真の協力を知る
真夏の陽が部屋に射し込む
少女は老女の衣服を脱がす
なかなか思うように事が運ばない
額に汗が流れ始めた
特養ホームでのワークキャンプ
介護の初体験をする中一の少女
二日目の活動は入浴介助だった
ストレッチャーに乗せる支度をする
こんなに面倒だとは思わなかった
通りかかった介護士の一言で救われた
「一人でしようとしないで○○さんと協力したら」
少女はその意味を素早く理解した
一人相撲を取っていたことに気づいた
右手を少し上げてと指示し始めた
為されるがままに身体を預けていた老女が反応した
かといって大きく動くわけではない
それでも服を脱ごうという意識が勝った
ようやく脱衣させて少女は汗を拭った
少女は賢い子だった
服を脱がせてあげることではなかった
声をかけて老女の力を引き出すことだった
服を脱ぐという目的を共有することだった
達成するには二人の力を合わせることだった
一方的になにかしてあげることを当たり前と考えていた
一人で無理ならば仲間と一緒にすることが協力だと学んできた
その考え方は見事に覆され否定されてしまったのだ
老女との対等な関係から導き出された尊厳を知った
その日少女は真の協力を学んだと綴った
〔2024年7月19日書き下ろし。ワークキャンプという福祉施設での宿泊体験学習。現場の共育力の凄さとそれに応える少女の賢明さを学んだ日を忘れることはない〕