Lakuraから人生のリスタート
百年の石蔵が壊される
耐震構造が脆弱だと行政指導の結果だ
補強する資金は貸主にはなかった
惜しまれて解体作業が始まる
Lakuraという店が閉じる
二十年料理と酒と音楽で常連客をもてなした
蔵にはグランドピアノが鎮座する
娘が音大進学のために買った中古のピアノ
35年娘と連れ添うパートナーになった
Lakuraという蔵で曲がりなりにも暮らしがなった
幼子を抱えて借金返済に苦労した
子育ても二人の息子に手を焼いた
親子四人それでも一緒に涙し笑った
蔵の解体は人生の区切りをする終わりの始まりだった
Lakuraという店は人が憩う蔵だった
心が傷ついた人も病んだ人も素直になれる蔵だった
人へのいたわりと優しさが自然に満ちた蔵だった
集う人たちが勝手に作った癒やしの蔵だった
Lakuraという音楽蔵がなくなる
東日本大震災のチャリティーコンサートにも使った
チェロリストの土田英順氏が娘を鍛えた
二人で演奏旅行中には母親が孫三人の世話をした
音楽を愛する仲間たちが演奏会を開いた
集う蔵が明夜でクローズする
Lakuraという蔵は大きな想い出を作る
今日から蔵を舞台に斎藤歩主演の映画づくりが始まる
三日間の撮影で6月にはクランクインする短編だ
300万円の資金は寄付でまかなう
娘の人脈が試される機会となった
Lakuraという蔵は人を育てた
ここで人生を語り愛しそして世を去った人もいた
挫折した若者が生きる勇気を集う人からもらった
屈折した社会に挑む若者たちは音楽に道を選んだ
心を開き泣くまで笑った語り合いが深夜まであった
Lakuraという蔵は閉じても人の心は閉じられない
昨夜最後の夜を満喫し笑顔でさよならする人の熱気に溢れた
内地からも道内からも多くの方が集まってくれ感謝しかない
久しぶりに孫の三きょうだいが揃って写真に収まった
末娘は心地よく酔いながら動画を母に送ってきた
明日は休みだから酒豪の末娘は心いっぱいになるまで酔うだろう
Lakuraという蔵から人生を学んだ娘よ
これからが一番面白いことが始まる
借金を返して好きなことを思いっきりやろうか
亜樹ちゃんという感性豊かなフィリーングのあう友と音楽もまたよし
店を持たないホームパーティー出張シェフもまた面白い
身銭を稼がねば喰っては行けぬが貧しくとも心は満タンだ
はゆきよ
Lakuraから人生のリスタート
仕合わせという巡り合わせの強運を心から祈る
〔2025年2月23日書き下ろし。蔵に集いし方々に熱く感謝いたします。ご贔屓をいただき娘も孫も成長しました。娘も孫たちもはこれからも自分らしく生きることに挑み続けるでしょう〕