何をか言わんや

世事に疎くなる

生身でぶつかる現場がなくなった

暮らしの限られたスペースで息をする

 

時事は日々変わってゆく

直接影響を受けることはない

経験値からの想像しか残されてはいない

 

情報の量も質も少なくなった

真偽を確かめる伝手を失っていく

判断する見識は乏しくなるばかりだ

 

喜びも憤りも日々わき上がる

感情を排除できずにおもいを綴る

人や暮らしにまとわりつくしかない

 

試されている自分を見つめる

何が自分を動かしているのか

失いつつある言葉に身を委ねる

 

何を伝えようとしているのか

伝えなければという衝動しかない

書きたいという欲求だけがいまを生かす

 

何をか言わんや

駄作だと評されようともいい

ある時代を生きる男の独り言

 

[2023年8月6日書き下ろし。散文詩を書き続ける意味を、時々確かめる。読む人には、同時代人として何かを感じるかもしれない。共感できる詩があれば幸いだ]


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