価値を見出す
たわいない代物だった
決して高価ではなかった
幼子はそのタオルが必要だった
眠りにつくには欠かせなかった
タオルの感触が心地よいのだろう
心が落ち着いて安眠を誘った
不眠症の睡眠導入剤など不要だった
タオルに価値を与えることが尊いのだ
何の取り柄もない人だった
優れた能力があるわけでもなかった
幼子にはその人が必要だった
そばにいるだけでなぜか安らいだ
陽だまりのようなぬくもりを感じた
ヒステリックに指図する人は苦手だった
その人に価値を与えることが素敵なのだ
黙って見ている人だった
何か特別なことをするわけではなかった
幼子には見守りが必要だった
ただいるだけで安心して遊んだ
時々笑顔で見る目が優しかった
口うるさく注意する人は怖かった
その人の価値を見出すことが嬉しいのだ
一緒に何でもする人だった
保育の経験があるわけではなかった
幼子にはお話にもお遊びにも必要だった
叱らず褒めてその気にさせた
明るい笑顔と元気な声が虜にした
疲れた顔で不機嫌な人は近寄りがたかった
その人の価値を幼子は正しく見抜いていたのだ
たくさんの夢を語る人だった
美しい言葉が夢の世界を彩った
幼子には新しい言葉が必要だった
成長に伴い世界を広げていく言葉だった
優しさと思いやりが言葉にも満ちた
いつも一緒にいても飽きることはなかった
その人の価値は幼子に憧れの人となった
〔2025年9月3日書き下ろし。価値をお金で表す経済資本主義に毒された世界で、本当の価値を知っているのは幼子たちだ〕