ルーツ
娘が仕事で福岡に飛んだ
ホテルから妻とメールでやりとりをしていた
柳川が妻のルーツだ
娘は妻の旧姓をキーワードに系図を調べた
立花藩主の室につながった
「むろってなあに?」
妻は笑いこけた
系図の中に正室・室・側室と記載されていた
本妻の正室以外はみな側室である
しかしここには室と書かれていた
後添えを表しているのだろうか
妻のルーツは藩の重鎮を担っていた家系のようだ
ひとつ言えるのは娘がその血筋をひいていることだ
戦後北海道に否応なく移住したことが娘につながる
いのちの営みの不思議を痛く感じた
久しぶりに夫婦で想い出していた
二人して柳川を訪れ菩提寺にお参りした
立花邸御花では古地図が展示されていた
城を囲む武家屋敷の一角に名前を見つけた
娘に妻はルーツの旅を勧める
夫のルーツは隣の久留米藩の下級武士である
室蘭に屯田兵に入り失敗し厚真の山奥に入植する
九州にルーツを持つ二人が出会うのも不思議な縁である
二人のルーツを娘は興味深く感じていた
覚えている記憶をしたためておく時がきたようだ
[2023年4月20日書き下ろし。夫婦の父や母の苦労もしっかりと伝えなければならない。娘たちがそのことに興味を示す年齢になったことが嬉しい]