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11月, 2024の投稿を表示しています

一斉音読

国語の授業 指定した文章を一斉に読み始める おもいおもいに声を出して読む 黙読では起きない言葉が響く 無意識に感情が入り込む   たどたどしい読みであってもいい 声の抑揚や強弱も君がつくる 言葉から生まれるリズムも君なのだ 競う合うこともない自由な君がいる 朗読の独特な表現に君がいる   声に出して読むと楽しい 言葉が躍るように心に響く 意味がわからなくても面白い 言葉が友だちになれると囁く 難しい文章でも構わない 言葉が転がって流れてゆく   教室は子どもらの言葉で埋まる 教室は連なる言葉が乱舞する 教室は書かれた文章が生き返る   読み終えた子どもの笑顔がいい もっと読みたい子どものやる気が嬉しい 何か感じている子の言いたげな顔がまたいい   〔 2024 年 11 月 30 日書き下ろし。小学校の教員のころ、子らの朗読の力を育ててきたと、いまになって得心がいった。詩を朗読することの意味を問い続けるいまがある〕

次のこと

愛用のiPad をバスに置き忘れた 帯広から仕事で戻る 高速のトンネルや谷間で電波が途切れる iPad の Wi-Fi は切れて視聴を諦める 座席の右側に立てて置いた   大谷地のアナウンスを聞いた 信号待ちで停車した 棚からコートとリックを取った そのときすっかり iPad の存在は忘れていた リックに入れたと思い込んでいただけだった   帰宅して荷物の整理をするとない ようやく置き忘れに気づいた 老人の瞬時健忘症か 何かに気がいくと大事なことを瞬時に忘れる 次のことで意識が占領される 苦笑するしかなかった   翌朝 JR バスに電話した 琴似二十四軒にある営業所が保管していた 雪降る中これから地下鉄に乗り取りに行く なんと面倒なことかと思いながらも安堵感を覚える 忘れ物はきちんと手元に戻る日本の国の社会道徳を誇りたい 感謝を忘れず次回への戒めにしよう   〔 2024 年 11 月 30 日書き下ろし。老化を実感する。無事戻ることに感謝〕    

気ままな朝風呂

温泉ホテルをハシゴする 朝風呂は人気(ひとけ)のない時間帯を狙う 釧路は弊舞橋を見下ろす露天風呂 去年の 1 月は吹雪の中でひとり湯を楽しんだ 今年は暴風雨だった 降りしきる雨と音を鳴らし壁を揺する風が心地よかった ひとり入ってきた男は早々に退散した うざったいのは大型画面で放映されるテレビショッピングだった 夜中までもつまらぬ騒音でかき回されるのは許しがたかった 声が雨と風で消されていくのは何か破壊的だった   翌日強風と激しく降る雨を友に根室標津に向かった 仕事を終える頃には雨も小降りとなり風もやんだ 中標津に取った初めてのホテルは日帰り入浴もできた 使い勝手は悪くはない 同伴者にはこれからこっちにしようと話した まだ風呂を味わってはいないうちにだ スーパー銭湯風だろうと想像して早速いただいた 露天も趣があり湯口の熱さがちょうどよかった 宿泊の部屋は 50 もないだろう 仕事で利用するとすれば夜中は一人風呂になる 飲んで一眠りして目覚めたら夜中の 2 時だった 気ままな時間を自由に使ういまは自遊人だ さっそく露天風呂に向かった もろん誰もいるはずはない 静寂な夜に湯口からこぼれる水音を聞く 漆黒の空には星一つも輝いてはいなかった 熱い湯に静かに身を横たえて目をつぶる 至福の刻をいただく喜びを味わう   今日は露天風呂が地下にある帯広のホテルだ 冷えた空気が湯あたりを防いでくれるだけでもいい 仕事で見つけるささやかな愉しみ方が その機会を与えてくれたことに感謝しつつ英気を養う   〔 2024 年 11 月 28 日書き下ろし。民生委員の研修で昨日は根室標津、明日は帯広。研修に参加した人たちの満足度も高かった。明日も温泉で英気を養った分しっかり仕事しよう〕

邪魔にならない男

何事にも熱い やるべきことを掌握する 何事にも顕著だ 為すべきことに貪欲だ 邪魔にはできぬ男がいる   なんびとにも熱い 積極的に人を求める なんびとにも謙虚だ 拒まれることは決してない 邪魔にはされぬ男がいる   人へのおもいが熱い へこたれない真っ直ぐがいい 優しさを強さに変えるのがすごい 邪魔してはならない男がいる   人を事とつなぐのに熱い 確信を持ってアクティブに動く 苦労を背負うのもいとわない ぶれない芯を柔らかい人当たりにする 邪魔とは思わぬ男がいる   福祉に生きるに熱い男がいる 邪魔にならない存在が羨ましい 邪魔にできない存在が妬ましい 邪魔にしてはならない存在の重さに惹かれる   〔 2024 年 11 月 27 日書き下ろし。昨夜釧路で久しぶりに飲んだ。ふとついた言葉が「邪魔にならない男だな」と。長い付き合いで、その存在の重さがストンと落ちた〕

ぶり返す

インフルエンザの予防接種をした その後何か体調がおかしい 忙しさにかまけて疲れていた   身体のセンサーが異常を感知する 体力はあると思っていた 風邪の兆候も顕著になった   一時回復の兆しが見えた 頼まれた仕事もこなしていた 突然ぶり返しが起こった   すでに症状が出て 3 週間を超える いま発熱と咳が治まらない ため込んだストレスがたたったか   来週大事な仕事を控える 言葉を発するたびに咳き込む 8 度近い発熱は続く   食欲も失せる 抗生物質が使えない身だ ひたすらベッドの中で耐える   治癒力に期待するばかりだ 若いとはいえこの風邪はこたえる 気はせくがここが我慢のしどころか   喘息のような咳に体力を奪われる 弱気になってはならない 大丈夫と言って聞かせる 明日になれば少し明るくなると信じて   〔 2024 年 11 月 25 日書き下ろし。風邪をこじらせた。何事にもめげず一生懸命生きている子だ。辛いだろうが頑張れ!〕

大人になれたら

腹が満たされない 2食も食べられない時代があった 食べることが生きがいだった   ガザの子は言った 大人になったら…ではなかった 大人になれたら…何と答えよう 腹をすかせ明日の命も危ういのだ 余りに多くの人の死を見てしまった   命を奪われそうになっても抗えない 大人になる前に死が迫っている 大人になる前に飢餓にもだえる 大人になる前に非道を知りすぎた 力なき子らは食べ物を探す   祈りを唱えても何も変わらない 大人になれたら何を手にするのか 大人になれたら憎しみを抱くのか 大人にもしもなれたら自由と平和を… 力なき子の希望は泡とついえる   戦時下に生きる子どもらをいたぶる 異教も思想もただの幻想でしかない 政治の具として抗争と犠牲を強いる 大人になれたら…爆撃でかき消される 大人になれたら…傷ついて動けない 大人になりたい…奇跡的に生きている   〔 2024 年 11 月 24 日書き下ろし。大人になりたい。不甲斐なさが刺さる〕

小心者の疑い

信じられなくなった 任せていたのにいまさら… 信じた自分を疑った 人を見る目がなかったことに   信じられなかった 思いもつかないことを… 疑った自分が情けなかった 人を知る力が足りなかったことを   信じたかった 諦めきれないおもいが… 騙された自分を恥じた 人に委ねていたことを   信じたい 一度の過ちだから… 裏切られても自分を信じたい 人は変わると願うから   信じよう 丸ごと受け止められるか… 小心者の自分を笑う 人は期待に心躍らせるから   信じる 疑心を持つ? 裁量の狭い自分が恨めしい 人は誠意を誠意で返すと信じたい   〔 2024 年 11 月 24 日書き下ろし。擬人はどこから生まれるのか。浅ましい自分を笑う〕

ありふれた日常

埋まってしまった過去 埋まっていくいま ありふれた日常に在る   さりげないしぐさ さりげない好意 ありふれた日常のアクセント   たわいないしぐさ たわいないジョーク ありふれた日常の息抜き   おざなりの服装 おざなりの食事 ありふれた日常の脱力感   挫けるささいな決心 挫けるすぐの心変わり ありふれた日常の優柔不断   悔いるつまらぬ失言 悔いる保身の言い訳 ありふれた日常の汚点   繰り返す悪しき習慣 繰り返す懲りない失敗 ありふれた日常そのもの   まどろむ思考 まどろむ視界 ありふれた日常の平穏   〔 2024 年 11 月 23 日書き下ろし。どんな人もありふれた日常に個性を見出す〕

当たり前の暮らし

軽費老人ホームがある 自立して生活できる自由度の高い施設だ サービス付き高齢者住宅やグループホームが乱立する 入所者の獲得にしのぎを削る   軽費老人ホームの入所者の平均年齢が米寿に近いところもある 特養ホームとの違いは介護が必要になると退所を余儀なくされる それまでの暮らしをサポートすることがスタッフの仕事だ   いままで当たり前にしてきたことが少しずつ出来なくなる さりげなく寄り添い当たり前の暮らしを守る いままで気負うこともなく当たり前にしてきたことができなくなる おもいを受け止め当たり前に暮らしをつくる 自分の時間と施設の時間が融合して流れてゆく 当たり前だと感じる平穏な暮らしに身を委ねる   施設の魅力を問われた その人が当たり前だと思う暮らしを丁寧に紡ぐことだと知った 米寿の方と穏やかな日々を丁寧に過ごすことだと知った   〔 2024 年 11 月 22 日書き下ろし。昨夕福祉施設の職員との会議の席で「施設の魅力」とは何かを質問した。心身の変調を覚悟しながら、日々を平穏に暮らす願いを実現する事か〕

ゆるい

ゆるい 力が抜けた虚脱感 何も手に付かぬ無気力感 注意力散漫の欠如感   ゆるい 緊張からの解放 集中からの離脱 責任からの逃避   ゆるい 先見力のなさ 判断力の甘さ 解決力の低さ   ゆるい 生命維持の待機 精神保持の緩和 肉体疲労の回復   ゆるい 息苦しさからの心呼吸 寛容の度量の確認 人間力のひとつの魅力   〔 2024 年 11 月 21 日書き下ろし。ゆるさを持たねば息苦しい〕

ほどく

はた結びの結び目を解く 太さの違う紐を結んでいた 緩めながらほどいてゆく 躊躇うこともない 用済みだからほどくだけだった   モノとのつながりの結び目を解く 愛着のある道具はおもいが絡まる 緩める心がすぐに挫ける 抗いながら手を進める 用済みとは過去との離別か   人とのつながりの結び目を解く 崩れた関係の修復は悔しさが募る 緩めてもすぐにはほどけない 苛立ちが憎しみを生む 用済みとドライになれない執着か   事とのつながりの結び目を解く やり終えた充足感に浸る 緩めるのは気持ちと同調する ねぎらいの言葉で手を止める 用済みだと自覚した一瞬か   ほどく しがらみからの離脱 自己承認の道程   ほどく しがらみからの解放 自己決定の確認     ほどく しがらみとの決別 自由意志の回復   〔 2024 年 11 月 20 日書き下ろし。ほどくにほどけないしがらみ。抗いながら生きる〕

谷川俊太郎氏逝く

92 歳 まだ早すぎる 心より哀悼の意を表します   こどもに向けることばがやさしくふかい ひらがなの詩文が素直に沁みた   いのち あい つながり   こころのありようを こどものふしぎを ひととのまじわりを ことばがときはなされる   こどもにそそぐまなざし いのちへのうやまい あいすることのまよい ことばがいまをいきる   〔 2024 年 11 月 19 日書き下ろし。朝日新聞で月一の詩を楽しみにしていた。残された詩に、インタビュー記事に触れる一日となる〕  

朗読をお願いする

黙読は頭の理解を優先する 朗読は心に訴えかける だから聴くという心も態度も育つ   いつもの発寒にこりんこども園 今日は全体童話の日 園の伝統がいまも継承されている活動 保育士が代わりばんこに童話を朗読するという 3 歳の年少から 6 歳の年長まで講堂に集まった 昔話を始める歌が合図となった 作詞作曲不明の歌い継がれた歌だった   ステージの上に立った保育士が 10 分ほどのお話をした 多くの子はその話に微動だにせず聞き入っていた 驚いたのは感想を発表する場面だった 半数以上の子が手を挙げた 発表した 3 歳の子の拙い言葉が嬉しかった 茶化す子も批判する子もいない 発表したいという気持ちが勝っていた 自分の意見を持つことがこうして鍛えられてゆく   ふとステージで何を話そうかと一瞬想像した 「こぶとり爺さん」の昔話に子どもを巻き込んで見よう ステージから見下ろしては親近感が湧かない まだ子どもたちとの距離感は遠い 先生方のようにスッと話に引き込むことは難しい ましてや距離のある高いステージではなおさらだ ステージに腰掛けるか胡座をかくスタイルもいいか 途中から子どもの中に入る演出も子どもが惹きつけられるだろう 子どもを聴く立場から登場人物を演じ出すのも悪くない 妄想は所々切れ切れになったが心が弾んだ   園長室に戻り今日の様子を語り合った 唐突に朗読のチャンスを頂けないかと切り出した あの子たちと童話を愉しむ時間を共有したいとお願いした 園長先生は笑顔で快諾した 秋田の大館市大葛保育所で 20 年近く前に話した以来だ 秋野菜を子どもらのそばにたくさん並べた 2 歳児を膝に乗せながら命と心の話をした 翌日その野菜でポトフを作って命を大切にいただいたと礼状をいただいた 3 月お話をモチーフに子どもと作った卒業記念の絵本が贈られてきた 拙い話ではあったがこうして「つなげていく」保育の実践に心打たれた   申し出た以上子どもらが童話の世界に入り込む仕掛けが必要だ 聴くだけではなく考え言葉を発し演ずる その一体感に心が揺さぶられ躍るような歓喜が生まれる...

憎しみが生まれる

憎しみはなぜ生まれるのか   命を脅かし奪う者への憤怒 心を蔑ろにする者への抗い 恩義を忘れた者への怒り   信義を汚す者への憤り 約束を違(たが)えた者への腹立ち 私欲を満たす者への苛立ち   正義を軽んじた者への非難 法を無視した者への制裁 専制を正当化する者への怒髪   慚愧なき者からの恥辱 卑怯な者からの軽蔑 真実をたぶらかす者からの嘲笑   卑しき感情が暗雲のように世界を覆う 憎悪の種は蒔かれた 安寧の花はしおれていく 義憤の芽を枯らしてはならない   〔 2024 年 11 月 17 日書き下ろし。世界を悪しき支配者が席巻する。憎しみの感情をコントロールしなければならない〕

無心ということ

ことに当てって集中する 邪念を払い没頭する 期待した成果を求める   出来ない 何かが横切る 目線が外れる 心が緩む   欲が絡む 利得を勘定する 成就への執念を燃やす   出来ない 何かが違う 目が眩む 心がずれる   無心になる 雑念を払う 我を忘れ刻が止まる   なれない 何かが邪魔する 目をそらす 心が拒む   虚心になる 妄念を退ける 命の鼓動を聴く   なれない 何かが足りない 目を背ける 心が遠のく   〔 2024 年 11 月 16 日書き下ろし。無心の境地を求める。罪深き者たちの残渣のようにも思える〕

酔う

勝利に酔う デタラメの国家人事がまかり通る デタラメを知っても逆らえない デタラメだと批判も無視される デタラメでも好き勝手に面白がる デタラメが生死を分けても笑えるか デタラメがこの国の国是となる   人に酔う デタラメな人だから差別と分断を誇張する デタラメな人だからこそ選んで鬱憤を晴らす デタラメな人が利害で集い偏重を許す デタラメな人を重要ポストに登用し容認する デタラメな人に生死を委ねるのか デタラメな人がこの国の未来を閉じる   権力に酔う デタラメな支配は憲法すら無視する デタラメな信仰は神すら畏れない デタラメな仲裁は世界を震撼させる デタラメな科学は地球規模の危機を招くのか デタラメな人が民主主義を専制へと塗り替える   酔わない人がいる デタラメを厳しく監視する 酔えない人がいる デタラメを醒めた叡智で批判する 酔ってはならない人がいる デタラメな人が世界を攪乱するのを制止できるか   〔 2024 年 11 月 15 日書き下ろし。トランプ次期大統領に、いいようにされる国家の仰天人事。あきれかえる。どんでもない米国の政治の幕開けを予感する〕

世界で一番小さな音?

世界で一番小さな音? 子どものワンダーセンスに感嘆 子どものインスピレーションに感動 子どものイマジネーションに脱帽 子どものエクスプレションの美しさに感銘   世界で一番小さな音? 朝露に濡れた葉っぱから 花びらにしずくが落ちた   花びらが揺れた その瞬間かすかな波動を見た 鋭く音を感じ取っていた 子どもの好奇心と観察力に圧倒された   expression (エクスプレション):言い表すこと。表現 ( すること ) 、表出。ことばの言いまわし。言い方。   〔 2024 年 11 月 14 日書き下ろし。この子のような感性はどこで生まれてくるのか。貧困なるは大人か、社会か〕

お外で遊ぶ

園長先生 雨が降っても風が吹いてもお外で遊んでね 雪が降っても寒くなってもお外で遊んでね なかに閉じこもっていないでお外で遊んでね   みんなお外が大好き 鬼ごっこしたり走り回ったり 鉄棒したりおしゃべりしたり みんなお外が大好き 園庭いっぱいに遊び回る 園庭いっぱいに笑顔が広がる 園庭いっぱいに歓声が響く   園長先生 お外で遊ぶ子大好き 陽を浴びる子大好き 風に吹かれる子大好き 雨に負けない子大好き 寒さに挑む子大好き   ここは子どものパラダイス たくさんたくさん遊ぼうね げんげん元気な体力つけよう 思いっきりの笑顔がいちばんさ げんげん元気に大きく育とう   〔 2024 年 11 月 13 日書き下ろし。札幌は今冬一番の冷え込みだった。発寒にこりんこども園の吉村園長先生の幼子へのメッセージ。子どもは風の子です〕  

訴求力

訴求力 騙すためにだけある 偽りの宣伝文句がネットを走る 偽りの広告がさもしさを醸し出す 騙されて泣く   訴求力 脅すためにだけある 偽りだと知ってもネットが賑わう 偽りの挑発が不安に陥れる 脅されて泣く   訴求力 暴力のためにだけある 偽りの敵を攻撃してネットは炎上する 偽りの正義に煽られて銃を手にする 暴力を受けて泣く   訴求力 我欲のためにだけある 偽りだと否定してネットにまぎれる 偽りの言動が事実に置き換わる 我欲に搾取されて泣く   訴求力 権力のためにだけある 偽りでも数を要してネットを利用する 偽りがカネを呼び込むと信じる 不正な権力が国民を泣かす   訴求力 神を畏れぬだけにある 偽りの信仰を誇張しネットが広げる 偽りの懺悔は神を愚弄する 神すら泣かす   訴求力 保身のためにだけある 偽りを正当化してネットを味方にする 偽りと知っても支持を取り付ける 保身はいつか泣きを見る   〔 2024 年 11 月 12 日書き下ろし。世界の混沌を確実に見る、見せられる。危険な権力者が神を味方に闊歩する〕

寄り添うきみへ

いまがいま 生きてればこそ 交わす声 親老いる 困りごと増え 丸飲みす 大丈夫 言い聞かせても 出る不安 求めるは 母へのサポート 父黙示 老いてこそ 優しき心 涸れぬ芯 いまのこと 忘れてもよし 残す愛 気づいても 気づかぬふりして 気遣いを   慕う愛 受け入れられて 笑顔晴れ 老いゆくに 尊きおもいが 化身する 老いに添う 挫けても添う ひたすらに わからぬと 惑う姿に 老いを見る 信ずるは 親子の絆 至上愛 決め事は 母の手にあり うなずく子   負担知る 心労気遣う 親心 衰える 確かめながら 生きるいま 親思う 残りし時に 子を思う 変わるいま 変わらぬままに 責める日々 納得を する日は近し 猶予なし まだまだと 言った先から 老いを知る 出来ぬのは 拙き技か 老いし身か 気がかりが 負い目になれば 口閉ざす   予想せぬ 齢(よわい)重ねて 実感す 認めるに 抗いながら 老いに入る コミ足りず 承知しつつも 男親 歩きしは 諦められぬ 挑む老い 好奇心 衰えなくば 老い知らず 感謝する はかなき命 支えし子 いいいいと 余計な世話と 拒む父   〔 2024 年 11 月 11 日書き下ろし。親の介護やサポートの頑張る方へ。いずれ我が子も面倒くさい父を見るのか。大変だ!〕

国民性は変わらぬ

敗戦後米兵たちが占領地で優越感に浸った 支配された子らはものもらいに走った ジープの上からガムを撒いた 争うように拾う子らを面白がって嘲笑した   白人という人種は有色人種に侮蔑を与えてきた 飢えていた子らに慈悲ではなく餌をくれてやった 支配者の横暴はいまも沖縄で続けられている 治外法権という劣等国が甘受する法が生きる 日本の独立自尊の確立はいまだ果たせずにいる 対米従属の歴史は大統領の交代でさらに強化される   いつものように米兵の乗ったジープに手を振った ハローハローと覚え立ての英語を叫んだ 米兵は寄って来た子どもらにガムをばら撒いた 競うように拾う子らの姿を見て和服の女性が近づいてきた 英語で何か言った 友だちの母親だった 米兵は真剣な表情になった ジープの去った後なんと言ったのかを尋ねた 「あなたの国では子どもにお菓子をやるときに投げるのですか。 この国では必ず手渡しします」   怒らずに反省の色を示した進駐軍の一人であったことが幸いだった 毅然とした女性の態度に圧倒されたのだろうか 侮蔑されている民族にも人として譲れない矜持がある キリスト教を信仰するのは懺悔で罪を許されるからか 道徳性すら希薄な国民性は次期大統領トランプの言動に凝縮される そんな男に一国を委ねた自らの判断の過ちを悔いる日はそう遠くはない   暴力と制圧と脅しがまかり通った進駐軍の悪しき歴史 制空権を我が物顔に支配する日本はいまだ米国の属国でしかない 投げられる餌に媚を売ることに慣れて堂々と意見できぬ指導者が続く トランプの威光になびく政治家たちが志もなく信義を汚す   〔 2024 年 11 月 10 日書き下ろし。女性の逸話は文藝春秋 8 月号藤原正彦氏の「投げられたガム」から引用する。マナーをわきまえない横柄な外国人たちは、道内の観光地でも顰蹙を買う〕

残すべきもの

30 年来愛用した鞄があった 綻びは所々に出ていた 皮の傷みもスレも時を数えた   2 年前の誕生日手作りの鞄を贈られた ようやく別れの時が来た 鞄を解体して 2 枚の本皮が残った 机上のシートに代用された   ふと気づいた 亡くなったら皮はガラクタと一緒に捨てられる 長年連れ添った想い出を作り直そう スマホのケースに転用を決めた   皮の折り目をつけるために本を重ねてプレスした 数日して縫い合わせる箇所をボンドで接着した 翌日乾いたところで作業に入った   デザインと言うほどのものでもない 鞄のロゴを生かしたかっただけのものだ 長方形の短辺を上下縫い合わせるだけだ 折り返しの反対側の長辺を開放する いわば財布型でスマホの大きさより少し長くした   一度も皮を縫い合わせたことはない 道具も身近にあるものを代用した ダイソーで厚い木片を買っただけだった 千枚通しで厚めの皮に穴を開けるために下に置く 糸は蝋引きの糸が必要だが刺繍糸で代用した   物差しで 5 ミリ間隔に印をつけた 穴開けは木槌で千枚通しの頭を叩いた でも容易に手でも貫通できることを知った 針は刺繍針 2 本を用いた その針が通る穴を前後から千枚通しで広げた   手縫いの面白さは一様にはならないところだ 穴の位置は一直線にはならない 縫い合わせていくと少し気にかかる すぐに諦め素人仕事と慰める   作業を終えた 縫った部分の背をマジックで黒くした その部分を手元にあった皮の艶出しのワックスでしごいた ようやく収まりの付いたケースが出来上がった   スマホを入れる スマホを取り出す いい感じだ 鞄は次の役目を担って再生した   〔 2024 年 11 月 9 日書き下ろし。手元もおぼつかなくなったいま、スマホを落とさぬようにする策をこれからに担ってもらおう〕  

道標がある

地域福祉実践計画は市町村の地域福祉の道標 社協の地域福祉事業を推進する要諦 地域福祉を地域住民とともに振興する協働計画 社協の財源不足を補って余りある住民参画のあるべき姿   マニュアルを参考に策定した計画書 住民の意向を汲んだとは思えない杜撰な計画書 町村名を変えただけの金太郎飴の計画書 住民に周知できないお飾りの計画書 もともとやる気などない形式的な計画書 財源確保が無理なら出来ぬと薄っぺらな計画書 継続事業でお茶を濁し新規は諦めた計画書 人材不足で事業をスリム化したと弁解する計画書 あればいいだけの監査の時に必要な計画書 社協事業の民間性をアピールする資料としての計画書 低迷する社協にはあっても役に立たない計画書 組織体制が行政に縛られた社協の見かけ倒しの計画書 地域住民の誰も社協活動に関心もなく放置された計画書 地域住民の誰も知ることもない社協内部の計画書 社協の事業の点検も評価も振り返りも曖昧な計画書 社協がいままで通り大過なく何かやってると思わせる計画書   真逆の計画書がある 事業のやり方に困ったときに見直す 事業がドン詰まったときに振り返る 事業の理解が得られなかったら見つめ直す 事業がともに進められなければ立ち止まる 事業の効果が不安や不満に時に意見を聞く 事業に地域住民の息づかいを感じる 事業は地域住民が常に主役になる 事業の一つひとつを疎かにしない 事業への熱意が共有される 事業が暮らしに密着する 事業が人をしっかり結びつける 福祉が実感されている 福祉を実践している 福祉の道標を共有する それが生きて働く地域福祉実践計画だ   〔 2024 年 11 月 7 日書き下ろし。 10 日後空知管内月形町であずましプランを核にした町民フォーラムがある。生きて働く実践計画を共に改革する〕  

絶句!

絶句! 期待はいとも簡単に潰えた 希望はすぐに絶望となった 明日は陰り光明を失った   絶句! 失望の闇が瞬く間に広がった 失意の憤りは深くえぐられた 明日は赤裸々な強欲の世界となる   絶句! 平和への希求は断絶する 民主主義の精神は葬られる 世界の協調は危機に瀕する   絶句! 傍観者の軽率な切望でしかなかった 米国の国民の善悪の選択を信じていた 社会の差別と分断の解決を拒んだ結果だった   絶句! 勝ち誇った顔が非情に見えた 報復と制裁への道を開いた 凄惨な心の風景がよぎっていた   絶句! 国の信頼が揺らぐ 国民の分断と対立が激化する 世界経済の行方が混沌とする エスカレートする戦争を危惧する   〔 2024 年 11 月 7 日書き下ろし。米国大統領選挙の結果はトランプが勝利した〕

白内障術後の症状

今日眼科に行く 左目 8 週間 右目 6 週間   確かに明度は高くなった 1 ヶ月前に運転用に遠方に焦点を合わせて処方した まだ症状が落ち着かないと承知していたが運転免許証の更新が迫っていた 眼精疲労が生じるのは症状とマッチングしていないからだろう 3 ヶ月間作り直しが利くことが幸いだ もうしばらく様子を見よう   問題はパソコンでの仕事だ 大型のモニター画面で入力処理している 近距離にさせたが微妙な距離でモニターとの焦点が合わない つい前のめりになってしまう 画面を長時間見ることもデジタル眼精疲労の要因だ 裸眼で見るためにブルーライトをカットできない ようやく中近の眼鏡の処方箋を出してもらう   医師に伝えるためにいま出ている症状をメモしておこう 1. もやがかかったような不快感と眼のだるさがある 2. 鬱陶しさが常に付きまとい清涼感はない 3. すぐにしょぼしょぼして痛みがある 4. 眠気がさすような疲れ目のような痛みがある 5. 目頭や目尻に痒みがある 6. 点眼後の不快感や時に痛みがある 7. 読書に集中できないのは裸眼の焦点が合わないためか 8. 昨日から老眼鏡で本の文字が読みやすくなった 9.  利点は夜間の運転で視界がクリアになったことで嬉しい まずは診察を受けいまの症状の緩和を申し出よう   〔 2024 年 11 月 6 日書き下ろし。明日処方箋を持って眼鏡店に行く。納品は 1 週間後。いましばらく我慢しよう〕

暴動となるか

過激主義者たちは選挙結果に不満を感じれば暴力に訴える その不安を感じている人の割合は全体で74% 民主党員は90% 共和党員は64% 無党派層は77%   4 年前トランプは負けを認めず不正だと支持者を煽った 連邦議会議事堂への行進を声高に訴えた 暴徒と化した支持者は銃を持って人殺しまでした   すでに選挙は不正だと訴訟を起こす 圧倒的な負けであればいやいやでも認めざるを得ないだろう 米国の選挙制度は複雑で投票数で上回っても勝てない ヒラリーが負けたのは悪しき制度の欠陥そのものだった   大リーグのワールドシリーズで盛り上がった 負けても勝ってもテンションが高くなる輩は暴走する アメリカ人の群集心理の脅威を感じたのはつい先週だった   一大イベントの大統領選挙で何が起こっても不思議ではない 議事堂に暴徒化した輩が押し入り殺人まで起こしてしまうのだ 国民の不安は払拭できないほど切迫した事態が続く 民主党員の 90 %は不安を感じ過去の再来を畏れる 共和党員の 64 %は支持する者が勝つと信じるから低いのか 無党派は 77 %と過激な共和党員の暴徒化を憂慮する   軍隊が制圧に乗り出す事態も想定されよう 議事堂が襲われたときの無防備さが想起される 正義のための銃を持つと信じる異常な国だ 選挙制度そのものを否定し勝ったと叫ぶ根拠もない 信用する何ものもないのに何をもって勝ちとするのか 道理の通じぬゴリ押しがまかり通る国と成り果てるのか 銃で脅され暴力を容認する空気が暴動へと走るのか 南米の統治すら困難な国々と同レベルと成り果てる 分断された国は暴力が起こると想定するしかない 楽観を許すような不安数値では決してない 暴力は全国に波及することも想定するしかない 暴動とならぬよう阻止するにはどうするのか すでに州警察や州兵が緊急事態に備え警備する   杞憂に過ぎないとは言い切れない状況が生まれている 有事に備えなければならないほど緊迫する週を迎えていく その要因は選挙を私物化してやまない者と支援者の偏愛である 絶大な権力を持とうする者の野望が民主主義の...

勝て!

雌雄を決する戦いの火蓋は切られた 未来を賭けた戦い 暴虐を阻止する戦い 怨念を破断する戦い 私欲を断絶する戦い 分断を乗り越える戦い 人権を擁護する戦い 良心と叡智が問われる戦い   拮抗した戦いの結末に何かが起こる 執念深い男の企みはエスカレートする 負けを認めぬ男の執着に踊らされる 理念も展望もない男の欲望が燃え上がる 価値観も道徳も破壊する男に扇動される 社会の混乱を喜ぶ男は支持者を弄ぶ   ハリスよ 勝て! 勝たねば米国の威信は地に落ちる 勝たねば米国のプライドは傷つけられる 勝たねば米国の信用は霧散する 勝たねば世界を異次元のカオスに晒す   恥辱と偽善に塗れた男の正体がバレる日は近い   〔 2024 年 11 月 4 日書き下ろし。 5 日米国大統領選挙の投票が始まる。不安を掻き立てるのは、世界を牛耳る権力の行方である〕

男の威信を取り戻す

男は尋常ではなかった 気が触れて銃を持てと煽る 気に食わないやつは叩けと叫ぶ 気に触るやつは許さないと威嚇する   男の威信を取り戻す 分断と対立には暴力を公然とアピールする 男の威圧を取り戻す 女が望もうが望むまいが守ると尊厳の欠片もない 男の威厳を取り戻す ボスは俺だと差別と蔑視を隠すことはない 男の威光を取り戻す 憎悪と蔑視の感情を支配欲に変え暴発する   支持する者たちは現実の憤懣を晴らす 支持することで白人のアイデンティティーを守る 支持しなければ伝統的な男の面子が立たない 支持すれば社会的な劣等感から解放される   男は勝利を確信する 負ければ選挙制度すら否定する 勝てば民主主義を脅かす 負ければ正義をねじ伏せる 勝てば真実を噓でねじ曲げる 負ければ支持者に銃を取れと命じる 勝てば商売人のあくどさが極まる 負ければただの爺になることを畏れる   明日アメリカ合衆国大統領選挙の投票日だ 世界が驚愕するシナリオだけは見たくない   〔 2024 年 11 月 4 日書き下ろし。悪夢は再来するのか。世界の命運が決まる〕

傷つけられた子ら

いじめられてもだれにも言えない  いじめっ子がもっといじめる いじめられてもだれも助けてはくれない  いじめっ子には味方が多い いじめられても誰もが無視する   自分のせいにして押し黙る いつか終わると我慢する 学校に行けなくなってしまった 不安だ鬱だと判断されておしまい 学校は信用できなかった   じゃれてると誤魔化す 仲良く遊んでと声をかける 困っていても見て見ぬふりする 忙しそうにして話をそらす うさんくさい顔で話を聞く 嫌な感情を隠すことはしない 調査が入れば軽微に記入する 決して教師のせいにしてはならない   不登校児の問題もいじめの問題も手に余る 教師の主観の調査では子や親との意識のズレが生まれた 事実に基づいた調査項目に変更しても学校の原因責任は問わない 週 1 程度の接触があれば学校としての責務を果たしているといえるのか 親の経済的問題や家庭環境をどこまで把握してるのか その影響を科学的に証明できるのか その解決は手に余るので専門機関に委ねるのもいい 傾向の把握だけで学校は何も指導できないと宣言したようにも見える   一方的に子どもや親にその原因を求めるのはいかがなものか 「まずは学校が子どもや保護者との信頼関係を築くことができる態勢を整える必要がある。そのためには早急に教員や専門職を増やし働き方改革を進めなければならない」(朝日新聞 2024/11/03 社説一部引用)そうだ 教員は多忙につき不登校やいじめ問題に時間を費やすことはできない よって増加する不登校児への対応は滞っているのは仕方ない 働き方を変えて待遇も改善されればこの問題に対処することができる それまで緊急性を要しない限り現状維持しかない 大手の新聞社にも学校の実情を広く周知していただき感謝する 教材研究すら出来ない現状で果たして授業はどう成立するのか もう一つ採用する人材の多くは新人であり期待するのも怪しい 「一人ひとりの子どもに最適な支援を考え実行する」(前掲社説引用) 言うは易く行うは難し   〔 2024 年 11 月 3 日書き下ろし。沸々した嫌な感情は学校不信に...

いったいどこに行くのか

この泥のような不快さはどこから来てどこに行くのか 先に見えない不快感を解き放せずにいる   この澱のような息苦しさはどこから来てどこに行くのか 先の分からぬ不安感を打ち消せずにいる   このどんよりとした鬱陶しさはどこから来てどこに行くのか 先の計れぬ苛立ちを抱えきれずにいる   この当てのない頼りなさはどこから来てどこに行くのか 先が知れぬ行く末を為す術もなく立ち尽くす   この救いようのない魂はどこから来てどこに行くのか 先もない疲れ切った心を休めずにただいる   この不条理に満ちた世はどこから来てどこに行くのか 先を考えることの恐怖にフリーズしたままいる   約束されぬ明日はいったいどこから来たのか 先を暗闇にされて震えながらいるしかない   真実が虚偽に隠された世はどこに行くのか 先に救いの叡智が光り放つことをひたすら祈ろう   〔 2024 年 11 月 2 日書き下ろし。明日の希望を打ち砕かれる世を生き抜くには相当の覚悟がいる〕

割り切れない虚しさ

4 万 9149 件 認知された道内のいじめの件数 昨年よりも 42.5 %増の過去最高   4 万 9149 人 いじめられた子どもの数 軽微ないじめもカウントしたから過去最高   4 万 9149 件 いじめた子らはこれより多い 数字だけで中味の薄い過去最高   4 万 9149 人 いじめられた子の涙の量は分からない 関わった教師の数も過去最高   4 万 9149 件 いじめの原因は教師の客観的な報告 どう指導したか不明の 52 件の重大事態も過去最高   4 万 9149 件 いじめで学校行けない子らを想像する いじめっ子が我が物顔で教室にいるのも過去最高   4 万 9149 件 いじめで件数の報告を知っても何もできぬ 不登校とカウントして放置するだけも過去最高か   4 万 9149 件 どこでもどの子でも被害者になり加害者になる 子どもに果たして寄り添えたか不信感も過去最大   4 万 9149 件 割り切れない虚しさはどこからくるのか 傷心の子どもをカウントするだけの過去最高   〔 2024 年 11 月 1 日書き下ろし。 31 日文科省の「問題行動・不登校調査」の報告だ。学校側の調査を鵜呑みに出来ない不信感が生じた〕