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いまの世にあれ

地球のいのちが縮んでゆく 砂漠化は温暖化に共振する 反故されて環境保全は空文化する 野も山も豊かな緑を奪われ水飢饉を生む 健康な暮らしは人口増に反比例する 戸惑う間もなく危機が迫っている   死生観を持てぬ者たちが怠惰な時間を浪費する 愛憎の感情を捨てきれぬ者たちが殺戮と破壊を繰り返す 和睦を拒否する者たちが我が物顔に世にはびこる 背中合わせの死に恐怖する子どもたちが悲鳴をあげる 怯えた顔は新型ウイルスのパンデミックにあえぐ   命のある限り病気との闘いに挑む 残された可能性に医科学のスキルを注ぐ 理に判断を求めつつ心は熱く包みこむ 抱きし命への敬虔な態度を常に身に纏う ワーカホリックにならぬよう身を制する いつも高い技術の研鑽を怠ってはならぬと心する   避けられない生と死の境界線で医療に従事する人たち 健気な子どもたちの笑顔に励まされながら治療に専念する人たち おかしくなりそうな絶望の淵に立つ人に必要な人たち 苦しみもがき身をいたぶる人たちに光をもたらす人たち 身を投げ出し救うことだけに一命をかける人たち 変えられない為政者の欲望の犠牲に憤る人たち 和平を否定する偽善者の弾圧にも屈せぬ人たち 想像を絶する医療現場で我が身を省みぬ強靭な人たち   いまの世にあれ 泡沫の世に在る一抹の救いの手は医療者に委ねられた いまの世にあれ 世の末のような災害地も戦場でも医療者は光となった   [2024 年 1 月 13 日書き下ろし。医療者の献身的な活動が折れた心に勇気をもたらす。平時こそ患者との信頼関係の構築に尽力しなければならない。金儲けに走る者たちがいかに多いことか ]

後追いのもの悲しさ

80 をゆうに超していた 老夫婦で慎ましく暮らしていた 昨年から体調が思わしくなかった   昨秋に妻が先に逝った ひとり残された 娘が時々顔を見せた   独り身には夜がこたえた 寂寥の感は降る雪ごとに深くなった 縁ある人に電話した   近況を聞かれ心の内をつぶやいた 彼の心遣いが身にしみた 一枚のカレンダーを所望した   訃報は突然だった 倒れていたのを家族が見つけた 先立った母が父を呼んだのだろうか   男はひとりになると心もとない いみじくも そのことを伝えて逝った その背に我が行く末を案じるしかない   80 の齢を越えると加齢に抗うことなく生きる 80 の齢を越えたら出来なくなったことを受け入れる まずは 80 の齢をともに越えられたら妻と安堵したい   〔 2024 年 1 月 11 日書き下ろし。知人が亡くなった。ご冥福を祈る。妻に先立たれると男は弱るのは世の常か〕

もどかしさ

関わらなければ感じない 関わりなければ思わない この処理できないモヤモヤ感 この消化できないもどかしさ 一体どこから生まれてくるのか   自分事なら見過ごせない 他人事なら見過ごせる そう割り切れないモヤモヤ感 そう言い切れないもどかしさ 一体どう見切ればいいのか   言いたくとも言われない 動きたくとも動けない この始末に困るモヤモヤ感 この何もできないもどかしさ いったいどう感情と折り合うのか   馬の耳に念仏のだけのこと 糠に釘打つだけのこと この虚しさにこもるモヤモヤ感 この無力さを知るもどかしさ どうにもならないと学んだだけか   自分事なら決められる 他人事は決められない その当たり前につのるモヤモヤ感 その関わりが持てないもどかしさ どうにかしたくとも佇むだけか   それでもなお動かなければならない それでもなお書かなければならない この当たり前がモヤモヤ感でいい この関わりがもどかしくてもいい 生きるを問うのはその葛藤の繰り返し   [2024 年 1 月 11 日書き下ろし。もどかしさのなかにあるひとや社会との関わり方が、この散文詩を書く動機でもある ]

織る前に

縒(よ)る 細い繊維を撚(ひね)っていく つながるきっかけになる出会い   絡(からげ)る 細い糸を絡み合わせる 印象的な場面が生まれる   糾(あざな)う 数本の糸を撚り合わせる 絡む場面が少しずつ多くなる   繋(つな)ぐ 細い糸を足しつつ長くしていく 一時の出会いではない予感がする   綟(もじ)る 撚りを強くかけていく つながろうというおもいが生まれる   繃(たば)ねる 織り糸を染める どんな色合いになるのか不思議を楽しむ   綣(ま)く 糸巻き機に巻き付ける 様々な色に染められた心を見つめる   繰る 織機を動かし布を織る 縦糸と横糸で織りなす心模様を想像する   縫う 一期一会の縁を縫い上げる 人はともに生きるおもいに至る   [2024 年 1 月 10 日書き下ろし。 9 日付朝日新聞「 折々のことば:2963(鷲田清一)」に紹介された『織物以前のこと』 ( 福本繁樹)に触発された。織り上がり布に至るまでの課程を人とのつながり方に置き替えてみた )

ロシアは愛国心を煽る

2022 年 2 月 24 日のウクライナへの侵攻以降およそ 1 年 10 か月 戦車 6002 両 装甲戦闘車両 1 万 1128 両 火砲 8574 門(自走砲含む) 多連装ロケット 947 門/両 ドローン 6753 機 軍用ジェット機 329 機 ヘリコプター 324 機 各種艦艇 23 隻 潜水艦 1 隻 人員 36 万 2280 人(捕虜含む) ロシア軍は損失した (24 年 1 月 4 日現在 )   決して国内では流せない 大本営発表の如く連戦連勝をプロパガンダする プーチンの大統領選に併せた波状攻撃と肉弾戦は続く 36 万 2280 人の死傷者も英雄にはなれない ただの愛国心に踊らされた犠牲者に過ぎない 墓誌には騙されたと知って悔恨の言葉が刻まれるだろう   一人の独善者は七つの大罪を冒す 高慢 貪欲 邪淫 嫉妬 貧食 憤怒 怠惰 民を欺き裏切る者は地獄の最下層で罰せられる なぜなら七つの大罪で最悪な罪が高慢だからだ   地獄への道連れをサインひとつで戦線に立たせる 後ろから撃たれぬよう前進する 麻痺した精神は突撃の号令一下死路に着く どれだけの屍を積み上げても勝利はない 殺戮と破壊だけが現実を支配し精神は破滅へと向かう 戦場という監獄で愛国心は猛烈な狂気となり殺人鬼と化す   「下界と完全に遮断された監獄にあって、感覚は異常に研ぎ澄まされ信念は狂気を帯びて純化される」(『甘粕正彦 乱心の曠野』佐野眞一)   [2024 年 1 月 8 日書き下ろし。戦慄が走る。情け容赦なく殺戮を断行し、プロパガンダで大統領選を有利にする。愛国心に踊らされたロシア人たちが覚醒するのはいつか ]

見えないところで

見えないところで悪さを続ける 見えないから大丈夫と気を許す 見えない限りバレっこない   みんな知っててやっていた ジャーナリストも黙ってた 隠しおおせると思ってた   数字は噓をつかなかった 丹念に解きほぐす人がいた 分厚い帳簿から悪さが見えた   告訴は政党派閥の中核を激震させた 往生際の悪さが深刻さを物語った 信頼の糸はぶっつり切れた   捕まった これで終わりにしてはならない 東京地検特捜部は勝負に出た   国会開会までがタイムリミット 特権で事情聴取も逮捕も出来ない 次は誰が捕まるのか期待が高まる   お体裁ばかりの「政治刷新本部」の発足 体制は派閥のパワーバランスそのまま 骨抜きで終わってしまうだけのこと   決められない男は指導力を発揮できない 好き勝手に金のバラマキをしてきた案件 その腐った根を断ち切るだけの力はない   見えないところで口裏を合わせる 見えないところで時効だからと高をくくる 見えないところでさっさと逃げ道を探す 能登半島地震で予備費 40 億円支出って何? 大阪万博でぶち壊すバカ軒(のき)に 330 億円浪費の茶番劇 先頭に立ってさっさと退陣してほしい   そんな輩に騙されぱなし 日本人って何というお人好しなのか それとも…見えないところで?!   [2024 年 1 月 7 日書き下ろし。ついに逮捕。さっさと除名いて延命を図る。遺憾ですというだけのこと。貧乏くじを引いてバレた後悔だけがつきまとう ]   ※自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は、派閥から約 4800 万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書にウソの記載をした疑いで、池田佳隆衆院議員と会計責任者を逮捕した。この事件で逮捕者が出るのは初めて。(フジテレビ社会部 2024/01/07 )

ひとりでどうぞ(改訂版)

自分勝手で思いやりの欠片もない人 無理だね 迷惑かけずにひとりでどうぞ   嫉妬深くて疑い深い人 無理だね 構わないからひとりでどうぞ   愚痴るばかりで何もしない人 無理だね 聞く人いないからひとりでどうぞ   いいふりこきで中味のない人 無理だね 鏡に向かってひとりでどうぞ   悪口三昧で顔が引きつる人 無理だね 誰も寄りつかないからひとりでどうぞ   難癖つけてすごむ人 無理だね クレーマーならひとりでどうぞ   嘘がばれても開き直る人 無理だね 八つ当たりしないでひとりでどうぞ   いい人ぶって立ち回る人 無理だね 正体バレバレひとりでどうぞ   その気にさせて知らんぷりする人 無理だね やるんだったらひとりでどうぞ   無責任になげだす人 無理だね 報いを受けるのはひとりでどうぞ   親切ぶって裏切る人 無理だね 誰も信じないからからひとりでどうぞ   偉そうに上からもの言う人 無理だね 誰もかしずかないからひとりでどうぞ   地位や金を鼻にかけ見くびる人 無理だね 自分の世界に引きこもってひとりでどうぞ   頭のハエの追えない人 無理だね 後の始末はひとりでどうぞ   自分の感情をコントロールできない人 無理だね 相手にしないからひとりでどうぞ   世間とは関わりたくない人 無理だね 放っておくからひとりでどうぞ   世間で問題を抱えて孤立してる人 無理だとはわかってる でもほっとけない人もいる   身勝手なふるまいで世間に嫌われた人 無理かなとはわかってる でも何か救いの手はないのだろうか 世間はまだ冷え切ってはいないと信じたい [ 2024 年 1 月 7 日改訂版。 1 年前の 1 月 6 日に up した「ひとりでどうぞ」を改訂した。ひとりでどうぞと言いたくなる世間の人模様は多様化する。ひとりでどう...