取り組んでいた ニコニコマークのベルトも...