44年を数える友愛の廟
墓仕舞いが報道される
墓が朽ちても改修できない
故郷を遠く離れて管理できない
墓守がいなくなる
家筋の証だった墓
北海道に渡り終の棲家の証に建てた墓
内地の先祖代々とはほど遠い短い歴史
墓への執着も薄い道産子
故郷への慕情も遠のく道産子
親族とのつながりも疎遠となった道産子
最期はどこに葬られるのか
老人福祉施設が終の棲家になった人がいた
親族との折り合いが悪くて墓に入れない人
子どもとの折り合いが悪くて引き取られない人
再婚で夫の墓には前妻がいて肩身が狭いという人
子どものお骨と一緒に葬られたいと願う人
財産もなく無心する子から捨てられた人
人生の最期に不安を持ちながら日々暮らす人がいる
死後自分で後始末できぬ不安が心を乱す
墓に入れぬ自分を責めては涙を流す
施設の長だった僧侶の師はそんなおもいを汲み取った
みんなが安心して入られる墓をつくると約束した
昭和54年(1979)共同墓苑「友愛の廟」が完成した
施設の関係者ばかりではなく無縁仏があれば引き取る
そう市にも伝えてからすでに44年の月日を重ねた
いまは行政が墓仕舞いしたお骨を共同墓に収容する
希望する人にも無縁仏になった人にも永眠の地となる
最後の行政サービスともいえるだろう
江別の市民墓地の「友愛の廟」に眠る人たち
墓石に名と行年を刻まれて無縁仏にはならない
毎年施設の職員や利用者とともに供養の法要を営む
今年は1日に予定したが雨となり5日に日延べする
心の平安と暮らしの平穏を願いつつ生きる
死後の不安を拭うことが残された時間を豊かにする
縁に恵まれなかった方々への最後のご奉公
あなたは確かにここに存在したのです
ご縁を結び直して冥土への旅立ちを見送りますと
読経の声がかすれてきたと嘆く師は心で唱える
「因縁諸生法 縁欠不正」
~この世に在る全ての生きとし生きるものは因縁によって存在する。
縁がなければ決して存在することはないという法~
[2023年9月1日書き下ろし。供養の場は厳粛になる。故人と面識がなくても1年1度お参りをすることの尊さを参列者は知らされる]