現代昔話 こいこしかんばちいでいかせ

昔あるところにかわいらしい女の子がいました

あるときおばあちゃんからお使いをたのまれました

となり村までとどけてほしいと小さな荷物をわたされました

これは何があっても開けてはならないよとかたく言いつけられました

でも困ったときはこの荷物を開けなさい

ふだんのやさしいばあちゃとはちがう強い言い方でした

女の子はともかく荷物をもってとなり村に出かけました

 

途中広い原っぱがあります

青い大きな空に心地よい風がふいてきました

お使いにきてよかったなと思いました

そこにウサギさんがひょっこり顔を出しました

ねえそんな荷物を持ってどこに行くの

となり村までおばあちゃんのお使いに行くの

それじゃボクもおともしましょう

 

あれこんなところに林なんてあったのかしら

初めて歩く道でした

道は二つに分かれていました

右の方の道には「おかしい笑いの道」って書いてあります

左の方の道には「かなしい笑いの道」って書いてあります

どっても笑うんだと女の子は思いました

どっちに行くか選んでねとウサギは言います

「かなしい笑い」ではいやだから「おかしい笑いの道」にする

 

右の道を行くと突然もやがかかってきてま白くなりました

何にも見えないので女の子は心細くなりました

するとふいに白いもやが晴れてそこに一軒のおうちがありました

ウサギとそのうちの前に立ちました

中から白いキツネが現れました

ウサギさんよきょうもまた人間の子を連れてきたね

 

キツネさん「おかしい笑いの道」を歩いてきただけなの

ここはいったいどこなの

ここかいおかしな笑いのキツネ村さ

ここにきたらおかしな笑いをしなければこの道は通れないのさ

だからお前はおかしな笑いをしなければならないんだ

できなければお前の持っているお使いの荷物をもらって

お前はここから出られなくなるぞとおどしました

女の子はビックリしました

まさか自分がおかしな笑いをしなければならないなんて

一度もそんな笑いをしたことがなかったのです

 

ウサギは女の子に耳打ちをしました

いやだそんなことできないと顔を真っ赤にして言いました

それは変顔をすることでした

変顔でキツネを笑わせば助かるのです

でもどうすれば変顔になるのかちっともわかりません

ウサギはどうせできないと思ってキツネの味方をしているのです

 

そこで「このお話を聞いている子どもたち」に助けてほしいとお願いしました

話を聞いて子どもたちはすぐに変顔を見せてくれました

キツネはおなかを抱えて笑い転げました

でもこの道はとなり村には行けないとキツネが言いました

ウサギにだまされたとも知らないでしかたなく前の道に戻りました

今度は左の「かなしく笑う道」に行くことにしました

 

また真っ白いもやがかかってきました

晴れたとたんそこにはたぬきさんが立っていました

ウサギさんよかわいい子を連れてきてもらってありがとう

いえいえこの子の持っているお使いの荷物が気になりましてね

なにが入っているのかとても気にかかってきたので

たぬきさんのお力をお借りしたくてこの道にさそいだしたというわけです

ウサギさんよ これでまたなみだのジュースをたくさんのめるな!

 

ウサギさんなんのお話ししてるの

女の子はだまされたこともしらないでたずねました

ここはたぬきの村なんだ

となり村に行くにはここで「かなしい笑い」をしなくてはいけなんだ

それはどうすればいいの

涙をたくさん流しながら笑うことだよ

その涙をジュースにして飲まないとたぬきさんが鬼のようにおそろしくなる

だから哀しい気持ちになって涙を流しながら笑ってとウサギさんは言いました

 

女の子はそんなふうに泣いたり笑ったりしたことは一度もありません

そこでまた「このお話を聞いている子どもたち」に助けを求めました

みんなかなしい気持ちになって笑いながら涙を流して

みんなは一生懸命そうしました

でもジュースにするには足りません

 

狸さんが我慢できずに怒り始めました

なんて子だ

ちっとも涙も笑顔も出来ないじゃないか

この子はお仕置きにしてやると女の子の手をつかみました

そのときでした

女の子は持ってた荷物をほどいて小箱を開けました

中から呪文が聞こえてきました

 こいこしかんばちいでいかせ こいこしかんばちいでいかせ いかせ」

このお話を聞いている子どもたちの声が聞こえてきました

それを聞いたとたんに

「助けてくれー」とたぬきさんとウサギさんの悲鳴があがりました

そして白いけむりとともにあとかたもなく消えてしまいました

 

女の子はとなり村につづく一本道に立っていました

村に着くとおばあちゃんと村人がむかえてくれました

女の子はおどろいてなんでここにいるのと聞きました

 

おはあちゃんは村の林にようかいがあらわれた話を始めました

可愛い女の子を見ると悪さをすると村の人はみんな心配していたんだそうです

そこでお前をようかいのところにやってこらしめようと考えたんだ

案の定ウサギに化けたようかいがお前を誘い出したってわけさ

何も知らないお前はこわがりもせずに

ここにいる「お話を聞く子どもたち」といっしょによくがんばってくれたね

 

ようかいをやつけるのにあの小箱をもたせたのはうまくいったね

ここのかしこい「お話を聞く子どもたち」のまごころと勇気には

さすがのようかいもかなわなかったというわけさ

もちろんお前が一番勇気のある子だと思っていたけどね

お前をだましたようですまなかったね

 

これで子どもたちはみんな安心してくらすことができる

本当にありがとう

村の人たちにお礼を言われて女の子もとても喜んだとさ

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