ニシンを炊く
昆布でニシンを炊いた
ニシンの昆布巻きが好きだ
でもうまく料理できない
ニシンと甘辛い醤油の匂いが懐かしかった
祖母が鶏の餌を薪ストーブで毎日炊く
魚のアラと屑野菜にジャガイモも入っていた
近くの豆腐屋から雪花菜をもらって来るのが役目だった
炊き上がった餌からジャガイモを失敬してストーブで焼く
小腹の空いた時刻にいいおやつになった
鍋を下ろしてもらい外で大きな木槌で餌を潰す
湯気が上がる中ジャガイモが潰れてゆく
柔くなった魚のアラも小さくなって練られてゆく
冷めるのを焼けたジャガイモをかじりながら待った
祖父母と日曜には通い畑にリヤカーを引いた
山際の小さな畑に沢山の野菜を植えた
ストーブの周りにはいつも魚の骨が干されていた
金肥は最小限でこの骨は肥料になっていた
だから家の中にはいつも魚臭かった
懐かしい子ども時代の想い出が蘇っていた
成人した頃には祖母は仕出し屋で働いた
店では80過ぎまで重宝がられた料理の達人だった
業務用のガスコンロを巧みに使いいつもうまいものを出してきた
ニシンの昆布巻きも祖母が炊いてくれた
手際よく料理する後ろ姿を見ながら有り難さを感じていた
ばあさん子で可愛がられた想い出が不意に胸に迫った
[2023年12月4日書き下ろし。一度火を落として味が馴染むのを待つ時間想い出すままに詩作した。祖母や母の味付けが生涯の味覚の基本ベースになって、想い出と共に蘇るのはとても嬉しい]