インクルーシブ教育の壁を破る
2022年9月国連障害者権利委員会は
障害者権利条約に基づき勧告を出した
障がい児が分離された特別支援教育の中止
発達障がい児のインクルーシブ教育
障がいの有無に関わらず全ての児童生徒が同じ教室で学ぶ
日本流の分離教育の仕組みが否定された
特別支援学級や特別支援学校での支援教育のあり方が問われる
発達障がいと診断を受ける子は年々増加する一方だ
自閉症・情緒障がい・知的障がい・言語障がい
肢体不自由・弱視・難聴そして病弱・虚弱の子らが
全国の特別支援教室には35万3438人が在籍し
道内には1万8381人が在籍する(22年度道教委調査)
子どもの数が減っても20年前に比べると4倍とは驚異の数字だ
20数年前ADHD(注意欠陥多動性障がい)が注目された
当たり前にクラスに数人いた
精神科医の診断で発達障がいが特定された
保護者は普通学級か支援学級かの選別を求められた
支援学級に在籍すれば障がい別に担当する教員が増員された
障がい児学級と名称された時代から同学年の子らとの交流学習はあった
診断のレベルが上がり発達障がいが見つけられやすくなった
問題は個々の障がいに対する指導スキルがないことだ
障がいの有無以上に個々の特性に見合った教育が求められた時代だった
教えることの困難さを今も抱えながら現場は困窮する
人手不足や予算不足さらには指導スキルすら不足する
障がいの理解すらままならないところで授業の進度が求められる
インクルーシブ教育の壁は歴然としてある
理想を掲げても現状の学校教育の中で実現するのは至難であろう
一方で授業の充実を求めながらその手で落ちこぼれを放置する
教員の指導の質と人材量も連動する中で現場の実態は何の進展もない
インクルーシブ教育の壁は欧米の教育の理念の模倣では破れない
ただ壁をつくってはその先には進めない
パッションもスキルも求められる自己に課したミッション
実現には教員への過大な期待や成果は放棄するしかない
トライする者への支援と失敗を磨きあう仲間が必要不可欠だ
信じるに足る実践はわかり合えるに至るかどうかしかない
2年間暗中模索で障がい児学級の担任との実践が続いた
唯一の救いは同級生の子どもらの変容する力だった
子どもらは拒絶し葛藤しながらも受け入れていく
日々「共育」が普段の教室の景色となっていった
「いくよちゃんがいたおかげで本当の優しさを知った」
卒業の時に伝えられた言葉がいまも心を打つ
実践のためにひとつだけ教えてほしい
福祉を問われる覚悟がきみにはあるかな
〔2023年5月30日書き下ろし。35年前インクルーシブ教育を実践した一人としての実感である。知的障がいのあるいくよちゃんに44人の子どもらが学んだ意義は大きい〕