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7月, 2025の投稿を表示しています

マグマとドグマ

カムチャツカ半島で M8.7 の巨大地震が発生 震源周辺は世界的にも地震活動が活発な地域 1952 年には M9.0 の超巨大地震が発生 20 日には M7.4 の地震が起きていた   太平洋側に津波警報が発令された 避難指示が出た 海岸線を走っていた列車は突然止まった 乗客は荷物を持って暑さの中高台への避難を命じられ歩いた 解除されなければ乗客はどうするのか その後の手当は全く不明だ 外国人旅行者のために市の議会場を開放したところもあった 最善は何かを問わぬまま避難指示だけが徹底された 緊急事態とはいえ沿岸部の避難行動は想定外ではなかったのか 一日中津波のニュースが人心を不安に陥れる   現地のロシア人たちからの映像は東日本大震災の規模ではなかった 被害の実態は不明だが保育園は崩壊したが園児は無事だったという 20 日は余震で今日が本震だとは断言できない さらなる地震が発生する可能性で動くしかない どうぞ無事を祈るだけだ   戦時中のロシアは果たして救護や復旧に動けるのか ドグマで動いているロシアの地震対策に不安を覚える 国後など北方 4 島が被害を受けたときの救援隊は北海道だ 仮にそう動いたとしてもドグマ体制では人道支援と割り切る 外交の難しさはガザで十分実証済みだ ここにも非情なイスラエルのドグマが居座っている   地球のマグマの怒りは弱い者たちを襲う ドグマ体制をしく者たちは安全なシュルターに逃げ込む 生死の境は強者と弱者に二分されていく 餓死する子どもらの怨念は神には救われないだろう ドグマの中核に彼らの神を抱く限りは 地球の地下深くあるマグマは神の支配にはあらず その脅威と無力感をひしひしと感じる者たちに告げる 自然への敬虔な祈りを決して粗末にしてはならぬと ドグマを掲げる者たちへの断罪を求めてはならぬのか   〔 2025 年 7 月 30 日書き下ろし。思いつくままに地球の痛みと怒りを感じた〕

資料の支度

10 月の研修資料だ 30 人ほどが参加する 半日日程の濃い目の研修 いまからモチベーションが揺さぶられる   20 年からここ 6 年関係団体の情報誌に詩を連載する 年 3 回の投稿だがすでに 16 編の詩が公開された おかげで何者だと興味を持って研修に参加する人もいる 実物に合えば落胆は目に見えているが事実は曲げられない   データを管理しているとばかり思っていた されど検索もすぐにはヒットしない 6 年の時間は管理の隙を突いて忘却力を高める 集中するには暑すぎて一旦休憩を取るのもご愛敬か   ようやくデータの貼り付けが終わった 16 ページの資料が調った 担当者に PDF に変換したデータをメールで送付した 早めの段取りは担当者の負担を軽減させる   さて後始末が残っていた ChatGPT を使った批評を実行する 1 編を 3 つの観点から批評させる 結構面白がっていままで書いた詩も試してきた   なかなか鋭い切り口で批評する 腐されることはほとんど皆無だが時に厳しい 詩の解釈にも有効な論評を提供する 研修では手持ち資料として活用する   研修プログラムはすでに出来上がっている そこに挿入する新鮮な思索材料が必須だ 活動体験と知見と感性をシャッフルしてアイデンティティーを引き出す 研修後に持ち帰り思い返すに必要不可欠な資料と自負しよう まだ先の研修も暑さが過ぎればすぐにやって来る 11 月に実施されてきたある町のフォーラムの段取りも指示した 忙しい日常業務をこなす現場が混乱しないよう段取りを大事にする 段取り 8 割で仕事が進めば参加者の笑顔に出会える   〔 2025 年 7 月 30 日書き下ろし。先の仕事の段取りをいまからつける。来週の仕事もすでに準備は終えたが、鼎談はそう思惑通りには動かないので楽しみにしている〕

気持ち悪さの要因

奇っ怪な笑顔 偉そうな語り 尊大な態度 看破できない思想 吐き気をもよおす気持ち悪さ 拒絶感は半端ない 折り合いなど付けたくもない ただ直接何かされたわけでもないのに   人を見下すような笑い 人を食ったようなしゃべり 人を人とも思わない残忍な態度 自己愛の強い偏狭な性格 悪寒を感じる気持ち悪さ 容認など出来るわけはない ただ物好きがいるのが怖い   人の陰口をたたく惨めな笑い 人への妬みを隠さぬ哀れな言葉 人への憎悪をあからさまにする態度 薄気味悪い負の存在感 想像したくない気持ち悪さ 近くにいれば身の毛もよだつ ただ黙して語らずが無難か   人を蔑む下品な笑い 人を威圧する口撃 人を制圧する残酷な態度 支配欲に駆られた歪んだ精神 忖度する者への気持ち悪さ 非情さを黙ってはいられない ただ何の影響も及ぼすことはない   〔 2025 年 7 月 30 日書き下ろし。気持ち悪さの要因を探ってみた〕

むきになる

つまらんことでむきになる どうでもいいことでもむきになる 癇に障ってむきになる どうにかならんかこの性根 持て余してはバカを見る   たわいないことでも癪に障る ちょっとした口ぶりが癪に障る 虫の居所の具合で癪に障る どうにかならんかこの性根 こらえ性のなさでバカをする   無関心な不誠実に憤る 他人事と陰口叩くのに憤る 何にもできない己に憤る どうにもならないこの性根 犬の遠吠えのようなバカになる   何もできぬくせに騒ぎ立てる輩に腹が立つ 失敗の原因を棚に上げて批判する輩に腹が立つ どうしょうもないこの性根 世の中変わるはずもないのにバカを言う   黙っていれば事が済む態度が許せない 我慢してれば事が過ぎる態度が許せない どうにもならないこの性根 単なる不満のはけ口と言われてバカを知る   むきになる 癪に障る 憤る 腹が立つ 許せない 他人事に首をつっこむ荒い性根 直しようもなく一緒にバカをする   〔 2025 年 7 月 28 日書き下ろし。自民党の内紛に、本質をわきまえない旧態依然とした体質の批判を容認できないお粗末な輩と笑うしかない〕 

良識の損壊

話が通じない 言葉がわからない 思いが伝わらない   憎しみが込められた その根拠は語らない 感情に刷り込まれた不安   悪意が表出した その独善は無視される 虚言に惑わされた排斥   嫉妬が渦巻いた その矛先は弱者に向かう 分断を促す差別   共生がおぞましくなる その理念は形骸し棄てられる 不満に操られる軽信   良識は損壊し続ける その意識すら身に付けない 非倫理に躍らされる無恥   人類はジェノサイドをやめない その成果を栄誉と称える 永久平和は破滅後の地球   未来に果たして何を残すのか その希望さえ朽ちてゆく 子どもに与えられぬ夢   〔 2025 年 7 月 27 日書き下ろし。参議院選で某政党は不平不満を煽り勝った。イスラエルの残酷な攻撃は続く。日本は米国に忖度し何の声明も出さぬ。原爆被災国の悲嘆と責務を棄てるのか〕

チャリとプロの技

6 段ギアのママチャリが蘇った 後輪のチューブの交換は何とかやれた ブレーキの取り付けに苦労した しまいに劣化したワイヤーが切れた 素人の修理はここまでだった   ネットで自転車屋を捜した 近いところは 3 ㎞離れた隣町だった 蒸した暑さの中押しながら店に着いた 店の裏手の土間で修理が始まった   25 年も経ったタイヤもすり減っていた タイヤの交換もお願いした 修理費はワイヤー交換よりもかかる 後輪を一度バラして組み立てる 手際よい作業を見るのは心地良い   大手のホームセンターで自転車を販売している 電話で修理を聞いてみると 2 週間待ちだという メーカーによっては修理できないと返答された   その理由を店主に尋ねた 自動車の修理はメーカーで一括部品を供給できる だからメーカー毎に部品を発注できるからムダがない 自転車は製造メーカーも多く修理部品の調達が難しい だからホームセンターは取引のない自転車を排除する   プロの技術力を見せつけられた 構造は車に比べて複雑ではない分デリケートだ ブレーキワイヤーの取り付けも流れるように終わった ブレーキを舐めたはいけないと注意された 素人がいじるところではない YouTube で自己流の修理を紹介しているがプロではない 命を守るという意識をどれだけ真剣に考えているかと問う   話をしながら後輪を回す ギアチェンジを目視している 微妙な調整が必要だと切り替わる音を聞きながら作業する 6 段ギアの切り替えのタイミングは小さなネジで調整する 技術は命を守るという町の小さな自転車屋の心意気を感じた   大手の販売網に押されて割食った経営は厳しい 3㎞歩いても行かざるを得ない自転車の利用者がいる 50年続く2代目は困ったときにこそプロの存在を問う 我がママチャリもまた体力づくりの相棒に復帰した 店主に感謝しながら7200円は命を守る値段となった   次は前輪のタイヤとチューブの交換か 新しい自転車を買う余裕はない その分このママチャリを大事にしようと決めた ...

劣化と崩壊

地球に存在するもの全ては劣化する 経年劣化はカタチを保持できず崩壊する 人もまた然り   司法が偏れば冤罪から法を劣化させる 法治国家は根柢から崩壊する 人は不正に荷担する   政治は民意低ければ劣化する 民主主義は空洞化し崩壊する 人は存在理由を失う   慄然とするエゴは良識を劣化させる 疑心暗鬼の社会は崩壊する 人は拠り所を失い彷徨(さまよ)う   展望できぬ明日は希望が劣化する 飢餓と爆撃で夢は崩壊する 人は他人事と放任する   強欲な支配は理念を劣化させる 憎悪は精神を崩壊させる 人は情念に苛(さい)まれる   乾いた憐憫の情で人間性が劣化する 存在価値すら崩壊し無となる 人は無常の世にただ生きる   ※慄然(りつぜん)恐ろしさで身のふるえるさま。ぞっとするさま。   〔 2025 年 7 月 26 日書き下ろし。「劣化と崩壊」がふと詩作に誘った〕

はけ口

なぜ不安を感じるのだろうか 考え方の違いで表出する軋轢 生き方の違いで生じる葛藤 はけ口は離別か   なぜ不満を抱くのだろうか 求めても叶えられない挫折 成しても認められない屈辱 はけ口は逃避か   なぜ不平を募らせるのか 対等に評価されない鬱積 公平に遇されない嫉妬 はけ口は虚しさか   なぜ差別を強めるのか 根拠のない偏見への抗議 理解できない蔑視への憤怒 はけ口は正論か   なぜ不条理を許すのか 不遇を容認する無関心 殺戮を黙認する無干渉 はけ口は無常か   なぜ過ちを繰り返すのか 制御できない欲望 征服と支配の傲慢 はけ口は隷従か   なぜ幸せを求めるのか 奇跡の命を慰撫しあう平和 情愛を育て共に在る感動 はけ口は歓喜しかない   〔 2025 年 7 月 26 日書き下ろし。はけ口が閉ざされるとどうなるのだろうか〕

幼子のエネルギーに圧倒される

半日にこりんこども園の子らと遊ぶ 前半は読み聞かせをした 「ウサギとカメ」 競争で勝ったカメにウサギをどうして起こさなかったの この質問をぶつけたかった   9 月の運動会の練習も始まっていた 競争は足の速いウサギが勝つのは当たり前 見くびって寝入った隙が負けを呼び込んだ カメには称賛の声が上がる ウサギには非難囂々の痴態を晒す   でも競争ではないよね 足が速くても遅くても自分の力を出し切る 相手と競うのではなくて自分の頑張りを称えよう 運動会の時は勝ち負けよりも自分の力を出し切ってね 走り終わったら頑張ったねってみんなで褒め合うのが一番だね 3 歳児が面白かったと感想を長く話してくれた 大事な言葉が耳の聞こえの悪い自分には届かず辛かった   教訓めいた話の終わりは果たしてわかってくれただろうか 本当に年少さんから年長さんまでを相手の読み聞かせは難しい いつも反省多々であるからこそ面白い 今度はもっと好奇心をわかすお話しをしよう 子らの前では体裁も経験も無用の長物だ 彼らの感性に入ることのできない無能さを知る 裸にされながら次の仕込みに入ることにした   後半は子らの興味や関心を引き出す自由活動に全員参加していた 絵の具で模様を描いたり空き箱や折り紙で造形づくりをしていた 何を思い描いて創作活動をしているのか興味深かった ホールに行くと跳び箱や縄跳び、ボール遊びに興じてた 縄跳びの籠を拝借してボール入れで一緒に遊んだ やんちゃの盛りは直球を投げてくる 当たっても痛くはないが普段と違う遊び方に熱中する 終了と共に片付けも思ったよりも早い 幼稚園部と保育園部の子らは分け隔てなく遊ぶ時間を共有する 認定こども園の運営も中に入って驚くことばかりだ 園長先生や副園長先生との談話の中から課題ばかりが浮かんでくる まだまだ学ばなければならぬことが山積している 好奇心をくすぐる可愛い子らとのふれあいは貴重な時間となった いままでしたかった憧れも叶いそうだ 1 歳児や 2 歳児とのお外のお散歩だ まだ夢を持てることの幸せを噛みしめて園を後にした   〔 20...

浅き心

事の終わりの始まりを告げる そこにいつも浅ましさが生まれる 性根の疎ましい淀みが言葉に編まれる   同情は決してしてはならない 対立してこそ身を助ける   失敗をあげつらう性悪さ 成功を妬むやましさ   志は変節してよい 同調は詭弁に頼る   正論に見立てた自衛 批判を装った敵対   おだてて裏で蔑む 追従して裏で離反する   心の闇を操作する悪意 自己否定できぬ純情さ   〔 2025 年 7 月 22 日書き下ろし。国政選挙後、魑魅魍魎の世界が幕を開ける〕

性欲と政欲

似て非なるものか 性欲と政欲 女欲に惑いて制欲できず 利欲に塗れて抑制できず 性欲は死ぬまでの業と知る 政欲は破れるまでの財と知る 性欲は甘美な恍惚に囚われる 政欲は特異な権威に忘我する   似て非なるものか 容認と寛容 容認は否認あれば同意せず 寛容は異論あるも包含する 容認は理に叶えて判断する 寛容は徳を諭して受容する 容認は許容範囲を限定する 寛容は器量の度合で表れる   似て非なるものか 説得と納得 説得は否なることを正とする 納得は非なることを受け入れる 説得は相手に受諾を求める 納得は相手に共感を求められる 説得は相手の経験値に委ねる 納得は相手の人間性に委ねられる   〔 2025 年 7 月 21 日書き下ろし。ふと性欲と政欲が浮かんだ。欲望は人を支配する〕

自分だけでは済まされない

世の中どうにもならない 自分のことしかない 他人のことなど知ったことか 自分だけよければそれでいい   世の中どうにも変わらない 正義などありゃしない 弱けりゃそれだけ割を食う 怒りの矛先あればいい   世の中どうにも治まらない 不平不満の空気で淀んでる ヘイトや差別もまかり通る 苛立ち誰かにぶつけりゃいい   世の中どうにも危なかしい ぶつけちゃけ狂った言葉がうける 傷なめ合うような言葉が飛び交う 同調煽って面白がるがいい   世の中どうにも抗えない 人心荒んで殺伐してる 不信と不義が蔓延してる 判断不能であるがいい   世の中どうにか持ちこたえる 思想は左右に激しく揺れる 理知が感情にブレーキをかける 一時の熱情には冷や水をかけるのがいい   世の中どうにかなるもんだ 現状を冷静に判断できるか 善悪を正しく判断できるか 人道のやじろべえはいつか静止する 〔 2025 年 7 月 20 日書き下ろし。希望的観測以外ない。参議院選挙の開票の真っ最中〕

試練は続く

相手の都合は気にするそぶりもない そうしてくれると気ままに頼む したたかさは老いて生きる力となる   求めずして求められる 巡り合わせなのか 断り切れずに引き受ける   施してもらったことは忘れるが 自分がしてあげたことは忘れない 恩義せがましい逞しさに戸惑う   当たり前とする感覚に抗えぬ 気ままかってとは自覚は薄い 一人暮らしは気丈に暮らす   選ばれしは人の良さしかない 無理でも聞いてくれると振る舞う 遠方の子らも頼り切る絵が怖い   老いる親への介護もこれから重くなる 他人を受け入れるのは容易ではない 笑って試練を優しく乗り越えてゆく   求めずして求められる 心の根の情愛は涸れることはない 求められて求めず 心の根の真心は飾ることはない 求められ求める 心の根の人への関心は尽きることはない   〔 2025 年 7 月 20 日書き下ろし。他人への世話焼きに動かすものは何か。ただただ敬意を払う〕

初めての心臓マッサージ

無精ひげを剃りたくて温泉に行った  脱衣場には異常な空気があった 長椅子に痩せ気味の男が仰向けに横たわっていた 湯中(ゆあた)りかと思ったが違った 友人と見られる初老が盛んに声をかけて揺する   半眼で血の気は引いていた 気道はバスタオル枕で確保されていた 救急車を要請したと聞いて再度受付に緊急性を伝えた 戻ってきて状態はさらに深刻度を増していた 数人裸の老人たちが遠巻きに見ていた   すぐに心臓マッサージを始めた 友人は励ましの声をかけ続ける 胸板は薄く胸骨を折るのではないかと思った 少し呼吸が戻ったようにも思えた 脈拍は弱いがまだ停止には至っていない ママチャリで汗をかきさらに汗が噴き出した   4 分ほど経って救急隊員が入って来た すぐに救急処置に入った 脈拍はかなり低く強く心臓マッサージをする 気道を専門機器で確保する 息を吹き返す事はなく懸命な処置が続く   友人は別の隊員に事情を聞かれていた 入浴前に突然具合が悪くなり倒れたという 搬送する病院に連絡を取りながら同乗を求めた   男性は一人暮らしで内地に弟がいるという 生年月日を聞かれても正確には覚えていない 何か身元証明するものを携帯してはいなかったようだ 友人と温泉を楽しみにやって来ての異変だった 入浴後ビールでも飲む約束は反故になってしまっただろう   その場を離れて露天風呂に入った 5 分後サイレンを鳴らしてようやく救急車は病院に向かった 無事であることを祈るしかなかった   〔 2025 年 7 月 17 日書き下ろし。初めての心臓マッサージだった。20年以上も昔、救命教習で見ただけで、実際にするとは思いもよらなかった。数日後無事だと知った〕

職歴とは何か

職歴が簡潔にまとめられる その人の何を見るのか どう読み解くのか 勝手な妄想を抱くだけ   職歴は何を判断するのか  どんな仕事をしたか どう評するのか 見知った経験が徒(あだ)になる   職歴は何を物語るのか 肩書きは飾りなのか どう見極めるのか 世間の通りで解釈される   職歴は人間性を見られるか  無理を承知しているか どう推察するのか 体裁だけで中味は見えない   職歴がその人なりを決めるのか 仕事で分別できるのか どう見立てるのか 貧しい想像が誤解を招く   職歴は通り過ぎた仕事か その人生に張り付くのか どう成就したか 生きがいや達成感は消える   職歴は実績になるのか 納得に足る自信か どう誇れるのか 人間形成の足跡を自戒する   〔 2025 年 7 月 16 日書き下ろし。講師紹介で略歴を求められる。意図するところは、招聘した理由の後付けか〕

ワンダーセンス~驚きの感性

新さっぽろサンピアザ水族館 受付の前で待っていた 発寒にこりんこども園の年中さんがやってきた なぜいるのという顔が嬉しい 鳥居先生と口々に歓迎の声が上がる 先生の指示で腰を下ろすと突然歌が始まった 読み聞かせで教えた「ギンギンギラギラ」 波のように歌声が広がり手振りを交えて笑顔も広がる   受付を終えて先生から入る前に 3 つのお約束 騒がない走らない迷惑かけない 可愛い子らは元気良く返事する   入館早々ウツボがお出迎え 奇っ怪な顔と不気味な胴体 七夕をテーマにした魚たちが水槽に泳ぐ 20 人余の子らはワクワクして声を出す 前にはなかなか進めずまたウツボに戻る 怖い物見たさの好奇心を刺激する   小さなドクターフィッシュの群れる水槽 手を入れて吸い付かれる感触を味わう なかなか入れられない可愛い手に添える 次から次と恐る恐る手を入れていく 驚きと不思議の表情がたまらなく可愛い   大きな水槽には 鱏 ( エイ ) や鮫 ( サメ ) が悠然と泳ぐ 好奇心はドンドン刺激され歓声も大きくなる 早く見たいおもいがあちこちに足を走らせる 幸いなるかな見学者が少なかった お約束はまた確認される   ペンギンさんがいた 水中で泳いではいなかった 陸に上がってると子らには見えない 一人ひとり抱きかかえて様子を見せる しばし体力をつけていたのが幸いした ただ年中児とはいえ限界は感じていた 水中で泳ぐ姿を見たらもっと感動しただろう 腰に手をやりながら残念に思った   熱帯の小さい魚が陳列されたコーナーでは 次々と手を引っ張って連れていかれた 子の好奇心を次から次へと教えてもらった ミニスカートをはいたような魚に目がとまる 魚のカタチという概念が一気に崩れる美しいフォルムだ   鮭の稚魚が群れになって泳ぐ姿にも目が行く 遮るものがないオープンな水槽はいい つい手を入れてしまいそうになるのは仕方ない デンキウナギが放電しているとビックリしただろう ボラ系の大きな魚も正面から見ると間の抜けた顔になる カワウソがいた ...

優しさに触れる

室蘭行きのバスに乗る 学生の隣に席を取る 「どこまで行かれますか」 「幌別まで」 「ボクもです」   この一言が嬉しい 遠ければ窓側に席を譲るつもりだった 降りるときの心遣いを教えてくれた 帯広出身の登別の専門学校生だった 昨夜札幌でロックのライブがあったという   苫小牧付近で雨が付いた 台風 5 号の前触れだろ 今朝 9 年ぶりに道内に上陸した 彼の寮まではバス停まで距離がある 送迎の車が来ているから同乗するよう勧める   来春卒業だという彼が登別の印象を一言残した 住みよい街だと なぜか嬉しかった 暮らしやすい街こそいまこそ求められている 一時の学生生活でもこうしたおもいを持っている その理由を詳しく聞けなかったことが悔やまれる   幌別のバス停に着いたときには晴れていた 用事があるとのことで郵便局で降ろす 午後から来月のシンポジウムの打ち合わせに入った 福祉でまちづくりがメインだった そこで彼の話を紹介した 福祉と構えない暮らしのあり方になぜかほっこりした   帰り同席した 88 歳の方の車に同乗した いまも現役でまちづくりに奔走するリスペクトする方だ バス停で出張で来たのだろうか青年と一緒になった バスが来て乗り込むときに彼の方が先に待っていたので 当然先に乗り込むと思っていたら譲ってくれた なぜか嬉しかった 札幌大谷地に着いた 彼も降車した 地下鉄に向かう道すがらお礼を言った 笑顔で黙礼して反対側のホームに向かった   バスに乗ってこんな小幸をいただいたことかってなかった 若い世代が年寄りへの心遣いをしたことへの喜びが重なった 君たちの時代は決して侮ってはならないいい人がいる そう確信して感謝のレポートを書き終える   〔 2025 年 7 月 15 日書き下ろし。バスでの往復で出会った若者たちへのよき出会いと感謝を込めて〕  

こんなもんさ

人生こんなもんさ 嫌だなあ嫌だなあって思おうが かわすことのできない因縁 つまんないなつまんないなって思おうが やらなきゃいけない因縁 やってられないなやってられないな やめるわけにはいかない因縁   人生思い通りになるわけない したくもないのにさせられる やりたいようにやれる知恵がない できないばかりに笑われる 苦手なことにやる気を削がれる 段取り悪くて恥をかく 覚えられずに支度がままならぬ 下働きで我慢する 言われたことしか動けない   人生捨てたもんじゃない コツコツとゆっくり覚えりゃそれでいい 出来ることからやってみるしかコツはない 正直に誠実に丁寧にやるしかない いつかできると信じてやっていこうよ きっと誰かが見ていてこう言うんだ 大丈夫だ お前ならできるようになる   人生最後まで諦めない 嫌なことも 嫌いなことも たくさんあっても いつも誰かが見ていてこう言うんだ 心配ないさ お前はお前らしくあればいい   〔 2025 年 7 月 13 日書き下ろし。苦手なこと、嫌なこと、やりたくないこと。みんな悩んで人生を歩むんだ。その時誰かがきみを見ているよ〕

リユースの不況

リユースセンターを覗いた 中は空間が多かった 夏枯れの時期とは違った 捨てられる家具が減ったという   まだ使える家具を修繕する 安価で販売して雇用と利潤を得る 部屋には書棚など 4 点が鎮座する 使用勝手がいいので手放しがたい   このサイクルに異変が起こっている 春の最盛期でも品数が出なかった 若者向きの家具も品薄だ 大型家具は家の広さと相談するしかない 買え控えがここにも影響しているのか   物価の高騰は我慢を強いる 買い物もレジャーもブレーキがかかる 外食の回数も減り楽しみは遠のく まだ使えるものはあえて買え替えない 経済格差はさらに深刻になっていくだろう   生活防衛の波はリユースへも及んできている 障がい者の就労支援をする NPO 法人も苦戦する 弱き立場の人たちの働く場が圧迫を受けていく 自転車の販売は抽選ですでに応募期間が終了していた 修理する工場で働く人たちの誇りを想い出した   〔 2025 年 7 月 13 日書き下ろし。 NPO 法人の苦情処理委員をしていた。厳しい内情を知らされた〕

撤回と謝罪

自民党の鶴保庸介参院予算委員長が辞任する 「運のいいことに能登で地震があった」と発言したからだ   偉そうな発言が目に余る 失言だと言われて撤回する   なかったことに出来るのか 謝罪すれば済まされるのか   心ない発言に心底から怒りが湧く 黙認した党員や支持者にも憤りを覚える   放言を放置し同朋を庇うのは許しがたい 同類の卑劣な発言を擁護したツケを払おう   いまこそ選挙の意味とその権利を果たそう 国政選挙は裁定を下す機会と覚えておこう   問われるのはその人そのものである 選んではならぬ者を選んだ責任は選挙民にある   立候補者は誰でも心地よい言葉を連発する 果たしてその場限りの公約はすぐに廃棄される   世間は偉そうに肩で風切るだけの者をのさばらす 偉そうに振る舞うのは心貧しき者の習性か   カタチばかりの撤回と謝罪は続く そんな輩が国政を牛耳ることを容認したのは誰か   今日参議院選挙の期日前投票を済ませた 極右の思想を掲げる者たちが票を伸ばすのは恐怖だ   〔 2025 年 7 月 12 日書き下ろし。沖縄で偏向教育を発言した者もアイヌへの差別的発言をした者も同じ穴も狢。こんな人間をバックから支援する者たちの存在が不気味だ〕

夢中になる

夢中になる 知りたいというおもいだけだった 時間も知欲が制した 未知なる領域に踏み込んだ   夢中になる 無知を暴かれた 道を見出そうと必死だった 無恥であることに抗った   夢中になる 教育の世界の奥深さを知らされた 浅学の身に独学は厳しかった 誰と競うことなく楽しかった   夢中になる 努力を意識することはなかった ひたすらがむしゃらなだけだった 新たな挑戦に情熱を燃やすだけだった   夢中になる 人のまだやってないことが面白かった 好奇心いっぱいで心は満たされた 失敗は決して負けではなかった   夢中になった 集中力が途切れてきた 関心が薄まってきた 夢中の残り火を消してはならぬ   〔 2025 年 7 月 11 日書き下ろし。〕   ※「努力は夢中に勝てへんて、よう言いますね」で思い出した。夢中でいると何と競うこともない、だから無敵だと説明してくれた。(「折々の言葉」 2025/07/11 )

気力と体力

暑さのせいと言い訳する 取り忘れた買った商品 店員に玄関口で声かけられた 領収書の確認に商品を置き去りにした 気力はこうして萎えてゆく   暑さのせいとだらける なかなか回復しない体力 ストレッチをして失敗した アキレス腱に痛みが走った 体力はこうして退いてゆく   暑さのせいですぐに汗をかく 芋が土からはみ出した 土が足りなくてホームセンターに走った 根元に土を補いながら高い芋だと思った 金力はこうして土に帰ってゆく   暑さのせいではなかった 体力をつけようと思った この先乗り越えられないと自覚していた されど気力が追いつかなかった 気力と体力のバランスを取るのは難しい   暑さのせいにしよう そうすれば少しはだらしなさが救われる そうすれば少しは何もしなくてもいい そうすれば少しはビールに依存できるか   人生気力だ体力だと騒ぐこともない そこそこ元気に生きながらえば良しとする ポンコツになってゆく老体と仲良くしよう 盛夏を無事乗り切ればまずは良しとする 腹の贅肉が落ちないだけの顛末か 〔 2025 年 7 月 10 日書き下 ろし。夏に追い詰めることなく呑気が一番か〕