捨てられぬ手紙
学生時代の母からの手紙
共稼ぎをしながらいつも支えてくれた
弟妹もこれから教育費の嵩むなかのこと
一筆一筆に母の温情が詰まる
祖父からの手紙
明治生まれで尋常小学校4年しか通えなかった
達筆の文章はとてもまねできない
樺太から引き揚げてきて失対労務者になった
でもじさまの実直な人柄はどこでも変わることはなかった
信用というブランドは孫にも受け継がれた
父からの手紙はない
妹への理容師の国家試験の前に送った葉書一枚
「努力せよ」
その一言がいまも重い
友人知人からの手紙
中味を確かめながらより分ける
多くは捨てられず残った
人生の軌跡の一通
いまも熱く励ましてくれる
子どもたちからの手紙
我が子らからの手紙は少ない
成長時の愛らしい言葉が心を和まず
教え子からの手紙は貴重だ
彼らにどんな影響を与えてきたのか
その一言が顧みるところになった
出会った人たちからの手紙
自筆が多い
研修の感想を率直に述べてくれる
ふりかえるにこれ以上のものはない
その後の仕事の糧になっていく
手紙以外にあるのが感想文
出前授業の後の子どもから先生まで
小学生から大学生までFileにされている
言葉に添える絵がかわいらしい
大事にしてきた授業実践の記録の宝庫
何年たっても色あせないおもい
何年たっても心に残るおもい
何年たとうが私を支えるおもい
だから捨てることすらできない
[2023年1月11日書き下ろし。先日古い資料を整理した。中から手紙が出てきた。手紙の整理もしようと手を付けたが、結局捨てる手紙はなかった]