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貶(おとし)める

意地クソの悪いのはいることはいる 底意地の悪いのは正体を隠す 意地悪なのはまだ可愛いか そんなことはない みんな同根の意地汚さでしかない   意地を張るのもいることはいる 意地っ張りは手に負えない 意地を通すのは手に余るか そんなことはない みんな同根のオレ様だ   後ろめたいのはいることはいる 咎(とが)められぬよう立ち回る 誰かになすりつけて涼しい顔か そんなことはない みんな同根の小心者にすぎない   貶(おとし)めたいのはいることはいる 人はなぜか卑屈になる 誰かを蔑んで優位に立つのか そんなことはない みんな同根の恥を晒すだけだ   褒めたいのはいることはいる 汗をかくことも厭(いと)わない そもそも偉そうに言える立場なのか そんなことはない みんな同根の人を見る目を持っている   〔 2025 年 12 月 22 日書き下ろし。貶めるという悪意を感じることの不逞を容認するか否か〕  

詩集「言葉が詩情に迸る」

はじめに「詩はどこから始まるのか」   「心揺さぶる」   心揺さぶる いまもあってほしい熱情 これからもそうあってほしいと   心激しく揺さぶる もう味わうことのできない激情 果たしていつのことだったか   心揺さぶられる いまあってほしい感動 これからも出会いたいと   心強く揺さぶられる 避けて通れない宿命 これから起こりえる別れか   心揺さぶる 生きていく実感 心揺さぶられる 生かされている認知   心揺さぶる 未知なる衝動 心揺さぶられる 未体験の衝撃   心揺さぶり揺さぶられながら 人生に情理の綾を描く     「詩片があれば」   こころを揺らす詩片に出会う 悩めるこころに染み入る 苦しきこころを励ます 辛きこころで涙する 悲しきこころを慰める   こころに響く詩片に出会う ことばがこころに届く ことばがこころを叩く ことばがこころを開く ことばにこころが酔う   こころを動かす詩片に出会う 憂いにあるこころに訴える 迷いにあるこころを導く 欲に満ちたこころを叱る 望に向かうこころを奮い立たせる   こころに添う詩片に出会う 情感を育て深める 心情を理解し動く 自分らしさを取り戻す   こころが喜ぶ詩片に出会う 響鳴しつつ思索を広げる喜び 響感しつつ感情を確かめる喜び エールをもらって共存する喜び     その 1 「言葉の限界と逼迫」   「語り尽くせぬ」   世の中の心痛むことさまざま ただただ沈思(ちんし)するばかり 言葉は逃げるしかない   世の中に小さき命さまざま ただただ愛(め)でるばかり 言葉は謳うしかない   世の中の蔓延(はびこ)る悪行のさまざま ただただ忿怒(ふんど)するばかり 言葉は濁るしかない   世の中に熱き情...

異色の先は

異色と呼ばれた 地方紙の見出しが鮮烈だった 教員の履歴にはあり得なかった 市民活動を続け NPO 法人まで立ち上げた   福祉と教育の接点を探し続けた ボランタリーな学習に熱中した 全国も全道も二つ返事で走った 平の教員には限界があった   拾われて社会教育に飛び込んだ 組織に迎合せぬ態度は貫いた 紆余曲折を経て左遷も味わった 課した使命は着実に実現させた   実践と理論と運動 三位一体になってこそ説得力を持つ 賛同し共感する仲間が集い運動の原動力になった 40 代で全国規模の集会を企画運営した   異色校長は期待に応えて動いた 引き継がれた経営計画は引っ越し荷物の上で書き換えた 過去を引きずる陳腐な教育計画は不要だった 仰天する教師たちは異色の意味を否が応でも知る   地方紙に 5 年間コラムを掲載した 子どもと教育とボランティアを関連付けた 誰もしてないことを平然と実行した 学校という囲いはとっぱわれていく   5 年間 2 校で勤めた 経営の改革は一部の不満分子もいたことはいた ただ学校という保守的な世界には揺り戻しが起こる 一時期空気を乱しただけで元の木阿弥でしかない だから異色とされた者の末路は辞めるしかない 3 年を残して中途退職した 異色であるということは責任を全て負うことだ 子どもを粗末にしない共育も異質だった   評価は異色というだけでそれ以上不可だろう 基準がそもそも当てはまらないから異色なのだ 評価の意味は引き継いだ事態を復旧するための正当化だろう 異色の先は余計な波風を立てただけで忘れられる   世間から疎ましく思われようと本性は変わらない 事を見る目は人とは違うと自覚する 事への感応力はやはり違って面白い 学び得た経験値は蓄積され衰えを知らない   〔 2025 年 12 月 22 日書き下ろし。茶けた新聞記事に異色校長とい見出しに笑った〕  

怒りと妥協

怒りのボルテージが上がる 世の中の欺瞞に忿怒した 感情が先走り言葉が尖る 正義感が溢れて冷静さを失う 果たしてそれがどうだというのだ   怒りの矛先は何事もない 世の中の歯車は普段通り動く 感情のとばっちりを言葉が引き継ぐ 何ものでもない己を嘲笑する 果たしてそれですまされるのか   怒りのグレーゾーンに立つ 世の中の汚濁の程度を判断する 感情はしばし沈静化を言葉に託す 倫理感すら曖昧な状況に抗う 果たしてそれがなんだというのか   怒りと妥協のグラデーションを知る 世の中は善悪の濃淡の度合いを計る 感情は油断なく言葉を識別する 事への妥協を探り抑制を試みる 果たしてそれでどうなるもんでもない   怒りは個人のバロメーターでしかない 世の中の動きにただ翻弄されるだけだ 感情はその都度言葉でごまかしガスを抜く ひとりよがりの興奮を味わっただけだった 果たしてそれがここに在ることの正体か   〔 2025 年 12 月 21 日書き下ろし。怒りと妥協の間の座りにくさを生きるということか〕

沈黙は黙認

黙ることしか出来ない 黙らなければ迫害される 黙っていれば難を逃れる 黙ってさえいれば命は助かる   黙っているだけでいい 黙らなければ反動と罪に問われる 黙っていれば賛同と見なされる 黙ってさえいれば訴えられない   黙って何も考えない 黙らなければ危険に晒される 黙っていれば不正に目をつむる 黙ってさえいれば見破られない   黙って騙されるふりをする 黙らなければ弾圧の的になる 黙っていれば胸が張り裂ける 黙ってさえいれば噓がまかり通る   黙って従うのがいいのか 黙らなければ汚濁を告発できぬ 黙っていれば偽善に染まる 黙ってさえいれば己を失う   黙ることしか出来ないのか 黙らなければ蹂躙される 黙っていれば隷属するばかりだ 黙ってさえいれば時代は後退する   黙ることを拒否する 黙らなければおかしいと知らしめる 黙っていることは人心を卑しくする 黙ってさえいればという世論を断罪する 〔 2025 年 12 月 21 日書き下ろし。政治と権力のバランスはいつの世でも行きつ戻りつを繰り返す〕

にこりんの子らと次へ

詩集「わたしが必要とされる理由」の編集が終わった 3 年間書き留めた詩編の総括だった 民生委員児童委員の研修テキストとして 1 月末から使われる 構成も納得のいく内容となったのが嬉しい   次の詩集「くるまれて」の編集が始まる 5 月にまとめて 6 月発刊を予定していた 結果延びてしまった おかげでその間書き留めた詩編に心惹かれる 幼児と保育に関わる詩編も少なくない   発寒にこりんこども園から幼児らの写真が提供される この 1 年大いに遊ばせていただいた子らだ 水族館も科学館も動物園も一緒した 秋の運動会や小樽水族館そして生活発表会も愉しかった 読み聞かせのトリジーワールドも独壇場だった 詩集に彩りを添える子らの表情が嬉しい   まずは詩を選定しよう テーマに合わせてグルーピングして物語を膨らます さらに写真を選択して貼り付けと愉しい作業が続く 幼児教育の現場を少しかじっただけの 1 年だった にこりんの園長や副園長の人柄に甘えながら学んだ 詩作はそこから生まれ言葉となって放された   幼児のこころにうつされる己の邪心を拭えない 幼児の甘い声に笑顔になる己の邪念は払われる 幼児にハグされてくるまれる己の邪推は霧散した   〔 2025 年 12 月 20 日書き下ろし。発寒にこりんこども園の子らに救われた 1 年だった〕

異論の存在の意味

異論の存在 行動の現在地の確認 反論の適正の是非 受容する妥協点の模索   異言の存在 相互理解の現在地の確認 曖昧に出来ない誤解の解消 真意を見落とさない見識   貧富の存在 成功者の現在地の確認 貧困者が隷属するヒエラルキー 中間層だと操る作為と幻覚   法の存在 社会規範の現在地の確認 倫理感の公的なルールの明示 統治システムの機能の拡充   制度の存在 民主主義の現在地の確認 ご都合主義的な恩恵の供与 不都合でも使い勝手のいい道具   言葉の存在 共存の現在地の確認 非コミュニケーションの不能 語彙不足による対立感情の生起   威厳の存在 支配の現在地の確認 反動を制圧する武力の調整 自由意志を弾圧する装置の確立   危機の存在 悪しき理念の現在地の確認 危機を煽り経済を振興する愚弄 テロを誘発して戦意を誘導する破滅   世界の存続 平和の現在地の確認 偏狭教育による敵対心の醸成 協調や相互尊重の精神の瓦解   〔 2025 年 12 月 17 日書き下ろし。対立とは何か〕