なまる身体
2 週間ほど腰に負担がかかった ルーティーンの運動を休止した しばらく無理をしなかった 痛み止めでしのいだ 腰の調子が回復しだした矢先 就寝中に猛烈な痛みに襲われた 右ふくらはぎに肉離れを起こした 動くことも容易でない暗闇の中 痛み止めの塗り薬を手にした 素早く痛みを堪えてすり込む 痛みが去るまでの時間が長く感じた 机の引き出しから伸縮性の包帯を探した サポーターの代用に患部に巻いた 手元の iPad を見ると午前 3 時前だった 痛みがやわらいだ頃睡魔がやってきた 朝起き上がると鋭い痛みが再び走った 朝食後痛み止めと筋肉をほごす薬を飲む 患部に塗り薬をすり込み包帯を巻く 体調を維持するルーティーンが阻まれた 予想だにしない悪循環に意欲が失せたた 老いとは痛い目にあいながら慣れていくことか 老いとは思うようにならない身体を引き受けることか 老いとはダメージを受けつつ体力を奪われていくことか 老いとは不意打ちを喰らいながら生きている確かめなのか 空元気を出して身を装う 身の程を知りつつ身を慎む 自由にならぬ身を庇(かば)う 薬に依存せぬよう身を守る 痛みを忘れるよう身を粉にする 結局はじっとしてられない性分が勝るのか 必然的帰結を身に纏(まと)う [2023 年 11 月 29 日書き下ろし。強烈な痛みだった。安眠状態でまさかの肉離れとは、想像を絶する。それでもなお机上にへばりついている自分を笑う ]