籠城攻略す
敵も然る者
籠城を決め込んで数ヶ月
微動だにせず攻撃をしのぐ
敵陣の開放を画策し
一計を案じて氷解を企てた
攻防は丸一日続いた
敵の防御は完璧だった
前面は強固な者たちが固めた
奥に陣取る者たちも揺るがなかった
城壁を破らねば勝利はない
攻撃の手は緩めることなく続いた
無理にこじ開けた
勝機をつかんだ
取って置きの作戦にシフトした
水攻めである
城壁の隙間から少しぬるめの湯で放水した
攻撃は過激になってゆく
強靱な長い武器で前線を突く
攻防は一進一退だった
反撃を感知すれば素早く手を休めた
再三再四放水と武器の攻撃を繰り返した
徐々に前線は崩れ始めた
ついに陥落の時を迎えた
水攻めで敵陣はボロボロになっていった
カタチをとどめることなくトドメを刺された
強靱だった氷塊のおにぎりは白旗をあげた
冷蔵庫の製氷室を占拠したおにぎりとの攻防戦は終わった
引き出しは開き捕虜となったおにぎりはみな外に出された
バラバラになった米粒が戦いの厳しさを物語っていた
数ヶ月ものおにぎりの籠城は完全なる敗北と帰した
おにぎりの侵攻を阻止するために防御意識を強化した
今宵家主はオンザロックでコクワブランデーをしみじみと味わった
[2022年8月2日書き下ろし。これでローソンまで氷を買いに行くことがなくなったという。夏の昼下がりのちょっとした攻防戦。事は製氷室に誤っておにぎりを入れたことが発端だった。武器はおたまの柄である]