弟よ

373の誕生日を迎えた

もう死ぬかと思った

電話口で涸れた声で訴えた

身体の自由が利かず動けなかった

呼吸も荒くなった

でも生きていた

 

ともかく老年期から病気がちだった

原因不明の下半身の激痛に苛まれた

医師は手術や投薬をするが効果は薄かった

緊急に入院して2年半自宅で闘病生活が続く

 

塞ぎ込むことも多い

オレより先に逝くなと檄を飛ばした

今春伴侶の運転で同級生と再会した

昨夏突然心臓発作で同級生が死んだ

その弔いと妹の墓参をしたという

 

されど身体機能の衰えは確実だった

父の年まで生きてほしと願った

人っ子のいい奴だった

同級生からも後輩からも慕われた

口は悪かったが憎めなかった

 

幼い頃の想い出がふと蘇る

4つ下の弟はよく遊びについてきた

可愛かった

オレよりも頭は良かった

父と同じ職人肌が際だった

手仕事は完璧を求めた

 

オレの弟よ

今年もまた親父より先に逝くな

誕生日おめでとう

オレの弟よ

今年は会いに行こう

誕生日おめでとう

 

202644日書き下ろし。電話口で弟の声をしばらくぶりに聞いた。嬉しかった〕

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