校外にしておく
あったことをなかったことにする
校内でのいじめはなかった
トラブルがあれば適切に指導する
子どもらからも双方の言い分は聞く
校外でのことは学校の監督責任はない
あったことをなかったことにした
去年アンケート調査が実施された
校内でのいじめの事実が発覚した
「仲間外れや無視」(7人)「いじりやからかい」(6人)
「軽くぶたれる」「先生から嫌なことを言われる」「変なあだ名をつけられる」
「広瀬さん自身も周囲から避けられていると述べていた」
学校が隠蔽していたいじめの事実が明かされていた
第三者委員会は子どもらの声を聞いても放置した
中間報告では校内でのいじめを一切認定せず加害者の言い分を優先した
自死した被害者にそもそもの原因があるかのような論調に母親は異議を唱えた
あったことはなかったことにしておく
ある市の放課後学童保育の指導員は憤った
校長が放課後の児童の監督責任は学校にはない
夏休みに学校のプールに行っても監督は学童だと言い切る
事故があっても責任回避できるよう事前にバリケードを積む
時には校内での監督責任すら取らずに予防線を張り巡らす
決して特別なことではなく校内に面倒を持ち込まぬ対処法だ
あったことをなかったことのようにする
事故が起これば口裏合わせて対応する
不都合なことには口を閉じ箝口令がしかれる
個人の失態には関与せず連帯責任を回避する
学校の世界はいつも教員の安心安全が優先される
教育委員会は事案が発覚すれば謝罪に追われる
かばい立てすれば矢面に立ち非難を浴びる
後の始末は形式的な謝罪とありきたりの防止策を披露する
さらに人事異動を発動して校内一新で決着つける
あったことはあったことでしかない
知らなかったと言い訳しても後の祭りだった
黙認された不作為や放置が世間を揺るがした
子どもにも無関心や不感症そして無干渉がまん延している
級友が自死してはじめていじめ問題の重大さに気づく
校内でいじめの事実を訴えることもしなかった
聞かれなかったから言い出せなかった
言えばチクったといじめの標的になるのが怖かった
中学生ともなればいかに立ち回るのか計算できる
リスクの大きなことは避けるしかない
教師も子どもも暗黙の了解をしつつ黙認した
無記名のアンケート調査でようやく心のつかえを吐き出した
あったことをあったことのままにする
責任回避した事実を認めることは苦悩であり苦痛でもある
学校の社会的な信頼も教師の人間性や指導力も疑われる
事実を歪曲した結果がいまの事態を招いてしまった
糺弾される事態に陥り釈明せざるを得なくなった
学外でのいじめを強調する余り教師の早期発見が遅れたと正当化する
いじめと判定しなかった判断過程やその理由や根拠を求められた
第三者委員会の中間報告のずさんさで不作為がより鮮明になった
8月の第三者委員会の最終報告は委員会そのものの価値が問われる
いじめを苦にする子らが自死することのないよう
旭川の広瀬爽彩(さあや)さんの自死からのメッセージを受け止めてほしい
それが教育者たちの人としての社会的責務である
〔2022年6月23日書き下ろし。昨日旭川の広瀬さんへの校内でのいじめが発覚した報道に憤りを感じた。教育の正常化にはまだ時間を要する。いじめられている子らへ、一連の事実を全国の学校関係者は伝えなければならない。そうしてきたのか疑問は残るが〕