思い込み

いのちには限りがある

だからこそ愛しくもある

 

限りあるもののいのちの実感がない

危機に瀕しない限り明日はきっと来る

平和ぼけの最たる思い込みか

 

死は存在意識を無にする想像だけで実感はない

そこでは死の恐怖感だけが強く刻まれる

今日無事終えられればよしとする思い込み

 

大病を患わない限り実感がない

医療の進歩と薬学の貢献に委ねるいまがある

医療漬けになりながら大丈夫という思い込み

 

若いだけに実感は乏しい

老いることも病に伏すこともなく躍動している

青春という名も下の希望という思い込み

 

長く生きているという実感がない

団塊の世代のひとりとしてよう働いた

人生を振り返りよかったという思い込み

 

限りあるいのちをどう生きたのか

限りあるいのちとどう向き合ってきたのか

限りあるいのちとのけじめをどうつけるのか

 

思い込みの分だけ意固地になる

思い込んだ分だけ裏切られる

思い込む分だけまだ救われる

 

いまも奇跡のいのちを生かされてゆく

 

[2023年3月1日書き下ろし。ひとは命の危機にさらされて初めて覚醒していくのか]


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