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腰痛がいた

二本足歩行の悪しき弊害 動作ひとつも腰への負担が重い   最初は高校 2 年の時だった バスケットでジャンプシュートした 着地すると急に腰が砕けた 右腰に痛みが走った ぎっくり腰の始まりだった それ以来年に一度は発症した   教職に就いてからは 椎間板ヘルニアがついてきた 二ヶ月休職を余儀なくされた カイロプラクティックに通った 入院を忌避して自宅で療養した 復帰後教室に簡易ベッドを持ち込んだ 午後からは横たわりながら授業した 子どもに助けられた数ヶ月だった 回復しても動かずにはいられなかった 職員室で座っているタイプではなかった 授業はもちろんスポーツ少年団の指導もあった 何事も熱中するたちのせいかヘルニアはやって来る 冬期間カーリングに夢中になった 全道選手権に勝ったときはヘルニアは連れていかなかった まあ持病と諦めた   座骨神経痛が用もないのにやって来た 右尻から右足にかけて痺れた それでも動く分には支障はなかった そして来るべき厄介なやつがやって来た 腰部脊柱管狭窄症 背骨内部の神経や脊髄の通り道である脊柱管が狭くなる病気 自然治癒はない 原因は加齢による椎間板の変性 整形外科でリハビリを受けたが効果はない 痛み止めと筋肉を緩める薬を処方される 整骨院で電気とストレッチを施術される 週一度 2 年通った これ以上効果は望めないと辞めた それから 3 年を経た 年に数度腰痛を発症していたが今は軽度だ もともと身体の柔軟性が幸いした 若い頃から続けたストレッチ体操もよかった 木刀での素振りも体幹を整えた 外仕事で腰の張りはあるが痛みはすぐ治まる 去年夏から始めたママチャリでの坂道登坂も効果があった 2 年患った踵痛は解消した 尻と下肢の筋肉が老齢にも関わらず引き締まった 相乗効果か長期に渡る道内のバス移動もよく耐えた   机に縛られた生活も 15 年続く 治癒しないと諦めていた腰痛もいまは穏やかだ 老齢ゆえに無理しない動作が一番だ そう知りつつも試して苦笑いする自分がいる 酒も妻の手料理も美味しく味わいながら平...

現実化した優しさの喪失

この世に 人間の優しさが壊れてゆく 憎悪に満ちた世界となる 殺戮が日常風景となる 復讐が当たり前となる   この世に 人間の優しさが消えてゆく 破壊と奪略だけの世界となる 非道な行動だけが許される 凄惨な攻撃だけで生き延びる   この世に 人間の醜さがはびこる 武器を手にした集団が組織化される 支配された者たちは隷属を強いられる 支配する者たちは殺害を AI でゲーム化する   この世に 人間の邪悪さがはびこる 敵対する者たちが 覇権を争う 叛逆するものは 徹底的に抹殺する 勝者は正当化し 悪魔の形相で歓喜する   都市は荒廃し 死臭が充満する 壊滅的なダメージは 再建を拒む 機械は壊れ 何も作れなかった 農地は荒れ 何も育たなかった 海水は汚れ 何も獲れなかった   餓死と疫病に 苦しみ悶え死んでいった 生命の誕生は 何の意味も持たなかった 死の行列に 加わっただけだった 滅亡へのカウントダウンは 終わりを迎えていく   原発は野ざらしにされ 核に汚染されてゆく 地上には 死の灰が静かに降り積もる 勝者も敗者もともに灰の下に眠る 一時の栄華はかくして終焉を迎えた   〔 2021 年 4 月 23 日書き下ろし。 2026 年 4 月 18 日世界の終末期の想像はいまその現実を直視している。武力による米国とイスラエルの暴虐は新たな強国支配の近未来を描き出す。果たして停戦は米国が簡単に反故するだろう。脅しに屈しない他国は声を上げ出す〕

生きるを信じる

君の屈託のない笑いに つられて笑わされるわたし   君が見せる寂しげな表情に つい顔を覗きこんでしまうわたし   君のたどたどしい言葉もどきを 謎解きのように楽しむわたし   裏切られ 心折れたときもある 悔しさで 堪えきれないときもある どうしてよいのか 地団駄踏んだときもある どうしようもなく 途方に暮れたときもある   でもそばに 君がいた 君と生きて知ったこと 悲しみも苦しみも みんな呑み込んで 君を抱きしめたとき この子は 生きるを求めていることを この子は 生きるを信じていることを   抱きしめた両手に 君はすっぽり包まれた あどけない顔が 嬉しそうに笑った マンマと 乳臭い匂いを顔に吹きかけた このぬくもりは 二人だけのものだった   どこまでも 君と生きる 君といるから 負けない 君がいるから 明日を見る   〔 2021 年 4 月 20 日書き下ろし。 2026 年 3 月京都府南丹市で男子児童安達結希さんが養父に殺害された痛ましい事件が起こった。「君と生きる」ことを信じていただろうに。ご冥福を心から祈りたい〕

学びの先に

知欲の枯れることはない 学びを求めるがゆえの貪欲 学び足りぬゆえの恥辱 学び得ぬゆえの未熟な知力   知欲が充たされることはない 学びに駆り立てられる衝動 学ばねば衰えてゆく見識 学ばぬゆえに朽ち果てる品性   知欲を粗末にしてはならない 学びから受け取る豊かな知の世界 学びを引き取る愉しき好奇心 学びこそ生き方を受け入れる自己覚醒   知欲を抑制してはならない 学びに照らす居場所の確かめ 学びて知る含蓄ある言葉の意味 学ぶという深淵を感受する喜び   知欲あるがゆえに人になり 学ぶ先に見る新しき認識      学ぶ先に掴む確かな判断 学ぶ先にある未知なる憧れ   〔 2026 年 4 月 18 日書き下ろし。富良野市で民生委員児童委員を対象に 6 時間に及ぶ研修を主導した。学ぶという先を感じつつ、参加者の熱意に感謝する〕  

為すべき事がある

未練かも知れない 蒼穹に残した白雲のような やり残した事への 憧憬(あこが)れか   未練かも知れない 曇天に流れる黒雲のような やり損なった事への 後悔(く)いか   未練がましく すがりつく 急な岩斜面にとりつくような 全身がこわばる事の 必死さか   未練がましく 訴える 呂律(ろれつ)の回らぬ言葉のように 伝えきれない事の 苦悶(くる)しみか   未練たらしく 無常迅速に抗う 他人に陰口を 叩かれようと  まだ為すべき事は きっとある   未練たらしく 無窮自在に動く 老いてこそ 見えてくる光が まだ為すべき事を 指し示す    世に 未練はきっと残る 人に 未練はきっと残す だから 終わりのない未練に生きる   生への執着だと 知りながら まだ為すべき事があると ひたすら 前を向く   ※無窮自在(むきゅうじざい):思いのままに振る舞う・こと(さま)。   〔 2021 年 4 月 7 日書き下ろし。ふと生に未練が湧いた。まだ為すべき事があるという思いが生きることに執着させる。2026年4月17日5年を経ていまだ執着する自分を見つめる〕

わかった!

子どものこと わかってるってほんとかな 教えること わかってるってほんとかな 学ぶこと わかってるってほんとかな 世の中のこと わかってるってほんとかな 自分のこと わからないってほんとだよ   子どものこと わかったつもりになっている 教えること わかったつもりになっている 学ぶこと わかったつもりになっている 世の中のこと わかったつもりになっている 自分のこと わからないってほんとだよ   わかったつもりの分だけ 子どもの心は離れる わかったつもりの分だけ 教育は手抜きされる わかったつもりの分だけ 社会を甘く見る わかったつもりの分だけの 自分でしかない   子どものこと わかろうとしてるってほんとかな 教えること わかろうとしてるってほんとかな 学ぶこと わかろうとしてるってほんとかな 世の中のこと わかろうとしてるってほんとかな 自分のこと わからないってほんとだよ   子どものこと わかろうとする分だけわかってくる 教えること わかろうとする分だけわかってくる 学ぶこと わかろうとする分だけわかってくる 世の中のこと わかろうとする分だけわかってくる 自分のことも わかろうとする分だけわかってくる   子どもをわかるのは   子どもとわかり合うこと 教え学ぶをわかるのは 子どもがわかるということ 世の中がわかるのは 子どもと夢をわかちあうこと 自分がわかるのは きっと共育がわかってくるということ   〔 2022 年 1 月 30 日書き下ろし。再掲。教師のわかったふりの分だけ子どもは不幸になる〕

ここにいたい

発寒にこりんこども園の入園式 着飾った幼子が可愛くお座りする 親もまたその子を愛しげに見つめる 式が始まった 園長は幼子と手遊び歌をする 「むすんでひらいて」の歌に合わせて 親子で愉しげに両手を動かす 和やかにそして安心してその場にとける   先生方の歓迎の出し物が始まった ボードの絵に中に隠れた動物を探す 椅子・ピアノ・積み木・給食・ こども園に馴染みのモノの中に隠れてる 身を乗り出して指をさす 親と顔を合わせて微笑みを返す 先生のリードであっという間に終わってしまう 来週からの当園を待っているよとメッセージされた 〆に園長はしっかりとお子さんをお預かりします そう述べて職員にその責務の尊さを示した   20 分ほどの短い時間だった 保護者には当園の卒業生もいた 園長は親しげに声をかけて談笑する 先生方のセレモニーをリードした職員にも よくやったわとねぎらいの言葉をかけた 緊張しましたと言いながら嬉しそうに笑顔を見せた   保護者の帰る列が途切れたのをはかった出た 玄関口で泣いている子がいた 母親はなだめるがなかなか泣き止まない 園長はどうしたのと優しく声をかける きっと帰りたくないって駄々をこねてるんですね そういって靴を履いた そばに寄って来てその通りだったわって教えてくれた 嬉しい泣き声を聞いてこども園であることの覚悟を知った   〔 2026 年 4 月 11 日書き下ろし。昨日にこりんこども園の入園式に参列した。初めての体験だった。和んだ雰囲気が幼子の心まで掴んでしまった〕