分かつ幼子
物心ついた頃からだった
何か菓子をもらう
幼子はためらわずに分け始める
驚く大人を尻目に分け与える
ありがとうを言わざるを得ない
当人は喜ぶ様子も見せず食べ始める
当たり前のことをしたように振る舞う
菓子を割れねばならない
人数分を頭に入れて考える
割った菓子は大きさが違う
見比べる
大きい方を大人に差し出す
小さいのでいいよと言う
まだ小さいから小さいのがいいと言う
体の大きさで分ける物差しを持つらしい
誰が教えたわけではないという
大人に囲まれた育ちの中で身につけた
分けるという感覚がなぜ育ったのか
親すらそこは不思議だと話す
打算ではないことがことさら嬉しい
分けることの意味合いはわかってきたみたいだ
分け合うことの愉しさは笑顔で感受する
分かち合うという享受の始まり
教えられることではない共に在ることへのアプローチ
伝えられることではない共に味わうことへのプロデュース
作り事ではない共に感じ合うことのイマジネーション
さもしさなど微塵もない共に認め合うことのイノセンス
優しさの湧き出る分かち愛に大人は不純を突きつけられる
幼子の何気なさが大人の不浄なあり様に鋭く問いかける
幼子から存在理由を問われるのは誰か
〔2025年11月16日書き下ろし。幼子の無意図性に不純が暴かれる〕